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ICT活用で子供の素の能力を高めることが重要【次期学習指導要領「改訂への道」#49】

連載
中教審レポートと関係者インタビューで綴る 次期学習指導要領「改訂への道」
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関西大学 総合情報学部教授

黒上晴夫
ICT活用で子供の素の能力を高めることが重要【次期学習指導要領「改訂への道」#49】 バナー

前回までは情報・技術ワーキンググループ(以下、WG)における情報活用能力に関わる改訂の方向性や具体的な内容について紹介をしてきました。今回からは、その情報活用能力に大きく関わる、生活、総合的な学習・探究の時間WGでの改訂議論について、同WGの主査である関西大学の黒上晴夫教授に話を伺っていきます。

7月中の審議で配付された資料で、いくつかの審議のポイントが示されています(資料参照)が、黒上教授はまず、生成AI(以下、AI)の活用について話してくださいました。

資料

「総合的に活用」を巡る総合と各教科の関係イメージ
総合的な学習の時間と各教科の関係のイメージ(生活、総合的な学習・探究の時間WGの資料より抜粋)。

AIをうまく使いこなすための使い方を、学校教育で身に付けさせよう

まずICT活用を考える前の大前提として確認しておきたいのですが、学校教育においては、子供の素の能力を高めることが重要だということは言うまでもないでしょう。その際、近年の教育は構成主義の流れを受けており、子供が自分自身で知識や思考力などを自分なりに育てていくチャンスをつくらなければならないというのが基本です。そこに、ICTを活用するということが関わってきます。

教育に関わる人の中には、「ICTを使わなくても『知識及び技能』や『思考力、判断力、表現力等』を育てることはできる」と言う方も少なくないでしょう。しかし、近年の社会の動きを見れば、ICTも使いながら自分も成長することを目指すべきです。

このICT活用の中で危険性も包含しているのがAIです。AIを使えば簡単に答えが出てしまうため、無自覚に使えば使うほど学びをサボることになってしまいます。ではAIを使わせずに能力を育てることが、将来を見据えた上で、どれほど意味があるのかということも考えなければなりません。もちろん、学習指導要領が全面実施になる2030年に何が起きているか正確に予測することは、誰にもできないことでしょう。しかし、これだけ社会全体が前のめりにAIを使っている状況を考えれば、世の多くの人がAIを武器にしながら、自己実現をしていくことになると考えられます。

そこから求められる1つの流れは、AIをうまく使いこなすための使い方を、学校教育で身に付けさせようということです。そこだけに焦点を当てると、「学校教育でAIを使って、いかに課題に答えられるか」ということになってしまいますが、それを行いながらも、一人一人の素の能力が育つようにしていかないと、AIも使えない子供を育ててしまうことになります。AIというものは、使えば使うほど、使う人の考え方や見通し、批判的な目が問われることになるからです。

それは、単に情報の正しさをチェックするという意味ではなく、アウトプットされた成果を批判的に見る力ということです。自分が期待したものができているのかとか、自分が期待した以上のものができているとすれば、それはどれくらい差分があるのか、客観的に見る力が求められてきます。そのためには、人の素の能力を高めることが必要なのです。

では、「能力とは何か」ということになるわけですが、実は能力というのはよく分からないものです。能力には形がありませんから、「だいたいこんなことができる人は、こんな能力をもっているだろう」という、仮想的なものなのです。

その仮想的にしか存在しない能力の中で、AIをうまく使うための能力を考えたとき、ある問いや課題に対して、AIを使わないときに自分自身はどれくらいのことができるかという見通しに対し、AIを使うことでそれがどこまで伸びたのかという差分が重要で、そこに自覚的であるべきです。それを気にしないで、「AIを使って成果が出た!」と結果だけを見て喜んだところで、素の能力には何も成長はないため長期的に見れば何もよいことはありません。だからこそ、この差分に自覚的であることが必要です。

もちろん、AIは使えば使うほど賢くなるため、使っている人との差分は広がる可能性があります。しかし独力でも「そういうことができるようになりたい」と思い、それを意識しながら使うことで、さらにAIをうまく使うことができるという感覚が大事なのです。

AIで出た答えを分析し、素の能力を自分自身で拡張していくことが大事

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