教育課程全体としては時数を増やさない方向【次期学習指導要領「改訂への道」#48】

前回は、中央教育審議会(以下、中教審)の総則・評価特別部会の委員であると共に、情報・技術ワーキンググループ(以下、WG)の主査なども務め、次期学習指導要領の改訂議論に携わっている東京学芸大学の堀田龍也副学長に小中高等学校の情報に関わる内容を具体的に伺いました。今回は、時数の問題、社会の変容と情報の学習の関係などについて伺っていきます。
目次
管理職の学校経営ビジョンとカリキュラム・マネジメントが重要
前回、小中高等学校での情報の領域や情報・技術科、情報科の全体像についてお話をしましたが、より具体的な内容については、情報・技術WGの夏頃までの審議で、もう少し詰めていきます。ただし、授業時数をどうするかはWGで議論することではなく、総則・評価特別部会が中心となって議論し、教育課程企画特別部会、教育課程部会……と上げていって定まっていくことになります。
当然、情報の領域も情報・技術科でも時数が必要ですが、教育課程全体としては時数を増やさない方向が示されており、ここで重要になるのが、「高次の資質・能力」(少し前まで「中核的な概念」と呼ばれていたもの)です。
現在、中教審全体として、各教科等で子供が身に付ける資質・能力の構造化を図ってきています(資料参照)。それは多少乱暴に言えば、各教科等で何が分かればよいのかという本質的なことであり、それは「既存の学習にあった個別の知識をすべて学習していなければならないわけではない」ということです。高次の資質・能力を身に付けるため、これまで10個の具体を学んでいたとしても、より適切な内容を3つ4つ学べばよいでしょうということなのです。それ以外の個別の内容は、一人ひとりが興味・関心や学力に合わせて学ぶことも考えられるし、場合によっては学齢期までに終わらなくても、必要に応じてネット上にあるコンテンツで学び足せる時代になっているわけですから。
資料1

そのため、例えば小学校の算数であれば2〜6年生で175時間ですが、「その時間を全部使わなくても、うちの学校ではこの時間数で終えられるので、それ以外は他のことに使います」と考えてもよいとするのが、調整授業時数制度です。実際に、何%までを他の教科等に回せるのか現時点で確定はしていませんが、教育課程柔軟化サキドリ研究校で「10%程度を上限に」先行実践を行っているところです。仮に10%程度時数を縮減しても、コアになる部分が身に付くように各教科等で内容を精選しているわけですから、新しい教科が生まれたとしても授業時数は確保可能です。
いずれにしても、授業を精選し、残った部分をどう使うかなどについては、学校が主体的にカリキュラム・マネジメントを行っていくところです。例えば、基礎的なことに課題が多い学校であれば、学び直しや習熟問題をしっかりやることに時間を割く場合もあるでしょうし、全体の学力が高い学校であれば、発展的な学習に時間を使う場合もあるでしょう。外国人の多い地域であれば、国際理解に振り向ける場合もあるでしょうし、地域との連携が盛んな地域では地域連携での探究に時間を割く場合もあるかもしれません。
あるいは、多忙化が叫ばれる時代ですから、若い先生が増えている学校なら、その若い先生を中心とする研修に時間を割くことが、授業の質の向上にも大きく寄与するでしょう。いずれにしても、そのようなことを推進する、管理職の学校経営ビジョンとカリキュラム・マネジメントが重要になるということです。
