「学びに向かう力」を評価はするけれども評定はしない【次期学習指導要領「改訂への道」#43】

前回、総則・評価特別部会の審議の中で見えてきた、次期学習指導要領の構造や評価のあり方について、概説をしていきました。
そこで今回からは、学校現場にも教育行政にも明るい、同部会の山本朝彦委員(横浜国立大学教授、同大学教育学部附属横浜小学校校長)に「見えてきた次期学習指導要領の姿から、先生の評価や指導はどう変わるか」というテーマでお話を伺っていきます。
目次
形成的評価を可能にできるよう、子供の姿を適切に見とる力を高めていく
私が、今回の改訂議論の中で「よく踏み込んだな」と感じているのが評価についてです。これまで評価というと進路にもつながるため、公平性や平等性ということから、ともすると形式化してしまったり、評価材料の収集が煩雑化してしまったりするという課題がありました。そのような課題について正面から向き合おうという取組は、とても評価できるのではないかと思います。
特に、これまで目標に準拠して各学校で評価規準を作ってきたものを、今回の改訂では目標と評価規準を一体化するという議論は画期的ではないでしょうか。多様な教科を担当する小学校では全教科領域等を評価する必要があるため、とても歓迎される話だと思います。
もう1つの視点は、「学びに向かう力」の評価です。学校からすると今、目の前にいる子供たちを評価するために当然、根拠となる評価材料を集めて行うわけですが、将来に渡って学びに向かっていく力といった、未来につながる部分をどう評価するかということには、多くの先生が苦労していたところでしょう。この部分について、評価はするけれども評定はしないという方針が出されたのは画期的ではないかと思います。
そうした改訂のメリット2点と共に、今から学校現場の先生は何を準備していくべきかというお話をしていきましょう。
まず1点目は、今回の改訂で「学びに向かう力、人間性」については「評価しない」「楽になる」というような報道のされ方をしましたが、真意はそういうことではなくて、正しく理解することが重要です。
これからは子供の学びのプロセスや状況を的確に見とり、子供の成長につなげられるように本人に返していく形成的評価が大事だということは、いろんな段階でも議論されてきました。ですから、その形成的評価を可能にできるよう、子供の姿を適切に見とる力を高めていくことが必要です。先日の審議でもお話をしたのですが、評価が簡潔でやりやすいものになると同時に、形成的評価に軸足を置くということであり、その点ではむしろ先生方の評価における資質・能力が問われているということが重要な部分なのです。
特に、情意のような目に見えづらい社会情動的コンピテンシー(非認知能力)を個人内評価していこうというわけですから、説明責任を果たせるだけの材料を集めることが必要になります。ただ経験と勘だけで評価するのではなく、学びのプロセスを見ていきながら根拠をもって形成的評価をしていかなければなりません。ですから、楽になるというよりも、より教育的に質の高いものが求められており、教師にとってその力が必要になるわけです。
ここまでの中央教育審議会の議論で一貫していることは、授業の質を高めるということであり、「主体的・対話的で深い学び」の「深い」をしっかり実現していくための評価の改訂ということが言えると思います。その点を強調すると共に、多くの先生方に理解していただきたいのです。
