保護者対応に活かすカウンセリングのスキル④―関心が薄い保護者への対応編―【ストレスフリーの教室をめざして #54】

第3回では「怒りや要求が強い保護者への対応」を取り上げ、保護者のタイプによって、同じスキルでも使い方が変わることを確認しました。今回は第4回として、「関心が薄い保護者への対応」をテーマにします。学校から見ると、連絡への反応があまりない、面談でも「特にないです」と言われてしまう、学校のことにあまり関心を示さないように見える、そうした保護者への対応に、難しさを感じる教師は少なくありません。怒っているわけでも、不安を繰り返し訴えてくるわけでもないため、一見すると大きな問題はないように見えます。しかし実際には、子どもの支援を進めるうえで、関わりの薄さそのものが大きな課題になることがあります。
執筆/埼玉県公立小学校教諭・春日智稀
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目次
関心が薄い保護者とは、どんな保護者か
学校現場で「関心が薄い」と感じられる保護者には、いくつかの共通した特徴があります。例えば、連絡帳の返答がほとんどない、学校からのお願いに対する反応が遅い、面談でも「特にありません」「家では大丈夫です」で終わってしまう、学級通信や配付物をあまり見ていないように感じる、といった様子です。また、子どもが学校で困っている場面があっても、家庭から相談が来ることが少なく、教師の側から連絡をしても会話が広がりにくいことがあります。
こうした保護者に対して、教師はしばしば「協力的ではない」「学校に関心がない」「子どもをちゃんと見ているのだろうか」と感じやすくなります。特に、子どもへの支援に家庭の協力が必要な場面では、その距離の遠さに焦りやもどかしさを覚えることもあるでしょう。
しかし、ここで大切なのは、「反応が薄い=関心がない」と短絡的に結びつけないことです。学校への反応が少ないからといって、必ずしも子どもへの愛情が薄いとは限りません。もしかすると、生活に余裕がない、学校との関わり方が分からない、相談しても意味がないと思っている、自分の気持ちを言葉にすることが苦手である、など、別の背景があることも少なくないのです。
関心が薄い保護者への対応では、この「見えにくい背景」をどう捉えるかが重要になります。
背景にある、忙しさ・不信感・無力感
教師から見ると、保護者の反応の薄さは「関心の低さ」に見えます。しかし、保護者の側からすると「関わりたいけれど関われない」状態であるかもしれません。例えば、仕事や介護、きょうだいの世話などで心身ともに余裕がない場合、学校からの連絡にすぐに反応できないことがあります。あるいは、自分自身が学校に対して良い思い出を持っておらず、学校とのやりとりそのものに緊張感や抵抗感がある場合もあります。
また、過去に学校へ相談したときに十分に受け止めてもらえなかった経験があると、「どうせ言っても変わらない」「学校は学校のやり方で進めるのだろう」と感じ、最初から距離を置く保護者もいます。さらに、子どものことで気になることがあっても、どう言葉にしたらよいか分からず、結果として「特にありません」としか答えられないこともあるでしょう。
つまり、「関心が薄い」という見え方の背景には、忙しさ、不信感、無力感、対人コミュニケーションへの苦手さなど、さまざまな要因が考えられます。だからこそ教師には、「なぜ反応がないのか」、「なぜ本音が出てこないのか」を、表面の印象だけで判断しない視点が必要です。
もちろん、すべてを保護者の事情として受け止めて終わるわけにはいきません。子どもの支援のための連携は取っていく必要があります。ただ、その入口をつくるためには、まず見立てが必要なのです。
