授業づくりで大切な「教材研究」とは何をすることなの? 教材の価値を見出して、子ども理解につなげよう|学級経営のための授業づくり①【若手先生の航海図】

授業づくりとは、大きく分けて「教材研究」「指導案」「発問」という3つの段階で作られます。教師はまず教材と向き合い、その価値を見いだします(教材研究)。次に、その価値を目の前の子どもへどう届けるかのプランを考え(指導案)、最後に授業の実践で子どもの思考を引き出していきます(発問)。この一連の流れに取り組んでいくことで、あなたの指導力が向上し、学級づくりにもつながっていきます。今回は、その第一歩となる「教材研究」について考えてみましょう。教材研究で見いだした教材の価値が、次の指導案作成へと受け渡されます。
執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
協力/教師実践研究塾(実践塾)
目次
教材研究は、まず教師が教材と向き合うことから始まる
要点:教材研究の第一歩は、教師自身が教材を徹底的に読み込み、自分なりの教材観をもつことです。子どものことを考えるのは、その後です。
教材を手にしたら、まずやっていただきたいこと。
それは、教師自身が教材と向き合うことです。
作者は、なぜこの言葉を選んだのだろう。なぜこの場面を書いたのだろう。この教材を通して、本当に子どもへ伝えたいことは何だろう。教師自身が教材を何度も読み返し、自分なりの教材観を築いていきます。
この段階では、まだ子どもの実態は考えなくてよいです。
例えば、「今、うちの子たちには難しいからここは省略しよう」などと考えてしまうと、それがノイズとなって、教師自身が教材の価値を十分に理解できないことにつながります。まずは、「教材の価値」を考えることに専念するわけです。
教師が教材を深く理解して初めて、目の前の子どもと教材を結び付けて考えることができます。
深い理解こそ、強い言葉で相手を理解させられるわけです。
教材研究を深めるほど子どもが見えてくる
要点:教材の価値が見えて初めて、「この学級ならどう学ぶだろう」と子どもの実態と結び付けて考えられるようになります。
同じ教材を全国の教師が扱います。それなのに、授業には大きな違いが生まれます。違いを生み出すのは、教師の思考です。教師は料理人に似ています。同じ材料を使っても、料理人によって味が変わるように、同じ教材でも教師によって授業は大きく変わります。
教材研究とは、教材を読むことだけではなく、教材をどう料理すれば目の前の子どもに力が付くのかを考える営みなのです。
二年生国語に『お手紙』という教材があります。この教材の価値を象徴する問いとして、
「なぜ、かえるくんは、がまくんへの手紙を、わざわざかたつむりくんに頼んだのでしょう」
というものがあります。これは手紙は早く届けば届くほどよい、という、世間一般の価値観とは真っ向から反することです。
ここを読み解くことで、この教材の価値を見いだすことができると言えるのではないでしょうか。
頭の中に子どもたちを思い浮かべて、問いかけにどのような反応を示すだろうかと、想像しながら思考を深めてみましょう。
「がまくんが一番つらい時間は、どんな時間かな?」
子どもたちは、こんな風に答えるのではないでしょうか。
手紙を待っている時間
そこで、もう一つ問いを投げかけます。
では、一番幸せな時間は、どんな時間でしょう
しばらく考えた後、子どもたちは気付くでしょう。
手紙が来ることが分かっていて待っている時間
最後に尋ねます。
その幸せな時間を、一番長くしてくれるのは誰でしょう
教室中から
かたつむり!!
という声が上がることでしょう。
教材について自分の教材観が確立する、ということは、すなわち目の前の子どもの姿が見えてくる、ということです。
教材は同じでも、授業は同じにはなりません。教材研究が深まるほど、教師は教材だけではなく、目の前の子どもを見るようになります。教材研究とは、教材を読むことではなく、教材を通して子どもを理解する営みなのです。

