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子どもを育てるための「問い」の立て方はどうしたらいいの?―子どもたちの考えを深め、学級づくりにもなる「発問」のススメ|学級経営のための授業づくり③【若手先生の航海図】

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若手先生の航海図~学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア~
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内田仁志
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授業の中で子どもの思考を引き出し、学級全体の学びへとつなげるのは何でしょうか。それは発問です。発問とは、一人一人の子どもの思考を深め、その学びを学級全体へ広げていく教師の働きかけと言い換えられるといえます。巻末にチェックリストも用意しましたので、あなたの授業を振り返りながら、より良い授業づくりを目指していきましょう。

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
協力/教師実践研究塾(実践塾)

発問とは、子どもの思考を育てる教師の働きかけ

要点:発問とは、答えを聞くための質問ではありません。子どもに考えさせ、学びを深めるために教師が意図的・計画的に行う働きかけです。

「質問」と「発問」は何が違うの?

若手教師の先生方と話をしていると、「質問」と「発問」が同じ意味で使われている場面をよく目にします。しかし、この二つは似ているようで、その役割は大きく異なります。

例えば、

「主人公の名前は何ですか?」
「この出来事はいつ起こりましたか?」

という問いは質問です。
子どもが本文を読んでいるか、内容を理解しているかを確かめるためのものです。

ところが、
「作者は、なぜこの場面を書いたのでしょう?」
「あなたなら、主人公にどんな言葉をかけますか?」

という問いをしてみましょう。そこには、一つの正解はありません。

子どもは本文を読み返し、自分の考えをもち、友達の意見を聞きながら考えを深めていきます。
これが発問です。

例えば算数では、
「答えはいくつですか?」
という問いは質問です。
一方で、
「Aさんの図とBさんの式は、どこが同じ考え方なのでしょう?」
と問いかけると、子どもは友達の考えを比べながら説明するための発問になります。

理科でも、
「なぜ豆電球は光ったのでしょう?」
という問いだけで終われば質問ですが、
「もっと明るく光らせるには、回路のどこを変えればよいでしょう?」
と問いかけることで発問となり、子どもは予想を立て、試し、結果を比べながら考え始めます。

教科は違っても共通しているのは、教師が答えを求めているのではなく、子どもの思考を引き出そうとしていることです。
発問とは、正解を言わせる問いではなく、子どもの考えを育てるために教師が意図的・計画的に働きかけるものです。

発問を考えるときに大切にしたいこと

発問を考えるときは、「この問いで正しい答えが返ってくるだろうか」ではなくて、

「この問いで、子どもは何を考え始めるだろう?」
「友達の考えを聞いて、思考は深まるだろうか?」
「普段あまり話さない子も、自分の考えを話してみようと思うだろうか?」

というような視点をもちましょう。つまり、「答え」ではなく、「子どもの思考」を重視します。

発問が育てるのは学級です

このような発問によって、児童に培われるものは、

友達の考えを最後まで聞こうとする姿
自分とは違う考えを受け止めようとする姿
勇気を出して自分の考えを話そうとする姿

です。こうした姿は、一時間の授業で突然育つものではありません。毎日の授業で教師がどのような発問を積み重ねてきたかによって、少しずつ育っていきます。

発問とは、答えを引き出す技術ではありません。

子どもの思考を育て、仲間との対話を育て、学級そのものを育てる教師の働きかけなのです。

ここまで読んで、「発問」と「質問」を同じように考えていたかもしれないと感じた先生は、記事末の「発問チェックリスト」の①を確認してみてください。

発問は子どもの思考を深める

要点:よい発問とは、教師が答えを教える問いではありません。子どもの発言を受け止め、さらに考えたくなる問いを重ねることで、思考は少しずつ深まっていきます。

「神様」とは何だろう

ここからは、実際の授業での発問の展開例をご紹介したいと思います。5年生国語『わらぐつの中の神様』の学習では、教材研究の段階で、題名にも使われている「神様」という言葉が、この物語の価値を捉える上で重要だと考えました。そこで指導案には、子どもが本文を何度も読み返しながら、「神様」の意味を自分の言葉で考える時間を位置付けました。

本文には「神様とは何か」が直接書かれているわけではありません。だからこそ、子どもたちに考えてほしいと考えたのです。そこで、授業のめあてを次のように示しました。

「このお話に出てくる『神様』って、何だろう」

子どもたちは教科書を開き、一人で本文を読み返し始めます。

しばらくすると、

「神様というのは、おみつさんだと思います」
「心を込めて作った、わらぐつのことじゃないかな」
「大工さんの優しさだと思います」

と、一人一人が自分の考えをもち始めました。

どの考えも、これまでの学習を基にした読みです。

しかし、この段階では、まだ子どもたちはそれぞれの考えを並べている状態でした。

子どもの言葉が、次の発問を生み出す

話合いが進む中で、普段は控えめなA児が静かに口を開きました。

「神様というのは、幸運をもってくるものだと思います。」

その一言に、教室の空気が少し変わりました。

ここで教師が答えを説明してしまえば、話合いは終わります。

しかし、本当に大切なのはここからです。

A児の言葉を受けて、次の発問を返しました。

「では、このお話の中の『幸運』って、何だろうね」

子どもたちは、もう一度考え始めます。

A児は、「おみつさんと大工さんが結婚したことです」と答えました。

すると、別の子どもが続けます。

「でも、その幸運を運んだのは、わらぐつじゃないかな」

そこで、さらに発問を重ねます。

「わらぐつのことを思い出してみましょう」

子どもたちは再び教科書へ戻りました。

「最初は誰も買ってくれなかった」
「大工さんだけが、わらぐつのよさを見つけた」

本文を確かめながら、友達同士で考えをつないでいきます。

さらに問いかけます。

「では、おみつさんは、どうしてわらぐつを作ったのでしょう」

「雪げたを買うため」という答えが返ってきます。

しかし、それで終わりません。

「でも、おみつさんは雪げたを履いていないよ」
「それより、大工さんと出会えたことの方が大切なんじゃないかな」

子どもたちは、一つの発問から次の発問へ、そしてまた本文へ戻りながら、自分たちで考えを深めていきました。

教師の予想を超えた、ある子どもの答え

こうした話合いの最後に、ある子どもが自分の考えを語り始めました。

「そのわらぐつのよさを大工さんだけが分かったんです。そして、大工さんとおみつさんは結婚したんです。だから、わらぐつの中には、おみつさんと大工さんを結び付ける神様がいたんです。神様というのは、おみつさんと大工さんに幸運をもたらすもので、わらぐつの中にいたんです」

全くの予想外です。このような考えが出てくることに驚きました。かつて、いかなる指導書や実践でも見たことがありませんでした。
教科書を何度も読み返し、付箋に考えを書き、友達の考えを聞きながら、自分の言葉でたどり着いた、この子自身の答えでした。

子どもたちは、この子の話を最後まで聞き、一人一人がもう一度教科書へ目を落とします。

その表情からは、
「なるほど」
「そういう考え方もあるんだ」
という思いが伝わってきました。

この子は、普段は控えめでおとなしい子です。
そんな子が授業中ずっと教科書を読み返し、付箋に気付きを書き留め、グループでも自分の考えを語ってくれました。このような教師の予想を遥かに上回るような答えを出してくれたことは、大きな喜びでした。

「発問は答えを引き出すためのもの」と考えていた先生は、記事末の発問チェックリストの ②子どもの思考を深める発問を確認してみてください。

5年生国語『わらぐつの中の神様」の授業をしている教師

発問はクラス全体のために

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