小2生活「うごく うごく わたしの おもちゃ」指導アイデア

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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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小2生活「うごく うごく わたしの  おもちゃ」指導アイデア

文部科学省教科調査官の監修による、小2生活科の授業案です。1人1台端末を活用した活動のアイデアも紹介します。今回は「うごく うごく わたしの おもちゃ」の単元を扱います。

執筆/ 大阪府公立小学校教諭・竹上由希子
編集委員/文部科学省教科調査官・齋藤博伸
 大阪府公立小学校校長・前谷さき子

年間指導計画

年間指導計画(クリックすると表示します)
4月春だ 今日から 2年生
5月大きくなあれ! わたしの 野さい!
6月どきどき わくわく まちたんけん
7月生きものと なかよし
8月大きくなあれ! わたしの 野さい!2
9月うごく うごく わたしの おもちゃ
10月冬野さいを そだてよう
11月もっと なかよし まちたんけん
12月つながる 広がる わたしの 生活
1月みんなで つかう まちの しせつ
2月大きく なった わたしたち
3月ありがとうを とどけよう

単元目標

身近にあるものや自然を利用して遊ぶ活動を通して、遊びや遊びに使うものを工夫してつくり、その面白さや不思議さに気付き、楽しみながら遊びをつくり出そうとしたり、自分の生活に生かそうとしたりすることができる。

どんなおもちゃができそうかな?

私たちが1年生のとき、2年生がおもちゃランドに招待してくれたね

そのときにコマがあったよ。これで作れそうだね

紙皿はフライングディスクになりそう

輪ゴムは引っ張ると飛ばせるね

学習の流れ(全13時間)

【小単元1】みの まわりの ものを つかって あそぼう[1時]

身近にあるおもちゃづくりで使えそうな素材を提示する
〇紙皿 〇紙コップ 〇輪ゴム 〇割りばし 〇ストロー 〇ペットボトル 〇牛乳パック 〇食品トレイ など

身近にあるものに触れながら、素材の面白さ・不思議さなどの特性に気付き、楽しく遊びます。

遊びの例:
〇紙皿フライングディスク 〇輪ゴム飛ばし 〇ストロー飛行機 〇牛乳パックの車 など

身近な材料については、家庭へ事前に連絡をしておいて集めます。例えば、牛乳パックやペットボトル、割りばしや紙コップなど、子供が加工しやすいものを集めておくとおもちゃが作りやすくなります。集まった材料は、材料ごとに箱などに仕分けしておくと便利です。

牛乳パックで車が作れそうだね

ペットボトルは水に浮くから、船になりそう

輪ゴムは伸ばしたら飛んでいくから、おもちゃにできないかな

評価規準

知識・技能:身近にあるものに触れ、できる遊びがあることや、それぞれの素材のもつ面白さや不思議さに気付いている。

【小単元2】つくりたい おもちゃを きめよう[2時]

前時で気付いた素材そのものの面白さや不思議さといった特徴や遊んだことを交流し、自分が作りたいおもちゃを決めます。

例えば、牛乳パックを使って遊びを考えている子供でも、牛乳パックの「浮く性質」を活かして遊ぶ子供や「丈夫な紙の性質」を活かして遊ぶ子供がいます。それらを板書で整理し、自分がどんなおもちゃを作りたいのかを選べるようにします。

また、身近な素材を使ったおもちゃ作りの書籍を教室に常置します。作りたいおもちゃのでき上がり図や必要な材料などを設計図カードにかけるように準備しましょう。

子供が作りたいおもちゃの例:
〇段ボールと食品トレイとタイヤで走る車 〇割りばしで作る輪ゴムてっぽう 〇パッチンがえる 〇紙コップけん玉 〇輪ゴムで走るとことこ車 など

「うごくうごく わたしのおもちゃ」小単元2「つくりたい おもちゃを きめよう」板書例

評価規準

思考・判断・表現: 身近にあるものを使って楽しみたい遊びを思い描きながら、遊びに使うものを選んでいる。

【小単元3】おもちゃを つくろう[3時~5時]

自分が作りたいと決めたおもちゃを作って楽しく遊びます。

そのときに、同じおもちゃを作りたいと思っている子供同士を同じグループにします。そうすることで、一緒に試行錯誤しながらおもちゃの改良が行えるためです。ここでも、自分の作ったおもちゃの特徴を設計図カードに記録したり端末で記録したりしておくと、振り返りや次時の学習に役立ちます。

自分たちで作った割りばし鉄砲、ゴムロケット、風でうごく車で遊ぶ子供たち

おもちゃ作りに便利な道具(道具コーナーを設けておく)
〇ガムテープ 〇セロハンテープ 〇油性ペン 〇ホッチキス 〇接着剤 など

評価規準

知識・技能:みんなで楽しく遊ぶ際、道具や用具の準備や片付け、掃除、整理整頓をしている。

思考・判断・表現: 予想したり、確かめたり、見直したりしながら、遊びに使う物をつくったり遊んだりしている。

【小単元4】おもちゃを もっと くふうしよう[6~8時]

前時までに作ったおもちゃを他のグループの子供たちに遊んでもらうことで、自分たちでは気付かなかったことに気付き、おもちゃを改良したり、遊び方を工夫したりするようにします。

まず、ホワイトボードに遊び方を書いてお店に置いておき、遊んでもらいます。店番を作って回らせてもよいでしょう。このときに、円になってお店が並んでいると、他のお店の様子も見られます。

遊んでもらったら、アドバイスを付箋などで色分けして書いてもらい、ホワイトボードに貼ります。色分けは、良い点と改善点で分けます。そうすることで、視覚的に認識しやすくなります。

「うごくうごく わたしのおもちゃ」小単元4「おもちゃを もっと くふうしよう」板書例1

また、どんなアドバイスを書けばよいかも、授業の始めに子供と共通理解しておきます。「もっとくふうしよう」というねらいなので、工夫するポイント(おもちゃのこと、遊び方のこと)の視点でアドバイスを書くようにします。そして、良い点も改善点もどちらも書いてもらうことで子供の意欲につながります。

一通り遊び終わったら、黒板に貼って、どのグループでも課題に挙がっていることやより楽しく遊ぶためには、どんなルールがよいのかなど、全体で共有します。例えば、おもちゃが丈夫にできていないため遊ぶとすぐ壊れてしまうとか、得点をつけると面白くなるなど、ホワイトボードに書かれているアドバイスを基に、自分たちの作ったおもちゃがより楽しく遊べるように、みんなで考えます。ここでも、どんなところを改善したのかをカードや端末に記録しておくと、振り返りや次時での学習に役立ちます。

「うごくうごく わたしのおもちゃ」小単元4「おもちゃを もっと くふうしよう」板書例2

評価規準

思考・判断・表現: 遊びの約束やルールなどを工夫しながら、遊んでいる。

主体的に学習に取り組む態度:友達のよさを取り入れたり自分との違いを生かしたりして、遊びを楽しくしようとしている。

【小単元5】あそびの広場を つくろう[9時~12時]

1年生を招待する「あそびの広場」づくりをします。

自分たちのつくった自慢のおもちゃは、他の人にも遊んでもらいたいという気持ちと、昨年2年生に招待してもらった経験から、1年生を招待したいと考えるようになります。そこで、遊び方や遊びの場を考えて、みんなが楽しめるように工夫します。相手が1年生になることを意識して、ルールや遊び方が適しているかを考えられるようにします。

「あそびの広場」づくりですること
〇招待状づくり
〇お店屋さんの看板づくり
〇ルールの説明の仕方(紙に書く、言葉での説明)

そして、1年生を招待し、自分たちが考えた遊びをしてもらう活動を通して、楽しんでもらえるように工夫したり、いろんな人と関わりながら楽しく遊んだりする場を設定します。

「うごくうごく わたしのおもちゃ」小単元5「あそびの広場をつくろう」板書例

評価規準

知識・技能:約束やルールが大切なことや、それを守って遊ぶと楽しいことに気付いている。

主体的に学習に取り組む態度:みんなで遊ぶと生活が楽しくなることを実感し、毎日の生活を豊かにしようとしている。

【小単元6】あそんだ ことを ふりかえろう[13時]

単元全体を通して、身近にあるものを使って楽しく遊ぶことができるということを再認識したり、自分の成長に気付いたりしたことを振り返りカードに書きます。これまでのカードや端末で記録している動画を見ることで、振り返りがしやすくなります。

【資料1】「うごく うごく わたしの おもちゃ」振り返りシート ※下記ボタンをクリックすると、ダウンロードできます。

評価規準

思考・判断・表現: 遊びを工夫したり、友達と楽しく遊んだりしたことを振り返り、表現している。

1人1台端末を活用した指導アイデア

子供が自分で作りたいおもちゃができたときに、静止画で撮影しておくようにします。そうすることで、おもちゃを改良するときに、前時の活動を自分で振り返ることができたり、軌跡を記録として残すこともできたりします。

また、友達同士や1年生と一緒におもちゃで遊んでいる様子を撮影し、振り返りの場面で視聴することで、自分と友達、1年生との関わりについて振り返るきっかけとなります。

評価のポイント

素材に十分に触れられる時間を設定する

この単元では、身近にあるものや自然の特性を生かして遊びに使うものを作り出すという活動を行うため、まずは、素材がどんな特徴をもっているのかを子供が把握することが大切です。そのためには、単元の導入時に子供が素材に十分に触れる時間を確保する必要があります。その時間を確保することで、一つの素材でもいろいろと試しながら遊び、素材の面白さや不思議さに気付き、おもちゃ作りへの意欲を高めることができます。

環境の構成を工夫する

素材を集める際には、素材ごとに分けて保管します。子供が、素材を取りに行くときにスムーズに選ぶことができ、いろいろなことを試せるようになります。また、子供がおもちゃを作り変えるときには、何度も試せるような場の設定をしたり、板書に工夫の仕方を掲示したりして、おもちゃ作りのヒントを得られるような環境の構成を工夫することが大切です。

イラスト/高橋正輝

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