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身近にある産業遺産を探して、科学する心を伸ばそう|産業編③【地域と生活の科学~見つけよう!探究学習の種】

連載
地域と生活の科学~見つけよう!身の回りの探究学習の種~

四天王寺大学教育学部准教授

仲野 純章
地域と生活の科学~見つけよう!探究学習の種 バナー
イラスト/坂齊諒一

私たちは、スマートフォンやインターネットを活用しながら、便利で高度な生活を送っています。今や産業といえば、大規模な工場や鉱山だけでなく、ソフトウェアや情報サービスなど、目に見えない形のものも多くなりました。しかし、そのような現代社会のすぐそばには、かつての産業の営みを今に伝えるさまざまな痕跡が残されています。普段は何気なく見過ごしてしまうこともありますが、こうした場所には、その時代の人々がどのような技術を用い、どのような課題に向き合っていたのかが刻まれています。また、それらに目を向けると、実に多様な科学が隠れています。今回は、私たちの身近に存在する「産業遺産」に目を向け、科学とのつながりについて考えてみたいと思います。

執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章

産業遺産とは

現在は情報化社会が進展し、産業の形も大きく変化しています。ものづくりといっても、ソフトウェアやサービスを中心とする産業では、工場を必要としない場合もあります。それでも私たちの暮らしの中には、かつて社会を支えた工場など、産業の痕跡が数多く残されています。

一般に産業遺産とは、人類の科学技術の発展や産業活動の歩みを示す遺産を指します。国際産業遺産保存委員会(TICCIH)が採択した「ニジニー・タギル憲章」では、歴史的・技術的・社会的・科学的価値をもつ産業文化の遺物を産業遺産と位置付け、工場や鉱山だけでなく、輸送施設、発電施設、倉庫、さらには産業活動に関わる住宅や教育施設などもその対象に含めています。

つまり産業遺産とは、単なる古い建物ではなく、人々が知恵を出し、技術を発展させ、社会を築いてきた証そのものなのです。そして理科教育の視点から見ると、産業遺産は科学技術が実際に社会でどのように活用されてきたのかを具体的に示してくれる貴重な教材でもあります。

日本にある主要な産業遺産

日本には数多くの産業遺産があります。その中には、世界文化遺産として登録されているものもあります。

代表的なものの一つが「富岡製糸場と絹産業遺産群」です。19世紀後半、日本は海外との貿易を拡大する中で、生糸の大量生産を進めました。富岡製糸場は、その中心的な役割を果たした施設です。ここでは製糸技術だけでなく、原料となる繭を安定して供給するための養蚕技術も発展しました。その結果、日本産の高品質な生糸は世界市場で高く評価され、絹産業の発展に大きく貢献しました。

もう一つ有名なのが、「明治日本の産業革命遺産―製鉄・製鋼、造船、石炭産業―」です。19世紀後半、日本は欧米諸国から技術を導入しながら急速な工業化を進めました。この産業遺産群は、製鉄・製鋼、造船、石炭産業を中心として、日本が短期間で産業国家へと成長していった過程を示しています。

これらの遺産を見ていくと、科学技術の発展が社会や産業の発展と深く結び付いていることが分かります。

例えば、反射炉から見える科学

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