小2 国語科「どうぶつ園のじゅうい」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小2国語科「どうぶつ園のじゅうい」(光村図書)の全時間の板書例、発問、ワークシート例、想定される児童の発言等を示した授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/京都府京都市総合教育センター指導室指導主事・吉田夏紀
執筆/京都府京都市立西京極小学校・宮田美佐

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、共通、相違、時間の順序など情報と情報との関係について理解する力、文章の内容と自分の経験とを結び付けて、感想をもつ力を育てていきます。
「どうぶつ園のじゅうい」は、動物園の獣医の1日の仕事について日記のように書かれており、時間的な順序を捉えるのに適しています。「朝」「見回りがおわるころ」などの時間を表す言葉に着目し、時間的な順序に沿って獣医の仕事を整理できるようにしましょう。
また、整理して文章を理解したことによって、自分の経験や知識などと比べ、感想をもてるようにしましょう。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

文章と自分の知識や経験とを結び付けて感想をまとめるという言語活動を設定します。
時間を表す言葉に着目して獣医さんの1日の仕事を整理したり、仕事をしているわけや工夫を見つけて読んだりしたことによって、初めて知ったことや面白いと思ったことが明確になります。
そして、これまで動物園の獣医さんについて知っていた知識や経験と比べ、感想をまとめることにより、本単元で狙う資質・能力の育成につながると考えます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学びに向けて〉

「導入」では、教材文を読む意欲を喚起します。「動物園」や「獣医」については、生活経験から児童それぞれのイメージがあり、「動物園に行ったことがあるよ」「獣医さんは、動物の病気を治すお仕事をしている人だよ」というようなことを話すでしょう。
しかし、「動物園の」獣医について、直接的に関わった経験をもつ児童は少ないと思われます。
そこで教材文の内容を予想した上で読み、初めて読んだ感想を出し合って学習計画を立てます。初めて読んで見つけたことや知ったこと、不思議に思ったことから学習計画を立てることで、児童一人一人が主体的に読み、自分の課題を解決できるようにします。

〈対話的な学び・深い学びに向けて〉

「獣医さんは、いつどんな仕事をしているのかな」「なぜ、毎日していることとその日だけしていることがあるのかな」「『すてきだな』『かっこいいな』『なるほどな』と思ったことはどんなことかな」など、子供たち一人一人がその時間の課題解決の過程で言葉を手がかりに考えたことを対話しながら解決していけるようにします。
話合いの場面では、一人一人の立場(考え)を名札や1人1台端末の機能を利用し、視覚的に明らかにするなどの工夫も考えられます。立場が明確になれば、他者の考えとその根拠を聞き、新たに得た情報をもとに自らの考えを見直そうとする、深い学びにつながると考えます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)思考を促す支援として
児童が読み進めていくとき、前時までに整理した板書やノート・ワークシートなどが思考の支援になります。1人1台端末を活用し、児童が必要に応じて前時までの板書やノート・ワークシートを見直し、本文に戻って考えられるようにしたり、整理した板書やノートの表に線や字を書き込んだりすることができるようにします。
また、児童と作成した学習計画を1人1台端末上で共有し、学習を振り返る際にもめあてと照らし合わせて振り返るよう意識付けたり、端末の学習支援ソフトの課題提出機能を使い、振り返りの視点を課題として送信したりすることも有効です。

(2)個に合わせた言語活動の充実のために
時間的な順序や事柄の順序を表す言葉や、自分が立ち止まった言葉、文章などについて、1人1台端末のマーカー機能を活用し、線を引いたり囲んだりすることで、児童一人一人がどこを根拠に考えたのかを視覚化できます。
また、一度マークをつけた部分も簡単に移動したり、色を変えたり、消したりすることができ、低学年の児童が試行錯誤しながら個別最適な学びを実現するための支援ができると考えます。

6. 単元の展開(10時間扱い)

 単元名: 獣医さんのお仕事について読んで感想をまとめよう

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
① 動物園の獣医の仕事について知っていることを出し合い、学習の見通しをもつ。
② 読んで感じたことから学習計画を立てる。

・第二次(3時4時5時6時7時8時9時
③④ 時間的な順序や事柄の順序を考えながら、内容の大体を捉える。
⑤⑥ 獣医さんが毎日していることと、その日だけしていることの違いから、仕事のわけや工夫を見つけて感想をもつ。
⑦ 獣医さんの仕事について読んで分かったことに対して、すごいな、工夫しているなと感じることを出し合う。
⑧⑨ 動物園の獣医の仕事について知っていることを出し合い、学習の見通しをもつ。自分の知識や体験と比べ、感想をノートに書きまとめる。

・第三次(10時
⑩ 学習を振り返る。

全時間の板書例、端末活用例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

動物園の獣医の仕事について知っていることを出し合い、学習の見通しをもつ。

1時間目の板書例

皆さんは、動物園やそこで働く人のこと、動物のことを書いた文章を読んだことがありますか。

動物園には行ったことがあります。

1年生の時に「どうぶつの赤ちゃん」を読みました。

動物園では飼育員さんが働いていると思います。

今回学習するお話は「どうぶつ園のじゅうい」というお話です。動物園の獣医さんは知っていますか。

獣医さんは、動物の病気や怪我を治す人だと思います。

私が家で飼っている猫を、病院で診てもらったことがあります。

動物園の獣医さんも、動物の病気を治していると思います。

町の獣医さんとちがって、ライオンやキリンなどの町にいない動物の病気もみられるのが、動物園の獣医さんだと思います。

では、動物園の獣医さんは、どんなお仕事をしているのか、読んでみましょう。そして、獣医さんについて知っていることや、初めて読んで感じたこと、初めて知ったことなどをノートに書いておきましょう。

(ノートへの記述例)

ノートへの記述例

【2時間目の板書例 】

読んで感じたことから学習計画を立てる。

2時間目の板書例

2時間目は、前時にノートに記録しておいた初めて知ったことやおもしろいと思ったことを発表し合い、学習計画を立てます。

初めて知ったことやすごいな、おもしろいなと思ったこと、なぜかなと思ったことなどを出し合いましょう。

いろいろな動物の手当てをしていたのがすごいなと思いました。

獣医さんが、動物園でお風呂に入っているのを知りませんでした。

毎日、絶対おふろに入らないといけないのかな、どうしてかなと思いました。

みんなの感想から、どんなことを詳しく読んでいきたいと思いますか。

動物にどんな治療をしているのかを詳しく読みたいです。

一日のお仕事を詳しく読みたいです。

獣医さんのすごいところをもっと見つけたいです。

詳しく読むと、動物園の獣医さんのどんなことがわかるでしょう。そして、どんなことを感じたり考えたりするでしょう。みんなで伝え合うのが楽しみですね。


【3時間目・4時間目の板書例 】

時間的な順序や事柄の順序を考えながら、内容の大体を捉える。

イラスト/横井智美

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