工場の中をのぞいてみよう(エレベータ工場)|産業編②【地域と生活の科学~見つけよう!探究学習の種~#13】

私たちは日々の生活の中で、当たり前のようにエレベータを利用しています。ボタンを押せば扉が開き、行きたい階まで静かに運んでくれる。この便利な装置はもはやあまりにも日常的で、あらためて意識することは少ないかもしれません。しかし、そうしたエレベータもまた、どこかで開発され、製造されている「ものづくり」の産物です。今回は、そんな知っているようで知らないエレベータをつくっている工場の中をのぞいてみたいと思います。
執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章
目次
広大なエレベータ工場を訪ねて
今回訪問したのは、エレベータ、エスカレータ、動く歩道などの研究開発・製造を行っているフジテック株式会社です。今回は、同社が滋賀に構えるものづくりの中核拠点「ビッグウィング」を訪問しました(図1)。

このビッグウィング内には「第1工場」と「第2工場」の2棟があり、オーダー型エレベータと標準型エレベータが生産されています。2つの工場を合わせたエレベータの年間生産能力は4000台にも及びます。図2、図3には工場の外観と内部の様子を示しますが、その広大さからは、大規模な産業としてのエレベータ製造の一端を感じることができます。


エレベータの仕組みを見てみる
エレベータは、私たちが乗る部屋(「かご」と呼ばれます)と、おもり(「つり合いおもり」と呼ばれます)がある程度バランスをとった状態のもとで、電動モータの「巻上機」によって動かされています。乗る人がいない状態のかごよりも少し重くなる(定員の半分程度を想定)ようにつり合いおもりは設計されており、このようにバランスをとることで、少ない力で効率よく動かすことができます。
「かご」と「つり合いおもり」は、細かい金属の線をより合わせてできたロープでつながれています。このロープは最上部にある「主シーブ」と呼ばれる、いわゆる滑車にかけられており、「かご」と「つり合いおもり」は、一方が上がればもう一方が下がるように連動しています(図4)。かつては蒸気機関や内燃機関によって直接駆動されていたエレベータも、現在ではこうしたロープでつながれた「かご」と「つり合いおもり」を巻上機によって動かす方式(「トラクション式」と呼ばれます)が主流となっています。

(引用元:https://www.fujitec.co.jp/sustainability/social_contribution/kids/elevator_shikumi)
この工場には、シンボル的存在ともいえる地上高さ170mの「エレベータ研究塔」があります(図5)。東海道新幹線の車窓から、ふとこの高い塔を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。この塔は、超高層用と低・中層用の2つの部分から成り、合計13台のエレベータが設置されています。
ここでは、分速1000m級の超高速機種のテストをはじめ、新世代エレベータの研究開発が行われています。工場が「つくる場」であると同時に、「研究開発の場」でもあることがよく分かります。この塔の中では、「かご」と「つり合いおもり」の一方が上がれば一方が下がるという動きを、高速で、しかも何度も繰り返しながら検証が重ねられています。

