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小さい生き物 ―「タカラダニ」に着目して―|「自然」編④【地域と生活の科学~見つけよう!探究学習の種~#10】

地域と生活の科学~見つけよう!身の回りの探究学習の種~

四天王寺大学教育学部准教授

仲野 純章
地域と生活の科学~見つけよう!探究学習の種 バナー

地域や生活の中にある科学は、必ずしも大きく目立つものばかりではありません。むしろ、気づかなければ通り過ぎてしまうような、小さくひっそりとした存在の中にこそ、興味深い営みが隠れています。私たちの身近にいる小さな生き物も、その一つかもしれません。

執筆/四天王寺大学教育学部准教授・仲野純章

生き物といえば

生き物といえば、カブトムシのような立派な姿の昆虫やセミのように大きな音で鳴く昆虫、空を飛ぶ鳥、川を泳ぐ魚などを思い浮かべることが多いのではないでしょうか。子どもたちも、そして先生方も、どうしても「目立つ生き物」に関心が向きがちです。

しかし、自然界を支えているのは、むしろ目立たない「小さな生き物」たちです。そこで今回は、そうした小さい生き物に目を向けます。とりわけ、この記事が公開される6月あたりから、ちょこちょこと小さな体を動かしているのをよく見かける「タカラダニ」に着目してみましょう。

タカラダニというもの

日当たりのよい花壇やベランダ、階段といったコンクリート製の建造物やレンガなどで、真っ赤な小さな粒のようなものが素早く動いているのを見たことはないでしょうか。それが一般に「タカラダニ」と呼ばれている生き物です(図1)。

この生き物は昆虫ではありません。ダニは昆虫とは異なり、クモと同じ仲間に属します。出現時期は主に5月から長くて7月頃までと限られており、それ以外の季節にはほとんど見られません。この「短期間だけまとまって現れる」という特徴も、生態の不思議さを感じさせます。

さらに注目すべきは、確認されている個体がすべてメスであることです。現在のところオスは見つかっておらず、「単為生殖」によって増えている、つまり雌だけで世代をつないでいると考えられているのです。

えさについても完全には解明されていませんが、花粉を食べていることは確実とされています。コンクリート製の建造物やレンガなどは表面に多くの凹凸があり、空気中を漂う花粉やその他の有機物は、そこにたまりやすいとされます。私たちには無機質に見えるこうした場所も、彼らにとっては栄養源のある生活の場となっているのかもしれませんね。

人への影響についてですが、日本ではタカラダニが人を刺したという報告はありません。ふつうに生活している中で、人を刺したり、かんだりすることはないとされています。

このように、小さな体の奥に多くの謎を秘めている。それがタカラダニの奥深さです。

正しい知識で正しく向き合う

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