47都道府県縦断!全国オリジナル地域教材でつくる「本気!」の道徳授業 #25 困難に直面したときに~「雪の茅舎」を造る伝説の杜氏

全国各地の「ひと・もの・こと」を教材化し、子どもたちの感情、思考、価値観を大きく揺さぶる道徳授業をつくる。さらにそれらを集めてアーカイブ化しようという野望に満ちたリレー連載。原則として毎週公開します。今回の執筆者は秋田県由利本荘市の渡辺大貴先生です。
編集委員/藤原友和(北海道函館市立鍛神小学校教諭)
執筆/渡辺大貴(秋田県由利本荘市立岩城小学校教諭)
目次
はじめに
秋田県の由利本荘市で小学校の教員をしております、渡辺大貴と申します。
「みんなの教育技術」で始まった「日本全国〈本気!〉のオリジナル地域教材道徳」という連載の話がきたときに、最初に思ったことが、「秋田って何がある?」でした。
Googleで「秋田県ってどんなところ?」と調べたところ、
「秋田県は、雄大な山々と日本海に面した自然豊かな土地で、県土の約7割が森林で、米代川・雄物川・子吉川が日本海へ注ぎ、肥沃な平野・盆地を形成しています。冬は日本海側気候で雪深く、夏は涼しいのが特徴で、「米どころ」として知られ、豊かな食文化、多彩な祭り、ゆったりとした暮らしやすさも魅力です。」と出てきました。よく考えれば、比内地鶏やきりたんぽ、稲庭うどん、いぶりがっこなど全国でも知られている名産品があり、東北三大祭りの一つとして知られる竿燈祭りや毎年開催される全国花火競技大会「大曲の花火」などの文化も広く親しまれています。
いろいろと魅力がある秋田県の中で、今回のオリジナル地域教材に取り上げたいと思ったのが、齋彌酒造店で長年杜氏を務めている「高橋藤一さん」についてです。2019年に、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、秋田の「雪の茅舎」を醸す齋彌酒造店の高橋杜氏の半世紀にわたる酒造りの哲学とこだわりが放送されました。秋田の魅力を調べていく中で、放送を見た当時の感動が思い起こされました。
1 教材について
NHKプロフェッショナル仕事の流儀「踏み出す勇気、終わりなき革命〜杜氏・高橋藤一〜」では、高橋杜氏を2018年に密着取材したものが放送されました。肥料をできる限り与えない米造りの様子やうまい酒を造るこだわりなどが記録されていました。
「酒造りを知りたければ、田んぼに来い」
「楽しく造らないと楽しく飲める酒にはならない」
杜氏が酒造りに対する情熱と信念が伝わってきました。
さらに「櫂入れしない」「加水しない」「濾過しない」という独自の「三ない造り」を実践する伝説の名杜氏として、取り上げられていました。山廃仕込みの復活や自家培養酵母の活用、米作りからの徹底したこだわり、そして「のぼり蔵」という自然の地形を活かした酒蔵で、微生物の力を最大限に引き出し、手間暇かけた究極の日本酒を醸し出す挑戦が描かれ、 変化を恐れない姿勢に感銘を受けました。
しかし、杜氏のこれまでの苦悩も映されました。
純米酒を造りたいと思っていても、周りの人には全く聞いてもらえず、 「あれやれば危険で、これやれば危険だって言われて、結局は何にも手を出せない」状況になったり、「そんなやり方じゃうまい酒はつくれない」と陰口を言われたりしたエピソードを振り返っていました。
全国新酒鑑評会という明治44年(1911年)から続く日本酒の公的な全国コンテストで、24回(令和8年1月現在)も金賞を受賞する輝かしい功績の裏に、先述したような苦労や悩みを抱え、乗り越えていく杜氏の生き様に心を動かされ、教材化することにしました。
※全国新酒鑑評会の審査は、その酒造年度(前年秋〜当年春)に製造された「新酒」が対象で、成績優秀と認められたものに「入賞」、その中で特に優秀なものに「金賞」が授与されます。
