最初は教師が枠を教えるけれど、子供はそれを超えていく【「授業準備が間に合わない!」ピンチから学んだ授業づくり/先輩教師の体験談#13】

児童や保護者対応、様々な校務により「授業準備の時間を確保できない……」という状況に直面したことのある先生も多いはず。本連載は、そんなときにベテランの先生方はどのように対処してきたのか、ご自身の体験談を赤裸々に語っていただきます。今回は千葉県勝浦市立勝浦小学校・由井久満先生の体験談(前編)を紹介します。
目次
体験談① 準備を子供に任せてみたら、主体性や意欲が高まった【体育】
ライン引きが間に合わず、子供たちに準備を助けてもらうことに
小学5年生を担任したとき、体育で「ゴール型(ボール運動)」の授業を校庭で実施していました。普段は授業前の休み時間等に校庭にラインを引き、コートを準備していたのですが、その日は急に休み時間に生徒指導が入ってしまいました。そして指導を中途半端に終わらせたくないため、想定以上の時間がかかってしまい、結局準備ができないまま授業時間になってしまいました。
そこで、やむを得ず、授業の導入部分に子供たちにライン引きや用具の準備をしてもらう時間をつくることにしました。
すると、体育係を中心にみんなが積極的に準備に参加してくれたため、その後はスムーズに授業を始めることができました。
高学年ということもあり、私の状況を子供なりによく理解してくれていたのだと思います。また日頃から体育係が準備等を手伝ってくれていたので、ある程度やるべきことがわかっていたこともあるのでしょう。
無事に授業を進められて安堵するとともに、全てを教師が抱え込まずに、子供たちを頼り、任せられることは任せてもよいのだという自分自身の学びになりました。

次回から子供が主体的に準備に加わるようになった
そして、子供を頼ることの効果はその日に留まりませんでした。
準備の仕方を覚えた子供たちは、次の体育の授業でも、自分たちでコートを作ったり、必要な用具を用意したりと事前準備を済ませてくれるようになったのです。さらに、私が指示を出さずとも、体育係がリーダーシップを発揮しながら、準備が終わったらチームでどんな練習をするのか、試合ではどのような作戦で進めるのかといったことも主体的に話し合う姿も見られました。
この経験を通じて、私が常に一から十まで細かく指示を出すのではなく、時には子供たちに委ね、ある程度の余白を作ったほうが、子供たちが自ら考えて動くようになり、「もっとこんなことをやりたい」といった意欲までも引き出せるということを学ぶことができました。
構成/出浦文絵
イラスト/藤井昌子
企画/小学館インクリオ
