「ちいちゃんのかげおくり」の授業準備が間に合いませんでした【「授業準備が間に合わない!」ピンチから学んだ授業づくり/先輩教師の体験談#17】

体調不良や様々な校務・雑務などにより「授業準備の時間を確保できない……」という状況に直面したことのある先生も多いはず。本連載は、そんなときにベテランの先生方はどのように対処してきたのか、成功例そして失敗例を赤裸々に語っていただく体験談集です。今回は奈良県公立小学校教諭・小野領一先生の体験談を前編・後編の2回にわたって紹介します。
目次
体験談:重く、繊細なテーマをどう扱うか悩んだ【3年生・国語】
家族も自分も体調不良により教材研究ができなかった
数年前に3年生を担当した際のエピソード。
その週は息子が熱を出し、自分も寝不足で体調が優れませんでした。気づけば、国語の教材研究がほとんどできていないまま朝を迎えていました。
教材は『ちいちゃんのかげおくり』の第二場面。重く、繊細なテーマをどう扱うか、難しいところです。ふだんなら発問を練り、子供たちの反応を想定しておきますが、その余裕はありません。
「今日は、きっと予定通りには進まない。とりあえず、子供たちと一緒に考える時間にしよう」そう腹をくくり、教室へ向かいました。
子供たちが作品を読んで「?」と感じたことを書き出す授業を展開
授業の冒頭で、「今日はちょっとやり方を変えよう」と子供たちに伝え、その後、こう問いかけました。
「第二場面の中で、読んでいて、『?(はてな)』と思ったことを、まずノートに書いてみよう」
それだけ指示を出し、本文の音読を行いました。
読み終えた後、子供たちは静かにノートに向かい、思い思いに「?」=「疑問に思ったこと」を書き出していきました。
「なぜ火ではなく、赤い火なのか?」
「炎のうずって何なのか?」
「イラストがなぜ赤っぽい色なのか?」
「なぜ暗いのにお母ちゃんらしき人が見えたのか?」
「なぜ、おじさんは最後までついてこなかったのか?」
「『一人ぼっち』なのに、『たくさんの人たち』ってどういうこと?」
など、どの子も、真剣な表情でノートに文字を刻んでいきます。

構成/出浦文絵
イラスト/藤井昌子
企画/小学館インクリオ
