【全学年対応】日本サッカー協会による「小学校体育の授業にサッカーを上手に取り入れる指導アイデア」まとめ【PR】
小学校の体育授業に、サッカーを取り入れてみませんか? 日本サッカー協会(JFA)とKDDIがタッグを組み、画期的な「体育の授業へのサッカー導入」支援事業を展開しています。本事業が目指すのは、単なる技術向上ではなく、教員の負担を減らしつつ子どもの体と心を育む「教材としてのサッカー」の普及です。同事業では、学校の先生方がオンラインで手軽に学べる「学校体育サッカー指導のオンラインレッスン」サイトをKDDIが開設し、学年別のレッスン提案動画を公開しています。本記事では、それらの動画で取り上げられている具体的な指導アイデアや声かけのポイントを、低・中・高学年別にダイジェストでご紹介します。学校の体育授業における45分間という限られた時間の中で、子供たちが楽しみながらサッカーの基礎に触れ、状況に応じた判断力を養うためのプログラムです 。
提供:KDDI株式会社

目次
痛くない・飛びすぎないが大事!まずは「ボール」に一工夫を
まずレッスン動画では、子供たちがボールに対する恐怖心や痛みを感じずに安心してプレイに集中できるよう、当たっても痛くない「新聞ボール」と「スポンジボール」の2種類の使用が提案されています。指導案と動画の制作に携わった元小学校教員でJFA小学校体育サポート研修会講師の北野孝一氏は以下のように説明しています。
「子どもたちがサッカーの授業で最初にストレスや抵抗感を感じてしまう原因は、「ボールが当たると痛い」「蹴ったボールがどこか遠くへ転がっていってしまう」という点にあります。この柔らかいボールを使うことで、まず「痛くない」「思ったより遠くへ行かない」という環境を作ることができます。
技術的な止め方や蹴り方を教え込むことよりも、まずは子どもたちがストレスを感じずに、シンプルに足で強く蹴ってゴールを目指す楽しさを味わってもらう。その「楽しさのベース(雰囲気)」を低学年のうちからクラスの中に醸成してあげるために、道具の工夫は非常に重要な仕掛けとなるのです。


【簡単】型崩れしない新聞ボールの作り方 新聞紙を10枚程度用意し、1枚ずつキャベツのように包むようにして丸めて球体を作ります 。それをビニール袋に入れ、袋の上から布テープを用いて十字に巻くことで完成します。詳しくは前回記事および各レッスン動画をご覧ください。
本記事で紹介しているレッスン動画はサイトにアクセスしてご覧ください
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全学年共通:授業の考え方について
本プログラムにおける45分間の授業は、明確な意図を持って組み立てられています。先生方が現場で迷わず、かつ子どもたちが最大限に学びを得られるための「授業構成の考え方」のポイントは以下の3点です。
① 現場に馴染みやすい「4パート構成」の継続と発展

一般的な体育の授業スタイルに合わせ、授業は「ウォーミングアップ」「活動①」「活動②」「ゲーム(試合)」の4つのパートで構成することを基本としています。 毎時間ごとに全く異なる新しいメニューを導入するのではなく、この「4つのパート」という基本の枠組み(パッケージ)をあえて繰り返します。同じ構成の中で、回を重ねるごとに内容を発展させ、深めていくアプローチを取ることで、子どもたちも戸惑うことなくスムーズに活動に入ることができます。
② すべては「ゲーム」から逆算して構築する
体育のサッカー授業において、教科書通りの技術練習を頭から順番に考えていく必要はありません。本プログラムでは「最終的に子どもたちにどんなゲームをさせたいか」「ゲームの中で何を学ばせたいか」という最終ゴール(ゲーム)をまず設定し、そこから逆算して授業を構築しています。 あくまでも子どもたちにとっての目的は『ゲーム』そのものです。どんなに時間が限られていても、授業の最後には必ずゲームの時間を確保できるよう、時間配分を意識して進行することが大切です。
③ 場の構成を大きく変えず「やさしい⇄難しい」を調整する
45分という短い時間の中で、パートが変わるたびにコーンやマーカーを大幅に配置換えしたり、コートを作り直したりしていては、準備だけで貴重な時間が削られてしまいます。 そのため、なるべく「場の構成(コートの形やコーンの配置など)」は大きく変化させないまま、ルールや条件を変えるだけで4つの活動が流れるように展開していく工夫を凝らしています。目の前の子どもたちの習熟度や様子を観察しながら、臨機応変に「やさしい(難易度を下げる)⇄難しい(難易度を上げる)」の調整を行い、心地よいチャレンジが続く環境を維持していきましょう。
低学年の指導アイデア:とにかく「ボールにたくさん触れる」

低学年を対象とした指導においては、とにかく「1人ひとりの子供がボールにたくさん触れる環境」を作ることが何よりも大切です 。誰かに遠慮することなく、自分自身の足や手でたくさん触れる体験そのものを大切にしていきます 。
[ウォーミングアップ]ドンジャン



- 概要と進め方: 1人ずつ設定されたライン上を走って進み、対向してきた相手と出会ったところでじゃんけんをします 。勝ったらそのまま前進し、負けたら速やかに自分の陣地へと戻ります 。勝ち進んで最終的に相手の陣地にあるコーンを触ることができたら勝ちです 。
- バリエーションと工夫: 慣れてきたら、じゃんけんの仕方を変えたり、新聞ボールやスポンジボールを持たせたりして刺激を与えます 。走るコースも直線だけでなく、右曲がり・左曲がりといった左右どちらの曲がり角も体験できるようなアレンジが効果的です 。
- 教師の声かけポイント: 順番を待っている子が集中して自分の番を見ている時に「いい準備をしているね」と認めたり、ラインを外れずに進んでいる子に「いいところをちゃんと進んでいるね」と声をかけたりします 。
[活動①]川渡りドリブル



- 概要と進め方: 鬼となる子供たちが手をつないで横に並び「川」の役割を務めます(縦方向には動けず、横にしか動けないルール) 。攻撃側は鬼にタッチされないよう、空いているスペースを通り抜けてゴールを目指します 。
- サッカーへのアプローチ: 最初は普通に走り抜ける形から始め、手でボールを持った状態、さらには「足でドリブルをしながら川を渡る」へと段階的に難易度を上げます 。川を抜けたらその先でシュートを打つ形式に発展させることで、「スペースが空いているところから攻める」「シュートを打ちやすい位置へ動く」というサッカーの重要要素を遊びの中で自然と体験できます 。
- 教師の声かけポイント: 空いているところをうまく抜けた子に対し「空いているところをよく見つけたね」と褒め、「どうしてそこへうまく抜けられたの?」とその場で理由を聞き出すことで、得られた気づきやコツをクラス全体で共有します 。
[活動②]ナンバーコールゲーム



- 概要と進め方: 半数の子供たちが手をつないでゴール前に並び「ゴールキーパー」を務め、残りの半数が「フィールドプレイヤー」となります 。先生が「1」「2」「3」と人数をコールしたら、言われた人数のプレイヤーがコートに入ってゴールを目指す、全員参加型のシュートゲームです(コールする人数は1〜3人が適当) 。
- 少人数プレイの意義: コート内を少ない人数に限定することで、中にいる子供たちが常にボールに関わることができ、シュートチャンスも多くなります 。ゲームに慣れてきたらコールするテンポを上げてあげることで、次々とスピーディーにプレイの順番が回るようにします 。
- 教師の声かけポイント: シュートを決めた子には「キーパーの立ち位置をよく見て、空いているコースを狙っていたね」と判断を具体的に称えます 。また、守備側がシュートコースを防いでいるときは「いいところから守備をしているね」、攻撃側でパスをもらうためにあえてボールから離れた位置に動いた子には「いいところにボールをもらおうとしているね」と、気づきを促す言葉をかけます 。
[ゲーム]3対3(キーパーなし)



締めくくりに行う試合形式の活動では、コートの周囲を待機中の子供たちが囲む「壁ありゲーム」の形式を採用します (※全学年共通)。
- 壁役のルールと徹底: ボールが外に出そうになったら、そのままコート内へと跳ね返す役割に徹底してもらいます 。壁役の子が特定の仲間に狙ってパスを出すようなルールを加えると構造が複雑化するため、純粋な「壁」になってもらうことが約束です 。
- 導入のメリット: 通常のゲームのようにボールがライン外に出てプレイが中断されるのを防ぎます 。プレイ時間を1分〜2分と設定した場合、ほぼその時間はボールが出ることなく「動きっぱなしの時間」になり、子供たちの十分な活動量を確実に確保できます 。また、外で見ている子も含めた全員がボールに集中するため、クラス全体に一体感が生まれます 。
- 指導の配慮: 誰もがボールに積極的に関わっていけるよう、「たくさんシュートを打っているね」「たくさんボールに触っているね」と称賛します 。もしボールを前にして躊躇している子がいたら、「まずは蹴ってみよう!」と優しく背中を押してあげることが大切です 。
中学年の指導アイデア:「2人で協力」と「作戦」

小学校中学年の時期は、低学年での「ボールと自分」という1対1の関係性から進化し、そこに「味方(仲間)が増える」という点が最大の特徴となります 。自分1人だけで解決するのではなく、2人で協力して課題を解決していくことを経験させ、子供たちの主体性を引き出します 。
[ウォーミングアップ]コーン取りおに



- 概要と進め方: コート内に設置されたコーンに触れていれば、鬼に捕まらない(安全地帯)というルールの鬼ごっこです 。ただし、すでにコーンを触って隠れている場所へ他の逃げ手が近づき、「おどきになって」とコール(発声)された場合、先にいた人は場所を明け渡して再び逃げ出さなければならないというルールです 。最初はルール理解のために鬼1人からスタートします 。
- 難易度の調整と協力: 慣れてきたら鬼の人数を2人、3人と段階的に増やします 。鬼が増えることで、子供たちは「鬼がどこから来ているか」という周囲の状況を常に把握し、「今逃げ回っている友達をどうやったら助けられるか」をお互いに協力して考えるようになります 。
- 教師の声かけポイント: 「鬼はどこから来ているかな?」と問いかけて周囲を観察させたり、「たくさん動いているね」と言葉をかけて積極的な運動を促したりしながら、難易度をコントロールします 。
[活動①]ボールコントロール



- 概要と進め方: 2人1組のペアになり、1人が手で優しく投げ上げたボールを、もう片方が体を使ってコントロール(トラップ)する練習です 。最初は「手でしっかりキャッチ」から始め、慣れたら「腿(もも)でコントロールして手でキャッチ」、最終的には「直接足を使ってコントロールする」へと段階を踏んで進めます 。
- 技能に応じた調節と課題解決: 動きに慣れたら、コーンの幅を広げて足を使った「キックでのパス」に挑戦します 。パスを出す側は「相手がコントロールしやすいボール」を意識し、常に相手を思いやる姿勢を学ばせます 。さらにステップアップとして、「コーンの間を3本パスを通したら、次は別のコーンに移動してまた3本通す」というルールに変えます 。これにより、他のペアとぶつからない視野や、コート内の「空いているスペース」を見極める力が養われます 。
- 教師の声かけポイント: うまくコントロールできた瞬間に、「うまいコントロールだね」「足の良いところに当たっているね」と具体的に言葉にして褒めるのが効果的です 。
[活動②]ゲートを通せ!



- 概要と進め方: コーンを2本一組にして作ったたくさんの「ゲート」がコート内に配置されており、制限時間内にその中をパスによって何回通過させることができるかを競う「競争」の活動です 。子供たち自身で次に通るゲートを決め、「次あっちだよ」「こっちにパスして」とお互いに声をかけ合いながら進めます 。
- 作戦会議による発展: 1回目のチャレンジ終了後、記録をさらに上回るために子供たち同士で「作戦会議」をさせます 。「どういうルートで進めば効率が良いか」「パスを出した後にどう動くか」を話し合わせ、2回目に臨ませることで、主体的な課題解決の形を作ります 。急ぐだけでなく、一つひとつのプレイを「正確にやること」が結果的に全体の「速さ」に繋がるのだと気づかせることが狙いです 。
- 条件追加によるバリエーション: 「必ず5個のゲートを通過して戻る」という通過数の指定や、複数色のコーンを用意して「異なる4色のゲートを全て通る」「最初と最後に通るコーンの色を指定する」といった条件を加えることで、頭を使って周囲をよく見る「考える」活動へと発展させられます 。
- 教師の声かけポイント: 「どういうパスを出したら、狭いゲートも通りやすくなるかな?」(技術的気づき)、「誰が、どういうタイミングで動き出したら、次のゲートに向かってスムーズに進めるかな?」(パス&ムーブ)といった、子供たちの思考をサポートする問いかけを行います 。
[ゲーム]3対3(キーパーなし⇒ありへ変更)



- 低学年と同様に、コートの周囲を待機中の子供たちが囲む「壁ありゲーム」の形式を採用します (※全学年共通)。
- 3人対3人の少人数で行うため、全員がボールに関わらざるを得ず、誰一人他人任せにできない環境が作れます 。
- 戦術的アプローチ: 最初は多くのシュートシーンが生まれるよう「キーパーなし」、かつゴールの幅を「少し広め」に設定してゲームを盛り上げます 。もし遠目からのロングシュートばかりを打ち合う大雑把な展開になってきたら、途中で「ゴールキーパーを配置する」というルール変更を行い、ただ遠くから打つだけでは入らない状況を作ってゲームの難易度を適切に上げます 。
高学年の指導アイデア:「集団戦術」と「自律」

小学校高学年における指導の大きなポイントは、「意図的に攻撃し、意図的に守備をする」という点にあります 。これらを個人の力だけで行うのではなく、グループでしっかりと協力をしながら集団戦術や協力の楽しさを感じられるように導きます 。
[ウォーミングアップ]セーフティペア



- 概要と進め方: 2人1組で手をつないでペアを作り待機します 。そこへ鬼に追われた別のプレイヤーが逃げてきて、そのペアのどちらか片側の手から連結します 。仲間が片側から来たら、その逆側に位置している子が、つないでいた手を離して単独となり、今度は自分が逃げる役になります 。タッチされたらその場で次の鬼になります 。鬼の人数は1人から始め、慣れたら2〜3人へと増やして難易度を上げます 。
- 運動の要素と予測の重要性: ゲームの中で、急に止まって再び走り出す「ストップ・アンド・ゴー」や素早いステップの動きが自然と引き出されます 。それ以上に重要なのが「予測をする」ことです 。「仲間がどちらから来そうか」「他の鬼は今どこにいるか」を、周囲の状況をよく見ながら予測・判断して動く力を養います 。これはボール運動(ゴール型ゲーム)を実践していく上で非常に必要な能力です 。
- 教師の声かけポイント: 「いい予測だ」「周りをよく見ていたね」と、視野の広さに焦点を当てて称賛することが一番効果的です 。動きがうまくいっていない子には「今、鬼に向かって走っていったぞ」「反対側はちゃんと見えていたかな?」と問いかけ、気づきを与えます 。
[活動①]2ゴールシュート



- 概要と進め方: コート内にゴールが2つ設定されており、攻撃側はそのどちらにシュートを打ってもいいというルールのキック練習です 。あらかじめ決めた「シュートライン」よりも手前からキックし、蹴ったボールは自分で拾いに行って列の後ろに並びます 。順番待ちを長くさせないよう、1グループ3〜4人となるよう適切なセット数(コート数)を用意します 。
- 技術的なポイントとチャレンジ: 「強いボールを蹴る」「しっかり狙いを定めて蹴る」が基本です 。軸足の踏み込みを強くして、蹴る足をきっちり振るよう指導します 。その上で状況判断の要素として、「自分の前にプレイした人が左にシュートしたら、次のプレイヤーは逆の右側のゴールを目指す」といった条件を提示し、ただ蹴るだけでなく状況を見る練習へと昇華させます 。
- 教師の声かけポイント: 「ナイスシュート!」「よくボールを見ていたね」と具体的に褒めます 。また、全体の判断力を高めるために「前の人がスタートして右へ行ったのなら、次の人はすぐに左へと空いたスペースから行きましょう」と推奨し、空いている空間(スペース)を活用することを学ばせます 。
[活動②]ボール回し



- 概要と進め方: 3人のプレイヤーが周囲でパスを回し、中に入った1人のディフェンス(鬼)がボールを奪いに行く「3対1」のゲームです 。最初は動きのイメージやパスの概念をスムーズに理解させるため、足ではなく「手でボールを扱う」設定から入ります 。範囲は限られたエリア内に制限し、時間はディフェンスが集中力を切らさずに精一杯追える「15秒間」くらいから始めるのが良いでしょう 。習熟度に応じて時間を長くしたり、実施回数を増やしたりします 。
- 強度の上げ方とポジショニング: ディフェンスのルールを「歩く」から「走る」へ変更して守備強度を上げ、攻撃側は手から「足(キック)」を使ってパスを回すように設定をステップアップさせます 。この活動の最大の目的は、「パスを出した後に、次はどこの位置に動いてボールをもらえばいいのか」という、パスコースを作るためのポジショニング(位置関係)に子供たち自身が気づくことです 。
- 教師の声かけポイント: 「どこだったら次のボールがもらえるかな?」「ディフェンスに捕まらないためには、どう動いたらいいと思う?」という問いかけベースの声かけを行い、子供たち自身にパスコースを作る動きを意識させます 。
[ゲーム]4対4(審判を置かない自治運営)



- 低学年・中学年と同様に、コートの周囲を待機中の子供たちが囲む「壁ありゲーム」の形式を採用します (※全学年共通)。
- 4人対4人のチームに分かれてお互いのゴールを目指す実戦的なゲームです 。開始当初はゴールキーパーを置かずにプレイさせ、レベルが上がってきた度合いと共に途中でキーパーを配置し、難易度をコントロールします 。
- 指導の核心(自治の学び): この活動では、あえて審判(レフェリー)を配置しないという工夫を行います 。ルール上の細かな判定などを教師に頼るのではなく、子供たち自身で判断をさせます 。これは高学年の子供たちにとって、自分たちでルールを守り運営していく「子供たちの自治の活動」に深く繋がります 。「自分たちがゲームを純粋に楽しむためには、どのような態度で、どう判断したらいいのか」という自律の精神を体育の学習の中に組み込みます 。
開発者が語る!授業成功のための「先生方へのアドバイス」
最後に、本プログラムの開発に携わりレッスン動画でも指導しているJFA小学校体育サポート研修会講師の北野孝一氏と尾形行亮氏から、動画だけでは伝えきれない「授業プログラムづくりのリアルな意図」や、現場の先生方に実践してほしい具体的なアプローチを教えていただきます。
北野講師からのアドバイス

1. 「シンプルなゲーム」は先生の力で無限に発展させていける
本プログラムで紹介しているゲームは、私たちが伝えたい最もシンプルで分かりやすい「ベースの形」に過ぎません。たとえば低学年向けとして紹介した「川渡りドリブル」「ナンバーコールゲーム」といった活動も、低学年だけで終わらせる必要はなく、高学年で実施しても十分に盛り上がります。
コースの形を変えたり、新聞ボールからスポンジボールへ道具を変えたり、子どもたち自身に外で線を引かせてみたりと、先生のちょっとしたアイデアでいくらでも「子どもたちへの新しい刺激」へと派生させ、横に広げることができます。
2. 「子ども目線のわかりやすさ」がトラブルを防ぐ
ウォーミングアップの「ドンジャン」ひとつをとっても、実はスタートラインとゴール地点をあらかじめ「きちんと離して設定」しています。子どもたちの授業中のもめ事は、こうした「設定の曖昧さ」から起こることが多いものです。子ども側から見て「はっきりルールが分かりやすい場」を用意してあげることも、大切な指導のテクニックです。
3. 技術を超えた「ボールゲームの本質(戦術・見る目)」を育てる
私たちが目指しているのは、単に「サッカーがうまくなること」ではありません。この授業を通じて動き方の理論を学び、バスケットボールやハンドボールといった、他のすべての「ゴール型(ボールゲーム)」の学びへと繋げていくことです。
子どもたちがゲームの本質や戦術(個人・集団戦術)を理解できれば、将来サッカーを「観る」立場になったとき、ただ『行け!』『シュート!』と叫ぶのではなく、『外のスペースを使いなさい』と的確に言えるようになるでしょう。そうした「スポーツを理解する目」を養うことまでを、このカリキュラムのゴールとして見据えています。
尾形講師からのアドバイス

1. 褒め方の順番は「ボールを触っている子」から
低学年のウォーミングアップなど、順番を待っている子への声かけ(「いい準備をしているね」など)も大切ですが、先生方の意識として、まずは「今まさにボールに触ってプレイしている子」に焦点を当てて認めてあげることから入りましょう。その上で、次に「ボールは持っていないけれど、次の準備をしている子」へと順番に焦点を広げていくと、子どもたちのモチベーションがよりスムーズに高まります。
2. 「ボールの配球方法」ひとつで、苦手な子も主役にできる
本プログラムのゲームは「少人数でたくさんボールに触れる」ことがメリットですが、中にはどうしても一歩引いてしまう苦手な子もいます。
そこで、先生がボールを配球(パス)する際に、なかなかボールに触れていない子の足元へちょっと転がしてあげるような工夫をしてみてください。先生の配球ひとつで、苦手な子が隠れることなく自然とプレイに関わり、「楽しくて思いきりボールを蹴っちゃう姿」を引き出すことができます。
3. 目の前の子どもの実態に合わせて「過去のメニュー」に戻っていい
高学年向けに用意されている「3対1のボール回し」などは、サッカー未経験の子どもたちにとってはかなり難易度が高い取り組みです。いきなりこれをやって子どもたちがストレスを感じてしまうようなら、躊躇なく低学年の「川渡り」や「ナンバーコールゲーム」に戻って構いません。
それらの低学年向けメニューであっても、少しルールをいじるだけで高学年の児童でもキャーキャー言いながら汗をかいて夢中で楽しめます。大切なのはカリキュラムをこなすことではなく、「目の前の子どもたちの実態に合わせて先生方が工夫して使うこと」です。
以上、いかがでしたか。サッカーというスポーツを教材として使いながら、子どもたちの「体」と「心」、そして周りを見る「目」を自然と育んでいくことができます。「サッカーの授業はハードルが高い」と感じていた先生も、ぜひ明日からの体育の現場で、この新しいアプローチにチャレンジしてみませんか?

本記事で紹介したレッスン動画はサイトにアクセスしてご覧ください
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JFA 学校体育サッカー指導のオンラインレッスンサイトでは、学年別の指導アイデアを動画で視聴できるほか、JFA認定講師の派遣依頼も申し込めます
◆本件についてのお問い合わせ先/公益財団法人日本サッカー協会 47FA・加盟団体・普及推進部普及推進グループ(お問い合わせメール:jfa_school_grassroots@jfa.or.jp)
取材・構成/山本春秋(編集部)
