子どもが主体的に理解できる。教師が苦労しない体育の説明の工夫【絶対うまくいく! 体育の超マネジメント#11】

体育の授業では、活動の前や途中に全体へ説明する場面があります。めあてを確認したり、ルールや進め方を伝えたり、途中でコツを共有したりする時間です。こうした説明は、授業を進めるうえで欠かせません。しかし、説明が長くなりすぎると、子どもたちは待つ時間が増え、運動する時間が減ってしまいます。せっかく体を動かしたいと思っていても、話を聞くだけの時間が長いと、意欲も下がりやすくなります。だからといって、説明を減らせばよいわけではありません。大切なのは、短く、分かりやすく、子どもたちが自分で理解しながら動けるように説明することです。今回は、体育で必要になる説明を整理しながら、子どもが主体的に理解しやすくなる工夫を紹介します。
執筆/環太平洋大学次世代教育学部講師・中安翼
目次
説明は短く、ポイントを絞って
体育でする説明には、大きく分けて次のような種類があります。
- 活動の進め方や場の使い方を確認する説明
- 技のポイントを短く伝える説明
- ゲームや対戦型の活動で、ルールや進め方を確認する説明
などです。
説明をする際には、これらを混同しないように気をつけましょう。あれもこれも・・・と一度に長く話してしまうと、子どもたちは聞いているうちに何が大事なのか分からなくなってしまいます。
いま、何の説明をする時間なのか、ということを教師自身が整理しておくことが大切です。
特に、全体説明は極力短くします。長くなればなるほど、活動する時間が減ってしまい、子どもの集中力も切れていくからです。
そこで効果的なのが、板書や掲示物を活用することです。口頭だけで説明すると、その場では分かったつもりでも、活動が始まると忘れてしまう子どももいます。一方で、掲示物があれば、ルールや進め方に迷ったときに自分で確かめに行くことができます。結果として、全体でもう一度説明する回数が減り、授業は進めやすくなります。
進め方やルールは、実際に動きながら確認しよう
板書や掲示物を使った説明も効果的ですが、さらに伝わりやすくなるのが、実際の場所で動きながら確認する説明です。
例えば、ゲームの進め方やルールを説明するときには、掲示物だけで終わるのではなく、実際のコートで教師や代表の子どもが動いてみせながら確認します。どこから始めるのか、ボールが外に出たらどう再開するのか、どこまで入ってよいのかなどを、実際の位置関係の中で見せます。
こうすると、子どもたちは言葉だけで聞くよりも場面をイメージしやすくなります。口頭や掲示物だけで活動を始めてしまうと、理解できていない子どもが動けなかったり、違うやり方で進めてしまったりして、結局もう一度全体を集めて説明し直すことになりやすくなります。
一見すると時間がかかるように見えますが、長い目で見れば、その後の活動をスムーズにする効率的な説明なのです。
技のポイントは短く示す
鉄棒や跳び箱、ハードル走など、技を扱う学習では、伝えたいことを短く切って、少しずつ説明しましょう。一度に多くのことを言われても、子どもたちはすべてを意識して動くことができないからです。
説明の際には、必ずしも教師が動いてみせる必要はありません。
例えば、鉄棒や跳び箱、ハードル走などで、代表の上手な子どもにやってもらい、踏切のタイミングや飛ぶ角度、手をつく場所など、その時間に意識させたいことを絞って短く伝える方が、子どもは理解しやすくなります。
きまりやルールは変更OK。子どもと一緒に考えよう
きまりやルールにこだわりすぎると、授業が窮屈になり、子どもたちが「やらされている」と感じてしまうことがあります。特にゴール型ゲームなどはルールが多く、分かりにくいと感じる子どもも出てくるでしょう。
以下のような基準をもちつつ、ルールはある程度柔軟に変えてよい、と捉えてください。
①安全に関わることは変えない
②その運動の本質は変えない
③一部の子が有利にならないようにする
例えば、ボールがコートの外に出たときの再開方法や、1チームの人数、得点の入り方などは、子どもたちの実態に合わせて見直す余地があります。
活動のあとに、
「やってみて分かりにくかったことはあるかな?」
「もっとやりやすくする方法はあるかな?」
と確認しながら、必要に応じてルールを追加・修正するようにしてみましょう。
こうして子どもたちの考えを反映しながらルールを整えていくと、子どもたちはただ守らされるのではなく、「自分たちが分かりやすく、学びやすくするためのルール」として理解しやすくなります。
