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運動が苦手な子を前向きにする魔法の声かけとは? 体育の活動設定の工夫について【絶対うまくいく! 体育の超マネジメント#16】

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絶対うまくいく! 体育の超マネジメント
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中安翼
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体育には少なからず苦手意識を持つ子どもがいます。そうした子どもに理由を聞くと、「できないから嫌」という言葉が返ってくることが少なくありません。体育の授業では、取り組む運動に対して子どもが「どうせできない」と感じてしまうと、前向きな気持ちをもちにくくなります。だからこそ、運動が苦手な子も前向きに取り組めるようにするには、教師が活動の場や声かけ、関わり方を工夫していくことが大切です。今回は、そのための工夫を紹介します。

執筆/環太平洋大学次世代教育学部講師・中安翼

活動の場は複数設定し、子どもが課題や行い方を選べるように

運動が苦手な子が「できないから嫌」と感じる原因の一つは、取り組む課題が限定されていることだと私は考えています。

例えば、跳び箱で「開脚跳びで6段を跳ぶ」、水泳で「クロールで25m泳ぐ」といったように、全員が同じ技能目標を目指す授業では、運動が苦手な子ほど苦しくなりやすいでしょう。そもそも運動技能や体格、これまでの運動経験が異なる子どもたちに、全員同じ課題を求めることには無理があります。

そのため私は、課題や行い方を選べるようにすることを大切にしています。
例えば跳び箱であれば、段数や置く向きを変えた場を複数用意します。4段横向き、4段縦向き、5段横向き、5段縦向きといった具合です。その上で、跳び方も開脚跳びだけでなく、横とびこしや抱え込み跳びなども示し、自分が挑戦したい跳び方を、挑戦したい場で行えるようにします。

こうして課題を選べるようにしておくと、子どもは取り組みやすくなります。
「4段はできた」
「次は違う跳び方にも挑戦してみたい」
といった意識が自然に生まれ、はじめから諦めてしまうことが少なくなるのです。

この「選ぶ」という考え方は、相手を伴う運動でも同じです。
例えばハードル走を友達と競走する場合、技能差が大きく、勝敗が初めから見えている状況では、意欲は高まりにくくなります。そういうときには、
「〇秒後にスタートする」
「〇m後ろからスタートする」
といった競走方法を示し、より競走がおもしろくなるような行い方を選べるようにします。どちらにも勝つ可能性がある競走であれば、子どもたちは前向きに取り組みやすくなるのです。

先生の声かけは「いいね!」「おもしろい!」

子どもたちが意欲的に運動に向き合えるようになる上で、場の設定と同じくらい大切なのが、教師の声かけです。

体育は運動が中心の教科なので、授業時間の大半は子どもが動いている時間です。その中で教師は個別に関わることになりますが、これは決して簡単ではありません。全体を見ながら、その場にいる子どもに合った言葉をかけなければならないからです。

私も体育の授業を始めた頃は、ここに大きな悩みを抱えていました。
その結果、一時期はとにかく子どもにアドバイスばかりしていました。

「もっと助走に勢いをつけて!」
「左側のスペースに動いて! すぐにパス!」
「足をしっかり上げて走りなさい!」

といった具合です。
今振り返ると、これはアドバイスというより指示であり、まるでスポーツクラブの監督のような声かけでした。こうした声かけは一部の子の技能向上にはつながったかもしれませんが、子どもを受け身にし、自分で考える機会を減らしていたように思います。

そこで私は、運動中の教師の役割を「子どもの活動意欲を高めること」と「気づきを与えること」の二つに絞って考えるようにしました。

そのため、声かけは「すごい!」「いい動き!」といった称揚や価値づけ、「やったね!」「いい勝負!」といった共感や盛り上げを大切にしつつ、「どこをねらう?」「相手はどこにいる?」のように思考の手がかりになる言葉を意識するようにしました。そうすることで、子どもの活動意欲は高まり、運動の中で学んでいく姿がより見られるようになりました。

とはいえ、いつも瞬時に気の利いた言葉が出るわけではありません。そこで私は、最終的に「いいね!」「おもしろい!」の二つを多く使うようになりました。
例えば、こんなシチュエーションです。

  • ハードル走のスタートの仕方をハンデをつけるために工夫している様子(座ってスタートと立ってスタート等)をみて「そのアイデアおもしろい!」
  • フラッグフットボールにおいて相手を撹乱するために攻撃チームが縦一列になって攻める様子をみて「その作戦おもしろい!」
  • 体つくり運動においてフラフープをいろんなところで回してみようという課題に対して、足で回したり肩で回したりする様子をみて「そこで回すのおもしろい!」

これらは決してうまくいかなくても、工夫していることを価値づけることを目的としています。「おもしろい!」は結果ではなく過程(思考)を認めていく声掛けなのです。
また、「いいね!」も、称揚や価値づけ、共感や盛り上げなど、幅広く使える言葉です。「すごい」や「上手い」は成功したときにしか使えませんが、「いいね!」は挑戦している姿勢に対しても使えます。同じように「おもしろい!」も、新しい工夫や考え方に対して使うことができ、子どもの思考を価値づけることにつながります。

この二つを教師が大きな声で言うと、周りの子どもも反応して、友達の運動を見たり聞いたりするようになります。そこから新たな気づきが生まれ、学びが広がっていくのです。

声かけの中心を「いいね!」「おもしろい!」に決めておくと、教師自身も関わりやすくなります。慣れてくると、「ねらいがいいね!」「その守り方、おもしろい!」といったように、子どもの思考や工夫に合わせた具体的な声かけもしやすくなっていきます。

子供に「おもしろい!」と声かけする教師

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