勝敗トラブルを減らす! ゲームの進め方の工夫【絶対うまくいく! 体育の超マネジメント#15】

体育のゲーム領域では、子どもたちはどうしても勝敗を意識します。それは自然なことです。ゲームである以上、勝ちたいと思う気持ちが生まれるのは当然でしょう。
しかし、その勝敗へのこだわりが強くなりすぎると、仲間を責めたり、負けたことで意欲を失ったりするなど、トラブルにつながることがあります。だからといって、勝敗をなくせばよいわけではありません。大切なのは、ゲームの進め方を工夫し、子どもたちの意識が勝敗だけに偏らないようにすることです。今回は、勝敗トラブルを減らすためのゲームの進め方の工夫を紹介します。
執筆/環太平洋大学次世代教育学部講師・中安翼
目次
ゲーム数を確保して、勝敗へのこだわりを和らげる
体育という教科は運動がメインになるため、活動時間を十分に確保することが大切だと言われます。
ただし、ここで意識したいのは、確保するのは「運動時間」だけではなく、「運動機会」でもあるということです。
例えば同じ10分間でも、10分の試合を1回行うのと、5分の試合を2回行うのとでは、子どもたちに与える意識は変わってきます。私は基本的に後者の形式をとることが多いです。長時間の試合が悪いわけではありませんが、何度も挑戦できる機会がある方が、前向きに取り組める子どもが増えやすいと実感しているからです。
対戦形式の活動では、子どもたちは少なからず勝敗にこだわります。そして、そのこだわりは、1時間の中での試合数が少ないほど強くなります。1時間の中で1回しか勝敗がつかないのであれば、その1回は何としても勝ちたいと思うのが当然だからです。
しかし、それは意欲的になる子どもを生む一方で、意欲を失う子どもも生みます。例えば10分間の試合を1回だけ行う場合、残り1分で大差をつけられているチームの子どもは諦めてしまうかもしれません。また、接戦であればあるほど、仲間の失敗を厳しく責めてしまい、失敗した子どもが委縮することも起こりえます。
一方で、1時間の中で何試合も行う場合は、今の試合がうまくいかなくても、次に切り替えやすくなります。試合数が多ければ多いほど、子どもたちは前向きに活動しやすくなるのです。そして、その中で1試合でもよい結果が出れば、それが授業の中での記憶として残っていきます。
振り返るのは結果ではなく、ゲームの過程にする
ゲーム領域の授業では、勝敗を競うことになるため、子どもたちはどうしても結果にこだわります。そのため、ゲームが終わった後のまとめの時間にも、
「今日は勝った」
「今日はぼろ負けした」
といった振り返りが出やすくなります。
教師によっては、最後の集合時に各コートの結果を発表させることもあるでしょう。私も過去にそのようにしたことがあります。しかし、それはあまりおすすめしません。みんなの前で結果を発表すると、どうしても勝敗への価値が高まり、勝った方がよくて、負けた方はよくなかった、というイメージがつきやすくなるからです。
しかし、そもそも授業のめあては「ゲームに勝つこと」ではないはずです。
例えばゴール型であれば、ボールを運ぶ・運ばせないためにどうするかを学んでいます。ネット型であれば、ボールを返す・返させないためにどうするかを学んでいます。つまり、振り返るべきなのは結果ではなく、ゲームの過程です。
「こうすればうまく運べた」
「こうすると返しにくかった」
といったことこそ、本来の学びなのです。
そして、こうした学びを積み上げたから勝利した、となるわけではありません。
相手のミスで点が入ることもあれば、自分は何もしていなくても仲間の力だけで勝つこともあります。つまり勝ったから学びが深い、とは一概には言えないのです。逆に、負けたとしても、ゲームの中で何がうまくいって何がうまくいかなかったのかをしっかり振り返れている子どもは、学びが深いのです。
そのため、結果をわざわざ全体で発表する必要はありません。そもそも自分たちのコートの結果は分かっているはずです。あえて他コートの結果まで取り上げる必要はないのです。最後に振り返るべきなのは、ゲームの中身であり過程だと私は考えています。
