体育のゲームがうまくいく! 子どもと考えるルールづくり【絶対うまくいく! 体育の超マネジメント#12】

ボール運動やゲームの授業では、まず教師がルールを示してから活動に入ることが多いでしょう。しかし、最初に決めたルールが、いつでもそのままでよいとは限りません。実際にやってみると、
「少し分かりにくい」
「この人数だと動きにくい」
「一部の子ばかりが活躍してしまう」
「このルールだとゲームが止まりやすい」
といったことが起こることがあります。そんなときは、ルールを子どもたちと確認しながら整えていくとよいでしょう。体育のゲームでルールを変えるのは、子どもたちに好き勝手を許すためではなく、みんなが楽しく、そして学びに向かいやすくするためです。何を競う運動なのかを明確にし、その学びにみんなが参加しやすくなるようにルールを考えていくことが大切です。
今回は、体育のゲーム領域でのルールの決め方・変え方について紹介します。
執筆/環太平洋大学次世代教育学部講師・中安翼
目次
ルールには「変えてはいけないもの」と「見直せるもの」がある
まず大切なのは、ルールには「変えてはいけないもの」と「見直せるもの」があると整理しておくことです。
変えてはいけないものは、安全に関わることや、その運動の本質に関わることです。例えばサッカーで、「ボールをとるためなら相手の足を蹴ってもよい」と認めたら危険ですし、「ボールを手で持って走ってもよい」としてしまえば、それはもう別の競技になってしまいます。
一方で、ボールがコートの外に出たときの再開方法や、1チームの人数、得点の入り方などは、子どもたちの実態に合わせて見直せます。
まずはこの違いを教師が押さえておくことが、ルールづくりの出発点になります。
まずはやってみて、子どもと確認する
私は、まずこちらで決めたきまりやルールを提示し、実際に運動を行ったうえで、子どもたちと確認しながら必要に応じて修正・追加するようにしていました。
例えば、活動のあとに
「よく分からないルールはあるかな?」
「やってみてややこしいと感じたところはないかな?」
「もっとこうした方がやりやすいと思うことはあるかな?」
と問いかけます。
こうすると、子どもたちは実際にやってみて感じたことをもとに考えることができます。運動が得意な子だけでなく、苦手な子からも意見が出やすくなります。ノートに書くようにすると、さらに多くの声を拾いやすくなります。
最初から教師がすべて決めて固定するのではなく、子どもの意見を反映しながらルールを整えていくことが大切です。そうすることで、子どもたちはより意欲的に取り組みやすくなるだけでなく、きまりやルールそのものも理解しやすくなります。
ルールを考えるときの3つの視点
子どもたちがルール変更の意見を言うときには、以下の3つの基準を守るようにしましょう。
この基準を導入することで、ルール変更の話し合いに「正しく学ぶための視点」が加わります。
① 競っていることからズレていないか
② 安全か
③ 公平でわかりやすいか
① 競っていることからズレていないか
1つ目は、その運動で何を競っているのかという視点です。
例えばサッカーで手の使用を認めたり、バレーボールのパスでワンバウンドを認めたりすると、何を競う運動なのかが変わってしまいます。こうしたルール変更は基本的に認められません。サッカーは「手を使わずにボールをゴールまで運べるか」を競い、バレーボールは「ボールを自陣に落とさず、相手コートに返せるか」を競っているためです。
私は新しいゲームに入る際には、必ず「何を競う運動なのか」を子どもたちに伝えるようにしています。決して「勝敗を競う」とは言いません。例えばサッカーなら、攻めでは「手を使わずにボールをゴールまで運べるか」、守りでは「相手にボールを運ばせないようにできるか」といったことです。これはその単元で子どもたちが学ぶ内容になります。
こうしたことを明確にしておかないと、「勝つため」に、勝っているチームがあえて攻めなかったり、わざとボールを外に蹴り出したりするといった時間稼ぎのような行動が出やすくなり、学びの中身に向き合いにくくなります。そして、それを防ぐための新たなルールをつくらなくてはならなくなり、ルールが複雑になっていくのです。
② 安全か
2つ目は、安全かという視点です。
ルールを変えることで、けがの危険が高まらないかを考える必要があります。
例えば、「タックルをありにしたい」といった提案は、接触によるけがの危険が高いため、基本的には採用できません。また、「1チームの人数を増やしたい」という提案も、コートが狭い場合には接触が増えやすくなり、安全面から採用しにくくなります。
一方で、「コートを広くしたい」という提案は、コート内でのぶつかり合いを減らせるので、安全面からプラスに働くこともあります。ただし、コートを広げたことで壁が近くなったり、隣のコートとの間隔が狭くなったりする場合には、かえって危険になることもあります。
このように、安全かどうかはルールそのものだけで決まるのではなく、子どもの技能差、人数、使う教具、コートの広さなどを踏まえて考えることが大切です。
③ 公平でわかりやすいか
3つ目は、公平でわかりやすいかという視点です。
