第5学年「平均」の単元構想&授業アイデア【算数科の「深い学び」授業アイデア 第5回】

文部科学省学習指導要領解説を踏まえた、小5算数科「平均」の単元構想と授業アイデアです。今回は、日常生活の事象を数学的に捉えて問題を解決する学習過程と、数学の事象を統合的・発展的に考察する学習過程を通して、平均の意味や、測定した結果を平均する方法を多面的に捉えて検討し、数学的な見方・考え方を繰り返し働かせて単元を見通した「深い学び」の実現を目指します。
執筆/お茶の水女子大学附属小学校 ・久下谷明
▼この連載についての解説はこちらから(第1回)↓
単元や題材などのまとまりを見通した算数科の「深い学び」授業アイデア|第1回 《基調解説》算数科の「深い学び」とは?(加固希支男)
目次
該当学年と単元名
5年生 平均
関連のある既習事項
3年生 わり算 (関連度◎)
5年生 比例 (関連度◎)
単元の評価規準
(知識・技能)平均の意味について理解するとともに、測定した結果の平均を求めることができる。
(思考・判断・表現)概括的にとらえることに着目して、測定した結果を平均する方法や平均から全体量を求める方法を図や式などを用いて考え表現している。
(主体的に学習に取り組む態度)平均の意味や、測定した結果を平均する方法を、図や式などを用いて考えた過程や結果を振り返り、多面的にとらえ検討してよりよいものを求めて粘り強く考えたり、数学のよさに気づき学習したことを今後の生活や学習に活用しようとしたりしている。
単元を見通した「深い学び」を実現するためのポイント
本単元では、単元を通して以下の3つの着眼点を繰り返し働かせ、学習内容を相互に関連付けることによって、「深い学び」の実現を目指します。
- ばらつきのある複数の数量を、全体量を変えずに均等化して(ならして)考えると?
- 平均することによって、一つ分の大きさを一定とみなして理想化し、個数と全体量との関係を比例関係として捉えると?
- 得られた平均の意味や妥当性を、目的に応じて考えると?
学習指導要領(平成29年告示)解説算数編の第5学年の内容「D(2)測定値の平均」では、「概括的に捉えることに着目し,測定した結果を平均する方法について考察し,それを学習や日常生活に生かすこと」(p.274)と示されています。ここでいう「概括的に捉える」とは、ばらつきのある複数の数量を、全体を等しくならしたと仮定した一つ分の大きさによって捉えることであると考えます。
また、学習指導要領解説には、次のように述べられています。
平均については児童が形式的に計算できればよいというのではなく,その意味を理解することが必要である。測定した結果を平均する方法については,多いところから少ないところへ移動しならすという方法や,全てを足し合わせたのち等分するという方法が考えられるが,それらの方法と平均の意味を関連させて理解できるようにする。
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説【算数編】 p.275
そこで、単元の導入では、日常生活の場面と関連付けながら、数量の多いところから少ないところへ移す「ならす」活動を、図を用いて行います。その際、個々の数量が変化しても、全体量は変わらないことを捉えられるようにします。そして、図上で数量を移してならす操作と、全ての量を合計して個数で等分する式とを関係づけ、平均の意味と求め方を理解していきます。
また、第3学年「わり算」で学習した等分除の意味と関連付け、平均を求める「合計÷個数」の式を、全体を等分したときの一つ分の大きさを求める式として捉え直します。これは、実際にはばらつきのある数量を、全体量を保ったまま均等化されたものとみなす、すなわち、数量を理想化して考えることにつながります。
さらに、平均を「ならした一つ分の大きさ」と捉え、実際には一つ一つ異なる一つ分の大きさを、平均した値で一定であると理想化して考えます。こうすることで、オレンジの個数とジュースの全体量との間に、比例関係があると捉えることができます。個数が2倍、3倍になると、全体量も2倍、3倍になると考え、「平均×個数=全体量」という関係を用いて、全体量や個数の求め方を考えます。
本実践では、このように理想化して捉えた「平均×個数=全体量」という関係を、全体量を求める日常生活の場面だけでなく、九九表に潜む数の関係や規則性を考察する場面にも活用します。例えば、九九表で横に連続して並ぶ3つの数では、真ん中の数が3つの数の平均になることから、その和を「真ん中の数×3」で求めることができます。見いだした規則性が成り立つ理由を平均の考えと関連付け、式や図を用いて説明します。さらに、数の個数や並び方などの条件を変えても成り立つかを検討することで、平均・個数・全体量の関係をもとに、数の関係を考察していきます。

また、平均は、複数の測定結果から、より妥当な値を得るためにも用いられます。学習指導要領解説には、「第5学年では,ならす操作としての平均の求め方を考え,測定値の平均の意味につなげる。一つのものの測定値の平均は,測定する対象がもつ真の値を予測した数値である」(p.70)と示されています。測定には誤差が伴うため、複数回の測定値を平均することで、対象がもつ真の値に近い、より妥当な値を得ることができます。
さらに、データに0が含まれる場合や、人数などの分離量の平均が小数になる場合を扱うことを通して、平均は、実際に存在する一つ一つの数量をそのまま表すものではなく、全体を等しくならしたと仮定して得られる、理想化された数量であることを捉えていきます。
また、学習指導要領解説には、「飛び離れた値や,予想外の値があった場合にそのわけを調べさせ,場合によっては,それらを除いて平均を求めたりすることなども考えられるようにする」(p.275)と示されています。平均を単に式に当てはめて求めるのではなく、「何のために平均を求めるのか」「得られた平均は何を表しているのか」を、目的や場面に照らして判断することが大切です。このように、平均の意味に着目し、その値の妥当性を吟味しながら問題解決や日常生活の場面で活用していきます。
本単元は、図2の「算数・数学の学習過程のイメージ」に示された数学的活動を踏まえて構成しています。単元の導入では、日常生活の事象に見られる数量のばらつきを数学的に捉え、数量を理想化・均等化しながら、平均の意味や求め方を考えます。単元の中盤では、九九表という数学の事象に潜む規則性を見いだし、平均・個数・全体量の関係と関連付けながら式や図を用いて説明したり、条件を変えて発展的に考察したりします。単元の後半では、0を含むデータや測定値の平均、自分の歩幅をもとにした道のりの推測などを扱い、平均の意味を日常生活の場面に即して捉え直し、問題解決に活用します。

出典:文部科学省(2016,p.18)より転載
なお、本単元を通して大切にしたい数学的な見方・考え方をまとめると、次のようになります。
- ばらつきのある複数の数量を、全体量を保ったまま均等化し、理想化された一つ分の大きさとして考えること
- 平均することによって、一つ分の大きさを一定とみなして理想化し、個数と全体量の比例関係を活用して、全体量や個数の求め方を考えるとともに、その関係を数量の関係や規則性の考察に活用すること
- 平均の意味や求める目的に着目し、得られた平均の意味や妥当性を判断しながら、問題解決や日常生活の場面で活用すること
このように、日常生活の事象を数学的に捉えて問題を解決する学習過程と、数学の事象を統合的・発展的に考察する学習過程とを単元の中に位置付け、単元を通した一連の数学的活動によって、これらの数学的な見方・考え方が、より豊かで確かなものになることを目指します。
単元計画


