小5算数「合同」の単元構想&授業アイデア【算数科の「深い学び」授業アイデア 第7回】

文部科学省学習指導要領解説を踏まえた、小5算数科「合同」の単元構想と授業アイデアです。今回は、平面図形の決定および合同の意味を理解し、頂点、辺、角の対応を見付けて合同な図形を作図する実践を紹介します。本実践では、図形の決定条件に目を向け、合同という観点で既習の図形を捉え直し、合同の意味や図形の性質についての理解を一層深めていくことを目指します。
執筆/寝屋川市立中央小学校 首席(主幹教諭)・山中 佑介
▼この連載についての解説はこちらから(第1回)↓
単元や題材などのまとまりを見通した算数科の「深い学び」授業アイデア|第1回 《基調解説》算数科の「深い学び」とは?(加固希支男)
目次
該当学年と単元名
5年生 合同
関連のある既習事項
4年生 三角形と四角形 (関連度◎)
4年生 平行と垂直 (関連度◯)
単元の評価規準
(知識・技能)平面図形の決定および合同の意味を理解し、頂点、辺、角の対応を見付けて合同な図形を作図することができる。
(思考・判断・表現)図形の決定、合同という観点から既習の基本図形の性質を考え、構成要素に着目して合同な図形の作図の仕方を考えたり説明したりしている。
(主体的に学習に取り組む態度)平面図形の決定、合同を構成要素に着目しながら考察する過程やよさについて振り返り、学習したことを今後の生活や学習に活用しようとしたりしている。
単元を見通した「深い学び」を実現するためのポイント
本単元では、単元全体を通して子供が以下のような問いを持ち、図形を構成する要素の関係に着目しながら、「図形が決まる」とはどういうことかを考えることによって、学習内容を相互に関連付け、「深い学び」の実現を目指します。
- 図形の形や大きさは、何によって決まるのだろう?
- 合同な図形をつくるために、どのように頂点の位置を決めればよいだろう?
- 図形の決定や合同の学習に、これまでの学習はどのように役立ったのだろう?
また、図形の決定や合同の学習は、自分たちの図形の見方をどのように深めるのだろう?
図形の合同については、二つの図形を重ね合わせて同じ形・大きさであることを捉えるだけでなく、対応する辺の長さや角の大きさなど、図形を構成する要素の関係に着目して考えることが重要です。この際、図形を構成する要素のうち「どの要素が定まれば図形が一つに決定するか」という図形の決定条件に目を向け、図形が一つに定まることを活かして、合同な図形を作図しようとする視点が大切です。
この点について、小学校学習指導要領解説(算数編)には、次のように述べられています。
三角形など簡単な平面図形について,図形が「決まる」という意味を理解し,合同な図形を能率的にかくことができるようにする。図形が決まることについては,ふつう,目的とする図形と合同な図形ができることを指している。
小学校学習指導要領(平成29年告示)解説【算数編】p.249
そこで本単元では、図形を「できあがった形」として捉えるのではなく、一つ一つの頂点の位置を決めていくことで図形が構成されていくという見方を大切にします。
例えば、合同な三角形をつくる場面では、やみくもにすべての辺や角を測って形を確かめるのではなく、「この頂点の位置を決めるためには、何が分かればよいか」という目的意識を持てるようにします。そうすることで、辺の長さや角の大きさなどの情報を、単なる図形の特徴としてではなく、図形の形や大きさを決めるために必要な要素として捉えられるようにします。
また、こうした見方を、合同な図形をつくったり、条件を変えて図形を構成したりする活動と関連付けます。図形が決まるという観点から既習の図形について見直すことで、「正方形は1つの辺の長さが決まれば、形や大きさが決まる」「平行四辺形を対角線で分けると、2つの三角形は合同になる」というような図形の性質についても考察することができます。こうした活動を通して、「なぜこの条件があれば図形が決まるのか」「なぜ同じ条件から同じ形・大きさの図形ができるのか」を考えることで、合同の意味や図形の性質についての理解を深めていきます。
このように、「図形の決定」を子供が意識しながら図形の合同について学んでいくために、本実践では学習活動や発問を通して、子供が平面図形における「頂点同士の位置関係」に着目できるようにしていきます。令和7年度 全国学力・学習状況調査「小学校 算数」調査問題 2(国立教育政策研究所)では、平行四辺形の作図のプロセスを振り返る場面が取り上げられていますが、ここでは「頂点Dの位置を決めるために」というように、頂点の位置を決定することが、図形を作図するための目的意識として明確に示されています。(図1)

令和7年度全国学力・学習状況調査「調査問題・正答例・解説資料」|国立教育政策研究所
このように考えると、多角形における図形の作図という営みは、その一つ一つの頂点の位置を決めるということで図形を構成していくことだと捉えることができます。本単元では、この見方を図形間の関係に着目して図形の構成の仕方について考察することを通して確かめていきます。
はじめは、「ずらす(平行移動)」「回す(回転移動)」「裏返す(対称移動)」ことで、図形同士が「ぴったり重なる」という具体的な操作をもって図形間の合同という関係を捉えます。そのうえで、「ぴったり重ねる」ことができない場面では、その操作を対応する辺の長さや角の大きさが等しいことに置き換えて考え、その構成要素同士の対応関係について考察することを通して、図形同士の合同を判断したり、合同な図形を作図したりすることができることを目指します。

