1日で12cmも伸びる!? 秋のミステリー植物「ヒガンバナ」のしたたかな生存戦略〜明日の朝の会で話したくなる!ヒガンバナの秘密〜
秋のお彼岸の頃になると、通学路のあちこちに突然ニョキニョキと赤い花を咲かせるヒガンバナ。子どもたちから「先生、なんで急に咲くの?」と聞かれたことはありませんか? 実はこのヒガンバナ、他に類を見ないほどの驚異的なスピードで生長し、ライバルを出し抜く「したたかな生存戦略」を持ったドラマチックな植物なのです。科学が苦手な方でも思わず「へぇ!」と言いたくなる、ヒガンバナの面白くて個性豊かな秘密に迫ります。ちなみに、ヒガンバナは強い毒性をもつ植物ですので、子どもたちが手で触ったりしないように、十分気をつけてくださいね!
【連載】モンタ先生の自然はともだち #42
執筆/森田弘文
目次
究極の「ずらし」戦略!ライバル不在の冬を狙う
一般的な植物は、春から夏にかけて「根→茎→葉→花」の順に成長します。ところがヒガンバナは違います。「葉見ず花見ず」という別名があるほど、花があるときには葉がなく、葉があるときには花がありません。
ヒガンバナは、他の植物が青々と茂る夏の間は地上から完全に姿を消して休眠します。そして、ライバルの植物たちが枯れ始める秋から冬にかけて、一気に緑の葉を茂らせて太陽の光を独占するのです。他の植物と争わず、寒い時期にしっかりと球根に養分をため込む。この見事な「時期ずらし」こそが、ヒガンバナの強さの秘密です。

メジャー1つで大興奮!1日で最大12.5cmも伸びる驚異のスピード
秋のお彼岸の季節になると、忽然と花芽を出し始め、あっという間に花を咲かせます。
筆者が実際に自宅の庭で、毎日同じ時間(午前10〜11時頃)にメジャーを使って花茎の長さを計測してみたところ、驚くべき事実がわかりました。
ヒガンバナの花茎生長の実験









なんと、1日で最長125mm(12.5cm)も伸びる個体があったのです!
花芽を出してからわずか7〜8日で花を咲かせるその急成長ぶりは、毎日目の前で見ていてワクワクするほどでした。特別な道具はメジャーだけで済むため、秋のクラス活動として、子どもたちと一緒に日々の生長をグラフに記録してみるのも面白いかもしれません。
生長の記録・グラフ


強靭な生命力をささえる武器
きれいな花には毒がある。これはまさにヒガンバナのことを指します。ヒガンバナは強力な毒をもち、その上どんな荒れ地や乾燥した土地でも生き抜く高い環境適応力を持っています。まさに強靭な生命力のかたまりなのです。
モグラも菌も逃げ出す強力な毒
ヒガンバナは、アルカロイド系の大変強力な毒をもっています。これは動物の神経系に作用するタイプのもので、人間がうっかり食べようものなら入院沙汰になってしまいます。モグラやイノシシなどの野生動物や虫なども、ヒガンバナを避けます。さらに、この毒は菌やウイルスなどに対しても有効なため、病気に対する抵抗力も非常に高いです。

森田弘文(もりたひろふみ)
ナチュラリスト。元東京都公立小学校校長。公立小学校での教職歴は38年。東京都教育研究員・教員研究生を経て、兵庫教育大学大学院自然系理科専攻で修士学位取得。教員時代の約20数年間に執筆した「モンタ博士の自然だよりシリーズ」の総数は約2000編以上に至る。2024年3月まで日本女子大学非常勤講師。その他、東京都小学校理科教育研究会夏季研修会(植物)、八王子市生涯学習センター主催「市民自由講座」、よみうりカルチャーセンター「親子でわくわく理科実験・観察(植物編・昆虫編)」、日野市社会教育センター「モンタ博士のわくわくドキドキ しぜん探検LABO」、あきる野市公民館主催「親子自然観察会」、区市理科教育研修会、理科・総合学習の校内研究会等の講師を担当。著書として、新八王子市史自然編(植物調査執筆等担当)、理科教育関係の指導書数冊。趣味は山登り・里山歩き・街歩き、植物の種子採集(現在約500種)、貝殻採集、星空観察、植物学名ラテン語学習、読書、マラソン、ズンバ、家庭菜園等。公式ホームページはこちら。
