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《新連載》単元や題材などのまとまりを見通した算数科の「深い学び」授業アイデア|第1回 算数科における「深い学び」とは?

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文/国立教育政策研究所・加固希支男

次期学習指導要領の改訂に向けて、「主体的・対話的で深い学び」の実装が目指されています。「深い学び」を実装するには、単元全体を見通した授業づくりが重要な鍵となります。本連載では、既習内容と関連付けながら理解を深めていくための単元構想の考え方を、算数科の具体的な実践事例をもとに紹介します。第1回では、国立教育研究所・教育課程調査官の加固希支男先生が、算数科における「深い学び」の意味とともに、その実現に向けて教師がどのような視点で授業を構想すべきかを概説。次期改訂を見据えつつ、今からの授業改善に直結する実践的な視点を提示します。


今回の執筆者:加固希支男(かこ・きしお)
国立教育政策研究所教育課程調査官(併)文部科学省教科調査官。東京都公立小学校、東京学芸大学教育学部附属小金井小学校を経て、2025年4月より現職。『「個別最適な学び」を実現する算数授業のつくり方』『小学校算数 「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実』『数学的な見方・考え方を働かせる算数科の「探究的な学習」』(いずれも明治図書出版)など編著書多数。

学習指導要領における「深い学び」の重要性

現在、次期学習指導要領改訂に向けた検討が進んでいます。令和7年9月25日に出された論点整理には、次期学習指導要領改訂に向けた検討の方向性として、以下の3点が示されました。

①「主体的・対話的で深い学び」の実装(Excellence)
② 多様性の包摂(Equity)
③ 実現可能性の確保(Feasibility)

そして、「この3つの方向性を現時点で端的に表現すれば「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」と言える」と述べられています(図1参照)。

図1 論点整理で示された「次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる考え方」(元資料へのリンクはこちら

「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」という言葉からも、次期学習指導要領において、各教科等の学習において「深い学び」の実装が目指されていることがわかります。

また、次期学習指導要領に向けた検討において議論されている「高次の資質・能力」「深い学び」を子供が実現する単元づくりのイメージを教師が持てるようにする役割を担っているものとして検討されているものなのです。これについては、令和7年10月14日総則・評価特別部会資料1-1において「このうち特に、『知識及び技能の統合的な理解』『思考力・判断力・表現力等の総合的な発揮』(※以下、総称して『高次の資質・能力』)を示すことについては、『知・技』『思・判・表』の深まりの可視化を通じて『深い学び』を実現する単元づくりのイメージを教師が持てるようにする役割を担うもの」と述べられています。

先述したように、「深い学び」は、現行の学習指導要領で資質・能力を育むための授業改善の視点として示されているものです。ですから、「深い学び」は現行の学習指導要領下においても実装すべきものであると同時に、次期学習指導要領につなげるための重要な視点でもあると考えられます。

算数科における「深い学び」とは何か?

算数科において「深い学び」を実装するためには、教師が「深い学び」を実現している子供の姿を想定し、子供を見取る必要があります。そのためには、授業をする教師が「『深い学び』を実現している子供の姿とは何か?」ということを意識しておく必要があります。

今後、次期学習指導要領改訂に向けた検討の中で、「深い学び」の意味も変わっていく可能性があります。そこで、本連載では、現行の学習指導要領において示されている「深い学び」の意味に基づいた実践を紹介していくことにします。

では、現行の学習指導要領における「深い学び」の意味を共有していきましょう。

まず、小学校学習指導要領(平成29年告示)(以下、「本則」とする)第1章第2の3の⑶「指導計画の作成等に当たっての配慮事項」のアには、以下のように示されています。

各教科等の指導内容については,⑴のアを踏まえつつ,単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら,そのまとめ方や重点の置き方に適切な工夫を加え,第3の1に示す主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を通して資質・能力を育む効果的な指導ができるようにすること。

ここからわかることは、目標は「資質・能力を育む」ことであり、そのために、「単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うこと」が必要だということです。「深い学び」の実装は「資質・能力を育む」ためであることは忘れないようにしなければなりません。

次に、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説総則編(以下、「解説総則編」とする)第3章第3節1の⑴「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善(第1章第3の1の(1))」には、「深い学び」について、以下のように述べられています。

習得・活用・探究という学びの過程の中で,各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら,知識を相互に関連付けてより深く理解したり,情報を精査して考えを形成したり,問題を見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。(下線は筆者加筆)

以上のことからも、現行の学習指導要領における「深い学び」の意味としては、以下の4つが考えられます。

・知識を相互に関連付けてより深く理解すること
・情報を精査して考えを形成すること
・問題を見いだして解決策を考えること
・思いや考えを基に創造すること

算数科における「深い学び」については、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説算数編(以下、「解説算数編」とする)第4章の1の⑴「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」に、以下のように述べられています。

日常の事象や数学の事象について,「数学的な見方・考え方」を働かせ,数学的活動を通して,問題を解決するよりよい方法を見いだしたり,意味の理解を深めたり,概念を形成したりするなど,新たな知識・技能を見いだしたり,それらと既習の知識と統合したりして思考や態度が変容する「深い学び」を実現することが求められる。(下線は筆者加筆)

解説総則編で述べられている『深い学び』の意味の『知識を相互に関連付けてより深く理解すること』と、解説算数編で述べられている算数科における『深い学び』は親和性が高いと考えられます。共通することは「学びを関連付ける」ということではないでしょうか。一単位時間で学びを閉じるのではなく、「昨日と今日の学習で共通することは何か?」「共通することを使えば、明日はどんなことができるか?」「今まで学習したことを使えば、新しいことを考えることができた!」と、学びを関連付けていく姿が「深い学び」を実現している子供の姿と考えられるのではないでしょうか。

「深い学び」を子供が実現するために重要な、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通した学習

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