小2生活「大きくなったわたしたち」指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
文部科学省教科調査官監修 1人1台端末時代の「教科指導」ヒントとアイデア 小二 生活科「大きくなったわたしたち」指導アイデア

文部科学省教科調査官の監修による、小2生活科の授業案です。1人1台端末を活用した活動のアイデアも紹介します。今回は「大きくなったわたしたち」の単元を扱います。

執筆/大阪府公立小学校指導教諭・藤山浩世
編集委員/文部科学省教科調査官・齋藤博伸
 大阪府公立小学校校長・前谷さき子

年間指導計画

年間指導計画(クリックすると表示します)
4月春だ 今日から 2年生
5月大きく なあれ! わたしの 野さい!
6月どきどき わくわく まちたんけん
7月生きものと なかよし
8月大きく なあれ! わたしの 野さい!2
9月うごく うごく わたしの おもちゃ
10月冬野さいを そだてよう
11月もっと なかよし まちたんけん
12月つながる 広がる わたしの 生活
1月みんなで つかう まちの しせつ
2月大きく なった わたしたち
3月ありがとうを とどけよう

単元目標

自分の生活や成長を振り返る活動を通して、過去と現在の自分を比べたり、支えてくれた人々との関係を見つけたりして、自分でできるようになったことや役割が増えたことなどに気付くとともに、これまでの生活や成長を支えてくれた人々に感謝の気持ちをもち、これからの成長への願いをもって意欲的に生活しようとすることができるようにする。

これまでの生活科でいろんな探検をしてきたね。何を探検してきたかな

学校探検や町探検をしたよ

自然観察園(公園)も探検したよ

いろんな探検をしてきたね。それでは今回は生活科の最後の探検をするよ。今回は自分探検に出発です

学習の流れ(全18時間)

【小単元1】大きく なった 自分の ことを ふりかえろう[1~3時]

(入学からの様々な写真の提示をしながら)これはいつだったかな? どんなことをしたかな?

入学式だ。小さいな

ひらがなの学習をしてる。今は、漢字もいっぱい書けるようになったよ

なわとび。いっぱい練習して二重跳びもできるようになったよ

給食。ちょっとしか食べられなかったから、減らしてもらっていたけど、今は残さず食べられるようになったよ

学校行事や授業記録で撮りためている写真や動画、記録カード、作品などを見せることにより、入学してからの出来事を振り返ることで、自分の成長過程で様々なことに取り組んだことを思い出せるようにしましょう。

入学してからの出来事を振り返るときに、「自分はどうだったかな」と問いかけることで、自分でできるようになったことや大きくなったことに気付き、もっと自分のことを調べてみたいという意欲をもつようになります。

小単元2の活動では、家族へのインタビューを行うことが考えられます。子供の誕生や生育に関わる事柄には、それぞれの家庭の事情、特に生育歴や家族構成などに十分配慮する必要があります。

評価規準

知識・技能:自分でできるようになったことや大きくなったことに気付いている。[発言]

思考・判断・表現:自分ができるようになったことや大きくなったことについて過去と現在の自分を比較しながら話している。[発言]

【小単元2】大きく なった 自分の ことを たんけんしよう[4~9時]

できるようになったことを紹介しましょう

ピアノが上手になったよ。ピアノの先生がいっぱい教えてくれたよ

ボールを投げたり蹴ったり、速く走れるようになったりと、運動がうまくなったよ。お父さんがいっしょにやってくれたんだ

1年生にやさしくできたよ。「ありがとう」って言ってもらってうれしかったな

自分ができるようになったことを「思い出カード」に書いて紹介し合い、それを聞いて互いのすてきなことを見付けたり、さらに自分のことにも気付いたり、「思い出カード」を書き溜めていくことで、いろいろな自分の成長に気付きます。

藤山学級の子供が作成した「思い出カード」。「1学っきのことわたしはなわとびがにがてでした。でも2学っきになっていろんなとびかたができるようになってきてうれしかったです」
藤山学級の子供が作成した「思い出カード」。「1学きのころわたしはなわとびがにがてでした。でも2学きになっていろんなとびかたができるようになってきてうれしかったです」
藤山学級の子供が作成した「思い出カード」。「二年生になってとびばこを上手にとべるようになりました。さいしょはとびばこにおしりがついていたけれど、今はとびばこにおしりもつかないで上手にとべるようになりました。つぎはちがうとび方でしたいです」
藤山学級の子供が作成した「思い出カード」。「二年生になってとびばこを上手にとべるようになりました。さいしょはとびばこにおしりがついていたけれど、今はとびばこにおしりもつかないで上手にとべるようになりました。つぎはちがうとび方でしたいです」

できるようになったことを思い出す中で、誰に関わってもらったのか、お世話になった人や家の人などにも自分の成長についてインタビューすることで、自分の成長を支えてくれている人がいることにも気付きます。

自分の成長を頭の中だけで振り返ることは難しいので、その手掛かりとして、家族や親戚、幼稚園や保育園の先生からの話などが考えられます。行事のスナップ写真や生活の中でのエピソードなど、子供がインタビュー活動をしていくことについて、あらかじめ担任から協力依頼をしておくとよいでしょう。

インタビューして集めてきた「思い出カード」を時系列に並べて、それぞれに関わってくれた人やその時の気持ちを考えることで、自分の成長には、様々な人が関わっていることに気付くことができます。

どの時点から自分の成長を振り返ることができるか、子供によって違いはありますが、大切なのは、自分が大きくなったこと、自分でできるようになったことが増えたこと、自分の役割が増えたことなど、自分の成長を実感できることです。また、優しい気持ち、他者への思いやり、我慢する心など、内面的な成長に気付きの質を高めていくことも大切です。

「大きくなった 自分のことを たんけんしよう」板書例1。めあて:小さいころの思い出をしょうかいしよう
子供が作成した思い出カードを掲示し、ハート形の用紙に情緒的な気付きを書いて添えた。
「大きくなった 自分のことを たんけんしよう」板書例2。めあて:小さいころの思い出をしょうかいしよう

自分のできるようになったことをイメージマップに表してみましょう。下図のように、様々なことを思い出し、関連付けていくことで、自分の成長に気付くことができ、自分のことをもっと知りたいという気持ちが育ちます。

めあて「できることになったことを紹介しよう」のイメージマップ例
藤山学級の子供が作ったイメージマップ
藤山学級の子供が作ったイメージマップ。2年生でもここまで詳細なイメージマップにまとめることができる。

評価規準

思考・判断・表現:自分の成長について、振り返ったことや周囲の人から聞いたことを関係付けながら、話したり、かいたりしている。[発言・作品]

主体的に学習に取り組む態度:自分のことをもっと知りたいという思いをもち、身近な人に聞いて調べようとしている。[発言・行動観察・作品]

【小単元3】自分の ことを まとめよう[10~18時]

①自分の せい長を 作ひんに まとめよう[10~15時]

調べたことの中から自分の成長について表す出来事を選び、それを表現するのに適した方法(すごろく、巻物、絵本、新聞、ランキングなど)を決めます。

〇絵本…これまで書いたたくさんのカードを使ってまとめることができます。

自分のことをまとめた絵本の表紙
藤山学級の子供が作成した絵本の表紙。

〇巻物…これまでに書いた思い出カードを成長順に並べて貼っていきます。順に並べることで、自分の成長を時系列で見直せる良さがあります。

巻物。赤ちゃんの頃からスタート。
巻物。赤ちゃんの頃からスタート。
巻物の1学期の成長。なわとびの練習をしていろいろな跳び方ができるようになったこと、母親に頼まれておつかいしたことなどが並ぶ。
1学期の成長。なわとびの練習をしていろいろな跳び方ができるようになったこと、母親に頼まれておつかいしたことなどが並ぶ。
巻物に書かれた「将来のわたし」。パパみたい「すごい」とほめられる日本舞踊の先生になりた。
巻物に書かれた「将来のわたし」。パパみたいな「すごい」とほめられる日本舞踊の先生になりたい。

〇すごろく…ゲーム性があるため、コマの内容に従って複数の他者と一緒に楽しむことができます。

〇新聞…自分の成長場面を選んで記事にしたり、レイアウトを工夫したりすることができます。

〇ランキング…自分の成長を順位づけるために、その場面や出来事を詳しく振り返ろうとします。また、複数のランキングを作成することもできます。

②友だちと 作ひんを 見せ合い かんそうを つたえ合おう[16~18時]

1年生の頃はできなかった前振り跳びが、2年生でできるようになって成長しているね

逆上がりは、たくさん練習したから、できるようになったんじゃないかな

自分の成長についてまとめた絵本や巻物を友達同士で見せ合い、感想を伝え合う子供たち。

巻物や絵本などにまとめた作品には、読んだ友達に書いてもらう一言感想欄を設けておきます。今回は、「みんな、スターだ」という意味を込めて、友達の作品を読んだ感想を書いた星型の付箋を貼ることにしました。友達や周囲の人の意見や感想によって、自分の成長を見つめ直すことができます。

巻物の最後に書かれた学級の友達からの感想。練習して跳べるようになった前振り跳び、九九、逆上がりなど、できるようになったこを称える温かいメッセージで溢れている。
巻物の最後に書かれた学級の友達からの感想。練習して跳べるようになった前振り跳び、九九、逆上がりなど、できるようになったことを称える温かいメッセージであふれている。

また、自分の成長をまとめた作品を友達と見せ合い、感想を伝え合って、自分や友達のよいところを見付けられるようにしましょう。

これまでの生活科の学習で書き溜めてきた学習カードや作品などを活用することで、長期にわたる自分の変容を捉えることができます。

評価規準

知識・技能:自分自身や友達のよさや可能性に気付いている。[発言・作品]

思考・判断・表現:自分の成長について気付いたことの中から、書きたいことを選び出し、作品に表している。[行動観察・作品]

主体的に学習に取り組む態度:自分の成長についてまとめたいという気持ちをもち、適切な方法で作品を作ろうとしている。[行動観察・作品]

1人1台端末を活用した指導アイデア

「大きく なった 自分の ことを ふりかえろう」(1時~3時)では、入学してから、2年生のこの時期までに撮影した学校行事や授業風景などの写真や動画を集めて、スライドショーにして思い出を共感することが大切です。そのためにも、日ごろから写真を撮りためておきましょう。他の教科や単元で撮影したものを使うのもよいでしょう。

「大きく なった 自分の ことを たんけんしよう」(4時~9時)では、カードに自分で撮影した写真を添付して作成することもできます。

さらに、「自分の ことを まとめよう」(10時~18時)では、端末を使ってプレゼンテーションにまとめることも可能です。

評価のポイント

これまでの単元の学習で培ってきたことを生かす

この単元は生活科のまとめとしての単元です。これまでの学習を通して培ってきたことを生かして、自分のことを振り返っていきます。過去の自分と現在の自分を比べて、できるようになったことや役割が増えたことに気付き、また、自分の成長を支えてくれた人々がいることに気付き感謝の気持ちをもつことで、これからの自分の生活や成長に願いをもって意欲的に生活しようとする態度を育むことが大切になります。

イラスト/高橋正輝

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