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子供の学びのプロセスを見て、その中で「指導と評価の一体化」を実現【次期学習指導要領「改訂への道」#44】

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中教審レポートと関係者インタビューで綴る 次期学習指導要領「改訂への道」
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「学びに向かう力」を評価はするけれども評定はしない【次期学習指導要領「改訂への道」#44】バナー

前回は、総則・評価特別部会の山本朝彦委員(横浜国立大学教授、同大学教育学部附属小学校校長)に評価の改訂の方向や現場の先生に求められる力について説明していただきました。今回はその評価に加え、単元(授業)づくりの考え方や「指導と評価の一体化」について説明をしていただきます。

執筆/教育ジャーナリスト・矢ノ浦勝之

目標を明確にした後、評価課題のデザインと単元のデザインを一体的に行う

今回、中央教育審議会の議論に参加していて、文部科学省(以下、文科省)の事務局がよく踏み込んでくれたと思っているのが、「資質・能力の育成に繋がる学習評価のプロセスの再整理(案)」の図です(資料参照)。これまでは目標があり、内容があり、規準をつくって……と、1つの授業を行うにも相当なプロセスが必要でした。そこで先生も疲弊していたわけです。

それに対して今回は、まず「目標の裏返しを評価規準」とし、「単元(学習過程)のデザインと評価課題のデザインを一体的に構想する」と示しています。それは我々学校教員は以前から行ってきたことではありますが、文科省がここまで踏み込んで示してくれたのは素晴らしいことだと思います。これによって、目標を明確にした後、評価課題のデザインと単元(学習過程)のデザインを一体的に行うわけで、これこそ「指導と評価の一体化」の実現につながると思います。

資料

資質・能力の育成に繋がる学習評価のプロセスの再整理(案)
総則・評価特別部会の資料より抜粋。

実はこの図は、目標の後に評価課題のデザインと単元(学習過程)のデザインが分かれていたのですが、「そのプロセスを一体化してほしい」とお願いしました。そこは文科省事務局も考えてくれて、単元の実施と形成的評価の実施を一体化する形にしてくれたので、先生方にとっても分かりやすい図表になりましたし、また、今回の改訂が授業(単元)の質を上げるための改訂であるということも伝わるのではないでしょうか。

授業の中で、子供が何か行ったことに対し、先生が共感したり、受容したり、一緒に喜んだりすることが大事で、そのリアクション自体が評価なのです。さらに、子供たちの気付きを深めるために先生が発問することが指導につながっています。まさにそこが「指導と評価の一体化」の本質的な意味です。ですから、授業とセットで形成的評価を行うというのは、これまで長い間言われてきた「指導と評価の一体化」であり、それを具体化するメッセージになっていると思います。

逆に言えば、「先生が不在の学びの中で、子供の学びは深まるのか」といった問いがあるときに、やはり「先生がいるほうが深まりが加速的になる」のだと思います。なぜなら、そこに先生の形成的評価と評価に裏付けされた指導があるからです。

「主体的・対話的で深い学び」の授業にしても、新年度の学級開き当初からそんな学びは成立しないはずです。最初、子供たちの発言は一人ひとり単発であり、関わりもない分深まりが期待できる対話になっていません。そのとき先生は子供の発言に対し、「それって、どういうこと?」と質問したり、「でも、こういう場合はどうなるの?」と問い返したりします。先生がそういう姿をたくさん見せると、子供たちは「このように質問していいんだ」「こうすれば話がさらに深まるぞ」などと学ぶわけです。

そういうクラスでは、9月すぎくらいには先生が何もしなくても、子供たち同士が自ら関係づけ、対話し、学びを深めるようになっていきます。先生は自分の姿勢を通して学び方を見せ、子供の姿を形成的評価しながら、「主体的・対話的で深い学び」に誘っているのです。

だからこそ、前回お話をした通り、先生の資質・能力を高めることが、授業の質を高めることにつながっていきます。前回、評価の話から始まって、次第に授業改善の話につながっていくのは、結局それが評価の本質だからです。評価を突き詰めていくと、授業の質が上がることにつながるということです。

このような評価を行うには、学びのプロセスを評価していくことが重要だし、形成的評価は欠かせません。さらにそれは、指導と評価の一体化ですし、そのような単元づくりと評価を行っていけば、教師の指導性も高まるし、授業の質も上がっていくのです。

ですから、評価の話をするときには、学びの本質と合わせて一連のストーリーでお話が伝わればよいのですが、ともすると「評価規準はこうです」とか「観点別評価と評定の違い」といった、評価規準の話ばかりになってしまいがちです。「評価の意義」や「指導と評価の一体化」、そしてその先にある「授業の質の向上」のストーリーを理解していただくことが重要です。

今後は一層、「指導と評価の一体化」が必要になる

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