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通知表は「思い出」ではなく「記録」で書こう~児童カルテ活用のすすめ~【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#21】

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もうすぐ通知表を書く時期ですね。みなさんの中には、「何を書けばよいのだろう」「所見が思い浮かばない」「行動の様子はこれでよいのだろうか」と、パソコンの画面を前に、手が止まってしまった経験をもつ先生も多いのではないでしょうか。そこで今回は、通知表をスムーズに書くためのコツについて、皆さんと共有したいと思います。通知表を書く仕事は、子どもの成長を見取る仕事です。あわててしまったり、困ってしまったりした先生も、ちょっとした意識の変化と工夫で、高い教育的意義をもつ通知表を、楽に作れるようになりますよ。

若手先生の航海図|学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア バナー

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
協力:教師実践研究塾

子どもたちの記録を「カルテで取ろう」

そもそも通知表は何のためのもの?

通知表とは文字通り、学校の教育を保護者に通知するものです。これは法律で決められた義務ではなく、校長が自分の裁量で発行しているもの、というたてつけになっています。
最近では、通知表を廃止したり、所見欄を記入不要にするような学校も出てきましたが、その良し悪しについては大いに議論すべきではないかといえます。
なぜなら、通知表の役割は非常に重大だからです。保護者は例外なく子どもたちの学校での姿が気になっています。我が子が学校でどのように学んでいるか、人間関係は問題ないか、成長しているか、といったことに、大いに興味を持っています。
学校での子どもたちの具体的な姿を最もよく知る担任が、客観的な事実に基づいて、良い点も課題点も記録して共有する。これによって、学校と家庭が同じ目線で子どもの成長を支えることができますし、子ども自身も、長所を評価してもらうことで承認欲求が満たされ、課題点を示してもらうことで、自分の問題をメタ認知できるようになるといえます。
また、新年度・新学期に、新しい担任への引き継ぎもスムーズに行えます。

「思い出す」には限界がある

通知表を書く際には、「どれだけ子どもたちの姿をエビデンスとして持っているか」が物を言います。そして、どんなに記憶力のよい先生でも、記憶に頼って通知表を書くことには限界があります。
活発な子どもや目立つ子どもほど思い出しやすいものですが、その一方で、毎日コツコツ努力していた子どもの姿がは記憶から抜け落ちやすいからです。目立たないけれど、苦手なことに挑戦していた子ども。友達との関わり方が少しずつ変わってきた子ども。そうした成長の姿はとても大事ですが、後から思い出そうとすると難しいものです。
例えば、4月には友達の考えを聞くことが苦手だった子どもが、6月には友達の話を聞きながら自分の考えを話せるようになっていたとします。一日だけ注目したとしても、その変化には気付きにくいものです。しかし、日々の記録が残っていれば、「できるようになった」という成長が見えてきます。

ぜひ皆さんも、日々の子どもたちの姿を記録にとっていきましょう。
皆さんにおすすめしたいのが、「児童カルテ」です。授業でどんな発言をしていたか。係活動でどんな姿が見られたか。友達との関わりの中でどんな変化があったか。苦手なことにどのように挑戦していたか。そうした小さな事実を、日々気づいたところで少しずつ書いていきます。

【児童カルテ】※記事の最後にダウンロードリンクがあります

【児童カルテ】

一見仕事の負荷が増えるように思われるかも知れませんが、実はまったく真逆で、子どもの成長をていねいに見つめる教師の目を育てていくことができ、指導力や学級経営能力、そして保護者と連携する力もどんどん成長していきます。結果として、無駄に悩んだり、考えたりする時間が少なくなり、より効率のよい仕事ができるようになります。

児童カルテで忘れたくないポイントとは

学期が始まる前に準備しよう

児童カルテは、学期が始まる前に準備しておくことが理想です。
特に上段の「得意なこと」「配慮事項」「友人関係」は、前担任からの引き継ぎとして記入しておくと、児童理解の大きな助けになります。
特に、
●あらかじめ気をつけておきたい特性上のポイント(発表は苦手、集団より個人を好む等)
●健康上の留意点(どうしても苦手な食べ物、アレルギーへの配慮等)
●人間関係上の注意点(この子とトラブルが多い等)
を忘れずに聞いておくと、学級経営がしやすくなります。
学期が始まると毎日はあわただしく進むため、最初のうちは見取りが難しかったりするためです。

「日常記録」と振り返りを大切にしよう

通知表を書くときに「行動の様子」と「所見」で困ったことにならないよう、児童カルテの中で「通知表につながる日常記録」をなるべくていねいに書いておきましょう。
日付、場面、具体的事実を簡単に書きます。授業中の発言、係活動、友達との関わり、挑戦していたことなど、気付いたことを日記代わりに記録していきます。

大切なのは、感想や印象ではなく、エビデンスとして書くことです。
「優しかった」ではなく、「困っている友達に進んで声をかけ、一緒に活動していた」
「責任感がある」ではなく、「係活動で自分の仕事が終わった後も周囲を見て進んで活動していた」

というように、具体的な姿を書きます。
ただ、クラスの中には目立つ子もいれば、静かに努力する子もいますので、気が付くと、ほとんど記録がない子が出てくることがあります。

そこでお勧めしたいのが、「週に一度、全員のカルテを見る時間」を作ることです。
記録が少ない子がいたら、「最近どんな姿があっただろう?」と振り返ります。

授業。係活動。友達との関わり。責任感。協力。挑戦。継続。
こうした点を気にしつつ、通知表に出てくるキーワードである「基本的な生活習慣」「健康・体力の向上」「自主・自律」「責任感」「思いやり・協力」といった観点から、子どもたちの姿を思い出してみましょう。
これまで子どもたちの様子を記録にとって来なかった先生も、今なら間に合います。ぜひ、これからの毎日で子どもたちを見取り、メモをとっていきましょう。

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