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本好きになれば、良いことばかり。子どもも教師も、読書好きになっていく教室へ 【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#21】

連載
若手先生の航海図~学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア~
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内田仁志

みなさんは、読書していますか? スマホやタブレットを使うことが当たり前の今では、動画やSNSに親しむ時間が長く、「最近あまり本を読めていない」と感じている方もいるかもしれません。
教師という仕事にとって読書は、一般的なそれとは少し違う意味を持ちます。子どもに言葉を教え、文章を読み、自分の考えを表現させる仕事だからです。教師自身が本に親しんでいると、教材を見る視点や、子どもの言葉の受け止め方が少しずつ変わっていきます。そして何より、本の面白さを自分の言葉で語れるようになります。

執筆/環太平洋大学教授・内田仁志
協力:教師実践研究塾(実践塾)

先生自身も、子どもと一緒に本好きになりませんか?

学校で読書指導が大切にされるのは、読書に子どもの学びや成長を支える力があるからです。
例えば、物語を読むと、子どもは登場人物の気持ちを考えます。
「なぜこんなことをしたのだろう」
「本当はどう思っていたのだろう」
と想像しながら読むことで、相手の立場を考える力が育っていきます。また、本の中で出合った言葉は、少しずつ子どもの語彙を増やします。語彙が増えると、自分の気持ちや考えを言葉で表しやすくなります。

さらに、読書は集中して文章を追う力や、自分の頭の中で場面を思い描く力も育てます。映像を見るときとは違い、文字を読みながら自分で世界を想像する必要があるからです。
物語やさまざまな本に触れる中で、子どもは自然に言葉を学び、人の気持ちを考え、世界を広げていきます。だからこそ、学校には読書指導があるのだと思います。

読書好きな学級では、子どもの言葉が変わっていく

読書好きな学級になると、子どもの言葉が少しずつ変わっていきます。

四年生の国語で『ごんぎつね』を読んだときのことでした。
一人の子が、
「兵十は、ごんのことを許したと思う」
と言いました。
すると別の子が、
「でも、ごんは最後まで謝れなかった」
と言います。
さらに別の子が、
「兵十も寂しかったんじゃないかな」
とつぶやきました。

少し前まで、「かわいそうでした」「悲しかったです」で終わっていた子どもたちです。
本を読む経験を重ねると、子どもたちの、物語に対する解像度が上がっていきます。
「悔しかった」「本当は分かってほしかった」「安心したけれど、少し寂しい感じもした」。
そうした言葉が、自然に出てくるようになります。
読書は、子どもの中に言葉を増やし、自分の気持ちや他者の気持ちを丁寧に解釈できるようにしていきます。

教師も子どもも一緒に読書好きに

教師の好きなものは、教室に伝わる

読書指導で大切なのは、教師自身が本へ向かうことです。とはいえ、若い先生方の中には、学生時代からそれほど本を読んでこなかったという人もいるでしょう。それでもよいのです。教師も、子どもと一緒に読書好きになっていけばよいのです。
子どもは、教師の言葉だけでなく、教師の姿をよく見ています。心理学には、身近な人の行動や価値観に影響を受ける「同一視」という考え方があります。また、何度も接するものに親しみを感じやすくなる「単純接触効果」という考え方もあります。
まずは皆さんも、教材をきっかけにして、本を読むことを始めてみましょう。

教科書を入口に、子どもたちと会話しよう

子どもたちが本に興味を持つ大きなきっかけの1つが、教科書教材です。
上でご紹介した、四年生の国語で『ごんぎつね』を学習したときのことです。
授業が終わり、いつもなら真っ先に校庭へ飛び出していく子が、その日は教卓の前に来て、
「先生、『ごんぎつね』を書いた人の本、他にもありますか?」
と尋ねました。
「新美南吉の本は図書館にあるよ。ごんぎつねと同じように、きつねが主人公のお話があるよ。ごんぎつねは悲しいお話だったけど、そっちはあったかい気持ちになるお話だよ」
と伝えると、その子は図書館へ向かい、しばらくして『てぶくろをかいに』を持って戻ってきました。
すると、その様子を見ていた近くの子が、「何それ?」と聞きます。
その子が「『ごんぎつね』の人の本」と答えると、もう一人が「ぼくも読む」と言いました。
読書好きな学級は、こういう小さな場面から始まるのだと思います。教師が本の話をする。子ども同士が本をすすめ合う。図書館で借りた本を見せ合う。そうした空気が、少しずつ教室を変えていきます。

『くじらぐも』を学習したら『たんたのたんけん』や『いやいやえん』へ。
『スイミー』を学習したら『あおくんときいろちゃん』や『フレデリック』へ。
『ごんぎつね』を学習したら『てぶくろをかいに』や『でんでんむしのかなしみ』へ。
教材で心が動くと、もっと同じような体験をしたい=もっと読みたいと感じることでしょう。
その気持ちを子どもたちから引き出すように、水を向けてあげましょう。
教材として取り上げられる作家は例外なく、その他にも素晴らしい作品を世に送り出しています。
ぜひ先生たちも、子どもたちの先回りをするようにして、そうした作品に親しんでみてください。そして、あなたがそれらの作品について感じたことをそのまま言葉にして、子どもたちに紹介してあげましょう。子どもたちはあなたの知識の広さに驚き、読書への興味と意欲を高めていきます。

一冊通して読むことで「読む体力」を育てよう

教材としての物語は短いこともあり、今の子どもたちは一冊の本を最後まで読む経験が少なくなっています。最後まで物語の筋書きや登場人物を覚えておき、根気よくページをめくっていく、というような「読書の体力」がないわけです。
そこで、なるべく短く、そして内容的にも分かりやすい本を通して読み、1冊読み切ったという経験を積ませることから始めましょう。
教室で、
「先生、この人の話、前と似ていますね」
とか、
「こっちの方が好きです」
というような言葉が出始めたら、読む体力が育っている証拠です。
一冊読めた経験が、もう一冊読もうとする力になります。その積み重ねが、「自分は読める」という自信につながっていきます。

絵本こそイマジネーションの素晴らしい実例

「絵本は幼児のもの」と考える方がいます。しかし、私は違うと思います。
絵本の言葉には無駄がなく、ものごとを的確に、そして深く表現します。文学における表現の豊かさを実感できるはずです。さらに絵と言葉が結び付くことで、子どもはイマジネーションの素晴らしい実例を学び取っていきます。

また、誰でも理解しやすい内容であるために、会話が引き出されやすいです。
「私は、この子が好き」
「ぼくは違う」
「どうしてそう思ったの」
というような言葉が生まれ、そこから対話が始まります。これは、想像力だけでなく、友達の考えを聞く力や、自分の考えを言葉にする力にもつながります。

図書館へ連れて行こう

図書館は、本を保管する場所ではなく、子どもが本と出合う場所です。書架に並んださまざまなジャンルの無数の本たちは、子どもたちに直感的に、知の世界の広さと豊かさを伝えてくれます。
絵本、小説、図鑑、写真集…。さまざまな本を手にして、その種類の多さに気づくこと。他の友達が手にした本が気になったり、タイトルに惹かれて思わず手に取ってみたり。そうした実体験が、子どもの興味を広げます。

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