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4つのステップで楽しく作れる俳句指導

2019/8/27

言葉への関心を高めたり語彙を増やしたりすることに、とても有効な俳句づくり。5年生の子どもが楽しみながら言葉の力を伸ばせる俳句指導のコツを紹介します。

執筆/新潟県長岡市立公立小学校教頭 栗林育雄先生

俳句創作イラスト

スモールステップで「作れそう」という気持ちを高める

俳句は、「世界で最も短い詩」と言われています。わずか17音という限られた文字数の中で、自分の思いや感動を表現します。そのためには、余分な言葉をそぎ落とし、感動を伝えるのにふさわしい言葉を選び抜くことが求められます。俳句の創作体験を通して、語彙を豊かにしたり、言葉の使い手としての感覚を磨いたりすることができます。

3・4年生で短歌や俳句を読んで情景を思い浮かべたり、リズムを感じ取りながら音読したりする経験をしています。学習指導要領に「詩や短歌、俳句を作ったり、物語や随筆などを書いたりすること」とあるように、5年生では「読むこと」から「作ること」へとステップアップします。

俳句は、わずか17音の創作ですから、作文が苦手な子でも簡単に取り組めそうに思えます。ところが、「自由に作っていいよ」と投げかけても、「何を書いたらよいかわからない」「どうやって作ればよいかわからない」という子が少なくありません。限られた文字数で作るというのは、案外ハードルが高いのです。ですから、いきなり自由に創作させるではなく、スモールステップの指導で「これなら作れそうだ」という気持ちを高めることが大切です。

次の4つのステップで単元を展開します。

ステップ1 子ども作品を読んでみよう
 ●「お気に入り俳句集」を作ろう
ステップ2 一部分を創作してみよう
 ●「穴うめ五・七・五」にチャレンジ
 ●マッピングで言葉を書き出そう
ステップ3 川柳を作ってみよう
 ●「なりきり川柳」にチャレンジ
ステップ4 俳句を作ってみよう
 ●言葉のスケッチに出かけよう

ステップ1 子ども作品を読んでみよう

子どもに創作活動をさせるときは、まずは優れた作品をたくさん読み味わい、どんなものを作ればよいのかというイメージをもたせることが大切です。これは、俳句だけに限らず、詩や川柳、短歌や随筆など全ての創作活動に言えることです。

3・4年生で、松尾芭蕉や小林一茶、与謝蕪村などの俳句に親しんできています。ところが、大人が作った俳句は、子どもたちが参考にするには少し難しいという面があります。そこで、同世代の子どもたちが身近な自然や物事を捉えた俳句をたくさん読み、親しませます。「子どもでも、こんなに素敵な作品を作ることができるのか」「なるほど、こんなふうに作ればいいのか」と感じさせることにより、「自分でも作れそうだ」「作ってみたい」という創作意欲を高めます。

●「お気に入り俳句集」を作ろう

・図書館から「子ども俳句作品集」などを借りて用意する。様々な作品集を集め、クラスの人数分用意できるとよい。交換しながらいろいろな俳句集を手に取らせる。
・本が足りない場合は、インターネット上で公開されている子ども俳句コンテストなどの優秀作品などをプリントアウトしておくとよい。
・よい句を見つけると、すぐに「これに決めた」と他の句を読まずに終わりにしてしまう子もいる。たくさん読み味わってから、お気に入りの作品を選ばせたい。そこで、付箋を配っておき、よいと思った作品に自分の名前を記入した付箋を貼らせる。付箋を付けた中から、お気に入りの俳句を絞り込んで選ばせる。
・自分が気に入った作品をワークシートに視写させ、選んだ理由も書かせる。一つに絞れないという子には、二、三句選ばせる。
・どこから引用したのかがわかるように、作者名、本の題名、出版社を必ず書かせる。
・全員分を集めて印刷し、「お気に入り俳句集」として製本、配付する。

ワークシート例
ワークシート例

子どもたちは、「お気に入りの作品を選ぶ」という目的をもつことによって、たくさんの俳句を主体的に読むようになります。また、できあがった「お気に入り俳句集」を配付し、お互いにどんな作品を選んだかを読み合います。このように「選ぶために読む」「友が選んだものを読む」と形を変えて、何度も優れた俳句に親しませることができます。

ステップ2 一部分を創作してみよう

同世代の子どもたちの作品を読み味わうことを通して、少しずつ「自分でも作れそうだ」「自分も作ってみたい」という気持ちが高まってきます。そこで、まずは川柳の一部分を創作する活動に取り組みます。

●「穴うめ五・七・五」にチャレンジ
・7音の部分を空欄にしておき、穴埋めの要領で言葉を当てはめ、作品を作る。

穴うめ五・七・五

・作品ができあがったら、お互いに作ったものを紹介し合う。

お互いの作品を鑑賞し合うとき、誰の作品が一番よいかではなく、「その子ならではの発見」を大切にし、発想の豊かさを認め合えるようにします。ここで、五・七・五のそれぞれの部分を「上五(かみご)」「中七(なかしち)」「下五(しもご)」と呼ぶことを教えておくと、「上五がよくできているね」「中七を工夫するといいよ」と、その後の授業を進めやすくなります。

五・七・五のそれぞれの呼び方

また、文字数と音数の違いについても指導しておくとよいでしょう。川柳や俳句は、17文字ではなく、17音で表します。

・1音と数えるもの=長音「う」「-」、促音「っ」、撥音「ん」
・1音と数えないもの=拗音「やゆよあいうえお」

チョコレートは6文字ですが、「チョ」「コ」「レ」「ー」「ト」の5音と数えます。キャンプファイヤーは9文字ですが、7音と数えます。慣れてきたら、「上五と中七を空欄にする」「中七と下五を空欄にする」など、空欄部分を増やし、創作部分を広げていきます。

空欄部分を増やして創作部分を広げる

空欄が増えることにより、作品づくりの自由度は高まりますが、創作が苦手な子にとっては、難易度も上がります。そこで、テーマからどんな言葉を連想するかをマッピングの手法で書き出します。最初は、グループで作業すると、語彙を増やすことができます。書き出した言葉を組み合わせることにより、苦手な子でも作りやすくなります。

運動会にちなんだ言葉をマッピングすることで、俳句を作りやすくする
上五の「運動会」を変えていく創作

作品づくりが進むと、中には、「上五が、みんな『運動会』で始まっていておもしろくない。上五を別の言葉にしたい」という子が出てきます。創作意欲が高まったことの表れです。自分がよりよいと思った言葉にどんどん差し替えさせていきます。

このように、穴埋めのやり方で最初は一部分だけを創作させ、あとから他の部分を差し替えるようにすると、苦手な子でも作ることができます

ステップ3 川柳を作ってみよう

「自由に創作したい」という気持ちが十分に高まったところで、いよいよ自由に作品づくりに取り組ませます。「テーマが思いつかない」という子のために、子どもに身近な「お題」を用意しておくとよいでしょう。

<お題の例>
・給食 ・そうじ ・帰り道
・勉強 ・昼休み ・日曜日
・友達 ・習い事 ・趣味
・家族 ・ペット ・夏の思い出

テーマを選んだら、マッピングの手法で思いついた言葉をどんどん書き出し、そこから作品を作っていきます。

テーマを決めて言葉を書き出す
最初にできた作品

最初は、直接感情を表す「うれしい」「楽しい」などの言葉や「したんだよ」という味気ない言葉を使いがちです。ありきたりな言葉を差し替えたり、上五と中七を入れ替えたりしながら、作品を練り上げさせます。

作品の練り上げ方の例

また、物事を擬人化する作品づくりに取り組ませると、気持ちを表現できるようになります。

「なりきり川柳」にチャレンジ

ステップ4 俳句を作ってみよう

いよいよ俳句として作品を作ります。川柳と俳句には、次のような違いがあります。

俳句と川柳の違い

俳句のきまりを一度にたくさん指導すると、難しいと感じてしまう子が多くなります。創作の入門期である5年生には、「俳句には、季語を入れる」ことを主に指導するとよいでしょう。切れ字などの細かいきまりは、俳句づくりに慣れてきたら指導をするのがよいと思います。

<おすすめの夏の季語>
・うちわ ・うなぎ ・あさがお
・うきわ ・海水浴 ・泳ぐ
・くらげ ・すいか ・アマガエル 
・とんぼ ・夏休み ・金魚 ・蚊
・日がさ ・日やけ ・かみなり 
・はだし ・炎天下 ・きゅうり
・冷や麦 ・風りん ・せみ ・登山
・ふん水 ・プール ・ヘチマの花
・キャンプ ・せん風機 ・花火 

夏は、「すいか」「海水浴」「花火」など、子どもたちに親しみやすい季語が多く、指導するよい機会です。たくさんある夏の季語の中から、子どもたちの生活とつながりのあるものを「おすすめの夏の季語」として掲示します。その中から、使いたい季語を一つだけ選ばせます。季語を選んだら、次の視点で考えると俳句を作りやすくなります。

季語を選んで「擬人化」「語りかけ」「例え」で創作

俳句は、机上で創作するよりも、教室を離れ、作品づくりの素材を求めて学校探険をすると、よい作品がたくさん生まれます。

●言葉のスケッチに出かけよう

・鉛筆と消しゴム、作品を書く短冊を10枚程度持たせる。
・校内や校庭で見つけたことを短冊に書く。
・必ず、どこに季語を入れたのか、傍線を引かせる。

学校探検後の作品例

継続してたくさん作ることが大切

俳句や川柳は、継続してたくさん作ることにより、技術や感性が磨かれていきます。ですから、毎日欠かさず一句を作ることを継続しましょう。そして、子どもたちの作品を集めて学級通信で家庭に紹介します。すると「○○くんの作品、いいね」と家庭で話題になり、それまで、あまり意欲的でなかった子が、「よし、私ももっと頑張ろう」と奮起するようになります。家族の反応が、子どもの意欲向上につながるのです。最初は、毎日欠かさず作ることに難しさを感じていた子も、作品づくりを続けていくことにより、「先生、今、俳句を思いついたよ。聞いて」と学習活動をしながら作れるようになります。

一番大事なことは、教師も子どもも作品づくりを楽しむことです。今しか撮れない写真があるように、今しか作れない作品をたくさん残せたら、素敵な思い出になると思います。

イラスト/佐藤道子

『小五教育技術』2017年9月号より

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