小6国語科「デジタル機器と私たち」全時間の板書&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小6国語科「デジタル機器と私たち」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小六 国語科 教材名:デジタル機器と私たち(光村図書・国語 六)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/長野県駒ケ根市立中沢小学校・原 猛

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、デジタル機器とのよりよい付き合い方について、提案する文章(提案文)を書きます。
これまでの学習をいかして、提案内容とそれを支える理由や事例、原因と結果、問題と提案内容との関係等を整理したり、グループでよりよい文章に練り上げていったりする活動を通して、文章全体の筋道が通り、提案に説得力が出るように、文章の構成や展開を考える力を育てます。
*教科書には「提案する文章」と表記されているので、板書や教師と子供のやりとりでは、教科書通り に表記しています。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、「B 書くこと」の言語活動例「ア 事象を説明したり意見を述べたりするなど、考えたことや伝えたいことを書く活動」として、デジタル機器との付き合い方で気になることや問題と感じることをテーマに取り上げ、よりよい付き合い方をするための方法についての提案文を書きます。
提案文を書く際には、読み手が提案内容を十分に理解・納得できるようにすることが重要です。そのため、子供がどこでつまずきやすいかを想定するためにも、できれば教師が事前に自作してみることがよいでしょう。
また、書いた提案文を実際に発表したり、実践したりする場を設定することで、子供にとっての目的意識が生まれ、説得力のある書き方を工夫しようとする意欲につながるでしょう。

4. 指導のアイデア

デジタル機器は現代社会に必要不可欠であり、子供にとっても身近なものです。使う上で様々な問題を経験したり、見聞きしたりしている子供も多いでしょう。それらの問題に対する具体的な解決方法を提案するという言語活動を取り入れることで、目的意識をもって学習を進められることが期待できます。

本単元では、テーマ決めから提案文の完成まで、グループ内で情報を共有したり、考えを整理したりしながら進めます。そこでは対話による練り上げが不可欠です。提案内容についての話合いや、文章の構成を考える場面、推敲の場面を中心に、問題点を見つけ解決方法をグループで考えていく中で、事象と自分のもつ知識や情報とのつながりに気付いたり、様々な人の考えを関係づけながら考えたりする姿が見られることを願っています。

グループ活動を中心としながらも、個人でじっくり考える時間を保障することも重要です。
話合いの前に一人で考えたり調べたりする時間を確保したり、ノートやワークシートに各時間の振り返りを書いたりすることで、各自がどのように考え、そこからどのように学習を進めようとしたのかを確認することができます。
そうすることで、これまでの自分の考えと、調べたことや話合いによって生じた新たな考えを突き合わせて、自身の考えをまとめ直すといった、自己調整の力を育むこともできるでしょう。

子供たちは様々な教科の学習で、事象に基づいて自分の考えを書くという活動を重ねてきています。
デジタル機器に関わる事象と自分の知識とを結び付け、調べた情報を関連させながら、よりよい解決方法を考えたり、文章の構成や展開を工夫しながら表現したりする過程で、自身の考えを形成したり、言葉による見方や考え方を深めたりすることが期待できます。
そしてその学びは、提案したことを実践に移したり、さらなる課題を見つけたりして、自分たちの力で生活を変えていこうという、教科を超えた意識の形成に発展していくと考えられます。

5. 単元の展開(8時間扱い)

 単元名: 構成を考えて、提案する文章を書こう

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
① これまでに書いた文章の文種を振り返り、提案文を書くという見通しをもつ。
・これまでにどんな文章を書いてきたか振り返ったり、提案文の特徴を確認したりする。
② デジタル機器との付き合い方について、調べたことや話し合ったことをもとにテーマを決める。 

・第二次(3時4時5時6時7時
③④ 情報を集めて提案内容を検討する。〈 端末活用(1)〉
・本やインターネットで調べたり、身近な人にインタビューしたりし、テーマに関する情報を集める。
・集めた情報をもとに、提案する内容を話し合う。
⑤グループで話し合って、提案文の構成を考える。〈 端末活用(2)〉
・どのように構成を決めたかをノートやワークシート等に書く。
⑥グループで分担して下書きを書く。〈 端末活用(3)〉
・提案文のポイントを共有し、グループで分担を決め、下書きする。
⑦ グループで下書きを読み合って推敲し、提案文を清書する。〈 端末活用(4)〉

・第三次(8時
⑧ 提案文を全体で読み合い、感想を交流してよさを共有し、学習を振り返る。

6. 全時間の板書例・端末活用例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

みなさんは、これまで国語の学習で、どんな文章を書いてきましたか?

文章を読んで自分の意見を書いたことがあります。説明する文章などです。

挿絵からイメージして物語を書いたことがあります。詩や俳句も作ったことがあります。

今までに色々な種類の文章を書いてきましたね。この学習では、テーマについての自分の考えや、解決策を提案する文章の書き方を学び、実際に書いてみましょう。

今回は、みなさんにとって身近なデジタル機器をテーマにしましょう。みなさんは、どんなデジタル機器を持っていますか?

ゲーム機を持っています。インターネットを使って友達と通信したことがあります。

スマホやタブレットで動画を見たり、写真を撮ったりしたことがあります。

デジタル機器を使っている中で、困った経験や心配になったりしたことはありますか?

動画をずっと見ていて、親に叱られたことがあります。

そういう経験を友達と話し合ってみましょう。

通信で対戦ゲームをしたときに、友達とケンカになったことがあるよ。

動画を見るのを止められなくて、寝るのが遅くなって、次の日に眠くて困ったよ。

SNSのやりとりがきっかけで犯罪に巻き込まれた、というニュースを見たことがあるよ。

次の時間には、デジタル機器との付き合い方について、気になることを詳しく調べてみましょう。

○1時間目は、これまで「書くこと」の学習でどんな文章を書いてきたかを振り返り、提案文を書くという目的や見通しをもちます。3・4年生では報告文や案内文等を、5年生では説明文や意見文等を学習してきています。
提案文はこの中の意見文に近い文種といえます。過去に学習し、書いてきた様々な文章の特徴を振り返ったり、比較したりすることで、提案文の書き方の特徴を理解し、学習の見通しをもつことができるでしょう。

単元の見通しがもてたら、次に身近なデジタル機器との使い方をテーマにすることを伝え、デジタル機器を使っていて困った経験などを話し合います。
デジタル機器は子供にとって身近なものではありますが、「困った経験」といっても具体的にイメージしづらいかもしれません。日頃からデジタル機器に関する書籍や新聞記事を子供に紹介したり、話題に挙げたりしておくと、子供の興味・関心を高めることができ、自分の経験を具体的に話し合うことができるでしょう。


【2時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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