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<キャッチボール連載>若手女性教員の奮闘日記 毎日が全力疾走!♯3 「消極的だけれど責任感のある子」が、集団を成長させる

連載
菊池省三の「コミュニケーション力が育つ年間指導」~3学級での実践レポート~
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教育実践研究家、教育実践研究サークル「菊池道場」主宰

菊池省三

菊池省三先生から学び続ける全国各地の教師たちが集う教育実践研究サークル「菊池道場」を代表する若手お二方によるキャッチボール連載がスタート。子どもと向き合う上での葛藤、毎日の忙しさ、そして奮闘の日々の中に訪れる至福の瞬間……。若手教員の等身大でリアルな日常を綴ります。

今回の執筆者/田中麻莉子(千葉県公立小学校教諭)

「2:6:2」の「6」をどう捉え、どう関わるか

今回は、連載第2回の高田さんの原稿を受けて、よく集団の分析で使われる「2:6:2の法則」のうち“6”にいる子どもたちとの関わりについて、教室での事実とともに考えていければと思います。

学級における「2:6:2」の捉え方の一つとして、真ん中の「6」には、高田さんが書かれていた通り、「消極的だけれど責任感がある子」、または「積極的だけれど責任感がない子」が含まれると考えています。そして私の場合、「一人ひとりを見ていく」ということを常に強く意識していないと、この6割の子どもたち──特に「消極的だけれど責任感のある子」──との関わりが薄くなってしまいがちです。しかし、日々子どもたちと過ごしていると、こうした子どもたちの成長こそが、学級全体の成長に大きな影響をもたらすのだということを、改めて感じる場面が多くあります。

5月の総合の授業で、「地域をPRするマスコットキャラクターをつくろう」ということになりました。
子どもたちもやる気に満ち溢れ、学習計画をつくる1時間はとても盛り上がりました。
授業の最後に私は、「今日立てた計画がいつでも確認できるように、掲示物を作ってくれる人がいるといいね。」と声をかけました。というのも、この時点で教室に貼ってある掲示物は、ほとんど私が作ったものばかりだったからです。この日の総合の時間は、子どもたち同士が本当に前のめりになって話し合い、学習計画をつくることができたので、私が掲示物を綺麗にまとめてしまうのはもったいないと咄嗟に思い、具体的な声かけをしたのでした。

その日の業間休み、Aさんが「総合の計画、書いていいですか。」と声をかけてきました。Aさんは、どの授業でもノートやペアトークの内容から一生懸命考えていることが伝わる、とても真面目で努力家のお子さんです。一方で、自分の思いや考えを発信することには苦手意識があるのだろうと、私は感じていました。いわば、冒頭に書いた「消極的だけれど、責任感のある子」です。
私はこれまで、「待つ」ことを意識しすぎて、そのような子に成長を促すアプローチが足りなかったのかもしれないと反省しました。「クラスのために何か動きたい」という思いがあっても、どのように行動すればよいのか分からないケースもあります。今回は、私が具体的に声をかけたことが、「安心して行動する」ことにつながったのかもしれません。Aさんが自分から「やりたい」という思いを行動に移したことが、私はとても嬉しかったですし、この経験がAさんの自信につながるといいなぁと思いました。

その後、「クラスのために働いてくれて、ありがとう。」と感謝の気持ちを伝え、模造紙とペンを渡しました。すると、そのやりとりを見ていたクラスの子どもたちが5名ほど集まってきて、「私も書きたい!」と口々に言いながら、好き勝手にペンを取り始めたのです。
Aさんの戸惑いは、子どもたちから3歩ほど離れていた私にもはっきりと伝わりました。今回は私が子どもたちの間に入ろうと決め、どう声をかけるかを考えていました。

しかしその時、私の予想に反して、Aさんは少し声を張って、「ちょっと待って!」と周りの子どもたちに言いました。周りの子どもたちは、はっとして書こうとしていた手を止めました。
その後Aさんは、「まず模造紙は横に使おう。さっき先生に聞いたら、縦書きがいいと思うって言っていたよ。」と、みんなに指示を出したのです。

この姿は、私にとって衝撃でした。振り返ってみるとこれまで、「消極的だけれど責任感のある子」のこうした場面では、私が介入してしまうことが多かったように感じます。「成功体験にしてほしい」という私の想いが、子どもたちにとってはお節介とも受け取られかねない介入につながっていたのかもしれないと、今は深く反省しています。
Aさんは「責任感のある」子です。Aさんには失敗から学ぶ強い学びができるということについて、私の考えが至らなかったのだと思います。

写真:子どもたちが書いた総合的な学習の時間の計画
子どもたちが書いた「総合的な学習の時間」の計画

学級のトラブルと「強い学び」

7月の初旬、Aさんのそうした「強い学び」を実感できる場面がありました。

私は2時間目に他学年の授業を参観する予定があったため、その時間はクラスを自習にしていました。授業参観が終わり、業間休みになったころに教室へ戻ると、日直の子が教室の外で泣いていました。
聞けば、授業が終わる時間になったのに私が戻ってこなかったため、日直の子は「号令をかけない方がいい」と判断していたそうです。しかし周りの子たちが「早く号令をかけて」と、その子を責めるような言い方をした、とのことでした。もちろん、かばってくれる子も多くいたそうですが、その子たちも「なんでそんな言い方するの!」と声を荒らげて強く言い返してしまい、結果として学級全体がもめてしまったとのことでした。

私は次の時間に、「クラスの子が一人、学級全体のことで涙を流した」という事実を取り上げ、なぜそんなことが起きたのかを右半分の黒板に書くよう子どもたちに伝えました。

「みんなが強い言い方だった」「一人の子を大勢で責めた」など、子どもたちは一生懸命考えながら書いていました。続けて、これからどうするべきかを左半分の黒板に書くように言いました。「優しい言い方をする」「近くの人が言ってあげる」など、たくさんの意見が出ました。

私は、「(右半分を指しながら)これを群れと言います。(左半分を指しながら)これを集団と言います。群れは、考えずに流されることが多いから成長できません。集団は、今の皆さんのように一人ひとりが『どうするべきか』を一生懸命考えながら行動しているから、成長していきます。〇〇さんの涙を悲しい涙で終わらせず、責任を持ってみんなで成長につなげたいですね。」と学級全体に話しました。
菊池実践の一つである「価値語」を使った指導です。その後、「群れと集団の話を聞いて」というテーマで成長ノートを書くように伝えました。

Aさんのノートには、「わたしもちゅういしていなかったけど、ちゅういをしたら(みんなが)やさしくなれたのかもしれない。」と、自分の行いを振り返り、これからの行動につなげようとする文章が書かれていました。そしてノートの最後には、「もうだれ一人きずつけたくないです。」と、Aさんの強い思いが綴られていました。「一人を泣かせてしまった」という事実にしっかり向き合い、自分の成長へつなげようとするまっすぐな気持ちが伝わり、私は深い感動を覚えました。同時に、Aさんの成長が学級全体の成長にも影響を与えるのだと確信しました。

Aさんが書いた成長ノートの一部

6割の子の成長は「言葉」から

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