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いじめが生まれない学級文化とは? ~学級の土台をつくる姿勢をもとう〜【若手先生の航海図】

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若手先生の航海図~学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア~
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
若手先生の航海図 学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア バナー

いじめが起きない教室の共通点は、子どもたち一人ひとりの「居場所」があることです。役割を通して「自分はこの学級に必要だ」と実感でき、互いを尊重して安心して挑戦できる空気が、学級全体の「文化」として根付いてこそ、いじめは皆無になります。言い換えれば「この学級では何を大切にするのか」という価値観が、教師の日々の言葉や行動に表れ、共有されるということです。今回は、その「学級文化」をどう作っていけばいいのか、考えていきましょう。

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
協力/教師実践研究塾(実践塾)

学級目標を一年間の文化に育てる

キャッチーで口ずさみやすい学級目標に

学級の目指す姿を子どもたちと共有するには、使いやすい学級目標を立てることが有効な手段です。「この学級をどんな学級にしたいのか」「みんなで何を大切にして一年間を過ごすのか」といったことに、子どもたちの願いや教師の願いを重ねることで、その学級らしさが生まれます。言い換えれば、学級目標は、そのクラスの特徴や個性、そして文化を方向付けるものなのです。
大切なのは、毎日の生活で使いやすいキャッチフレーズであることです。
例えば「一歩ずつ成長していこう」という願いをそのまま学級目標にしても、言いにくいですよね。
しかし、「STEP by STEP」としたら、日常の様々な場面で目標を思い出し、口ずさみやすいです。
朝の会で「今日は学級目標に近づくために、どんなことを大切にしようか」と考え、帰りの会では「今日の自分たちは目標に近づけただろうか」と振り返る。授業や係活動、行事でも、「これは私たちの目標につながっているね」と教師が価値付けていきます。

子どもたちの判断の拠り所となるように

学級目標の内容は、「自分で考える」「最後まで取り組む」「友達の考えを大切に」など、子どもたち自身が行動するときの、判断の拠り所になるような言葉であるとよいでしょう。「今日は自分で考えられたかな」と価値付けを続けると、指示される前に自分で調べて行動する子が増えていきます。学級目標が子どもの内なる判断基準になったとき、それは学級文化となります。

子どもと地域の実態を大切に

その学校固有の文化もある

子どもたちは、それまでの家庭生活や地域での暮らし、学校生活の中で、すでに様々な価値観や経験をもって教室に集まってきます。
そのため、教師の理想を押し通すと、子どもや地域が大切にしてきた文化を壊すことがあります。

以前、修学旅行の自由行動で「テーマパークはふさわしくない」と反対した際、子どもから「ずっと楽しみにしていたのに」と言われたことがありました。理由を調べると、その地域では果樹栽培業が盛んなため、家族旅行が難しく、学校行事が「多様な体験の保障」として長く大切にされてきた背景がわかりました。また長年続いている、その学校の伝統的な行事にも何か特別な理由があることが多いです。

こうした物事の背景についても、しっかり調べて学級文化に取り入れるようにしてください。

公平でリスペクトのある人間関係を

教師の言葉遣いが公平感をつくる

特定の子だけをニックネームで呼ぶと、教師にその意図がなくても「先生はあの子を特別に見ている」という不公平感が生まれます。全員を「さん付け」にし、丁寧な言葉遣いを心掛けましょう。 教師が公平な態度を示すと、子ども同士でも相手を軽く扱う言葉が減ります。いじめを防ぐ学級文化は、大げさな指導からではなく、毎日の言葉遣いから始まるのです。
子どもたちは、教師が思っている以上に、教師と友達との関わり方をよく見ています。「先生は誰の話も同じように聞いてくれる」「誰に対しても同じように接してくれる」という日々の積み重ねが、教師への信頼につながります。
呼び方だけでなく、話を聞く態度や注意するときの言葉にも、「一人一人を同じように大切にする」という教師の姿勢を表していきましょう。

「ありがとう」が自然に出る教室をつくる

「黒板を消してくれてありがとう」と、具体的な行動を言葉にして認めると、何が学級のためになる行動かを子どもは理解します。感謝を伝え続けると、やがて子ども同士でも自然と「ありがとう」が交わされます。「自分も学級の役に立っている」と感じ合えることが、確かな居場所づくりにつながります。

教室には、こうした小さな「ありがとう」の種がたくさんあります。落ちている物を拾った、配付物をそろえた、困っている友達を待った、係でなくても気づいて動いた。
教師がそうした行動を見つけ、「ありがとう」と具体的に伝えます。目立つ活躍だけでなく、誰かのためにした小さな行動にも価値があることを、教師の言葉によって学級全体に広げていくのです。

安心して挑戦できる空気感を

失敗を成長へつなげる

失敗した友達を笑うことを放置すれば、教室はいじめの温床になりかねず、誰も挑戦しなくなります。失敗そのものを責めるのではなく、「なぜそうしたのか」「次はどうするか」を一緒に考え、成長の材料として温かく扱う雰囲気が重要です。
授業中に友達が間違えた答えを言って笑いが起きたときは、そのまま流さないでください。
そして、
「間違った考えを出してくれたから、みんなで考えられるね」
と、その発言の価値を教師が示します。体育で失敗した子がいれば、結果だけでなく挑戦したことを認めます。教師が失敗をどう扱うかを、子どもたちは見ています。「失敗しても大丈夫」と思える経験を日常の中で積み重ねることが、安心して挑戦できる学級文化をつくります。

自分の言葉で振り返らせる

修学旅行で単独行動をしてしまった子がいました。興味を持ったこと自体は否定せず、「なぜそうしたのか」「何が問題だったか」を自分の言葉で振り返らせました。自ら理由と問題点を整理することで初めて自身の行動を捉え直し、次へ進むことができます。

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