小1 国語科「じどう車くらべ」全時間の板書&指導アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小1国語科「じどう車くらべ」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師・成家雅史
執筆/東京学芸大学附属小金井小学校・大村幸子

1. 単元で身に付けたい資質・能力

前単元の「うみのかくれんぼ」の学習では、3種類の海の生き物について、「何が」「どこに」「どのようにして」隠れていると説明されている文章を読み、事柄の順序に気を付けて内容を捉えることを学びました。また、文章を読む中で、主語と述語との関係を捉えることや、重要な語や文を選び出すことを学び、読みを深めた児童も多くいるでしょう。

本単元では、3種類の自動車を比べながら読み、その理解を深めていくという学習の中で、書かれている順序や、書かれている事柄と事柄の関係、また、事柄を関係づける「そのために」という言葉の働きを学んでいきます。

こうした資質・能力を身に付けることで、自動車の「しごと」と「つくり」の関係への理解を深め、その必然性や機能性に興味関心をもって、自ら進んで読み深めようとする態度が醸成されることを期待しています。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

説明的文章「じどう車くらべ」は、3種類の自動車について、「しごと」「つくり①」「つくり②」という順に説明されています。

そこで、本単元では、3種類の自動車の説明が少しずつ違う表現でなされていることに着目させ、「どの自動車が一番おもしろいと思うか、感想をまとめる」という言語活動を設定します。
ここで言う「おもしろい」とは、「かっこいいな」「はじめてしったよ」「だからそうなっていたんだ」など、一年生なりの思いを大事にできるとよいでしょう。

その後、まずは、「バス」について、情報と情報との関係を考えながら捉えるわけですが、そうした読みを「トラック」「クレーン車」と重ねていくことで、文章の順序が分かってきて、楽しく読めるようになることが期待できます。

さらに、読みながら、聞きなれない言葉や表現を確認したり、説明の違いに着目させたりすることで、重要な語や文を選び出しながら読むことを意識させることができると考えます。なぜなら、「どんなしごとをしているか」、そのために「どんなつくりになっているか」を読むためには、重要な語や文を選び出しながら読む必要があるからです。

言葉に着目したり、比べながら読んだりする先に、「どの自動車が一番おもしろいと思うか」という目的を明確にもたせるようにすると、「比べながら読む」という単元としての学習の必然性が生まれ、児童の主体的・対話的で深い学びが期待できるでしょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 比べて読むことの楽しさを知る

児童は、走っている自動車を見たり、自動車のおもちゃで遊んだりする経験から、いろいろな自動車とその特徴を知っています。
一方で、自動車の細部を見て、「しごと」と「つくり」という関係で捉えることは未経験の児童がほとんどでしょう。一つ一つの自動車について、「しごと」と「つくり」の関係を読むと、「あー、そうだったのか」「なるほど、そういう理由があったのか」と、児童は驚きをもって読み進めることと思います。こうした読みを通して、情報と情報との関係を理解することを学んでいくのです。

もう一つ、この文章のおもしろさとして、同じ文章構造で、3種類の自動車が示されていることがあります。バス、トラック、クレーン車を比べながら読むことで、それぞれの自動車の特徴をより明確にしながら読むことができるのです。そうした読みを通して、比べながら読むことの楽しさを実感することもできるでしょう。

そこで二次で、3種類の自動車について比べながら読みを重ねた上で、三次では、3種類の自動車を俯瞰してみて、「どの自動車が一番おもしろいと思うか」をまとめさせることとしました。
単元を通して、比べながら読むことを意識させることで、大事な言葉や文に立ち止まり、イメージと結び付けながら読む力を身に付けさせるとともに、比べて読むことの楽しさを知り、主体的に読もうとする態度を育みたいと考えています。

〈対話的な学び〉 情報と情報との関係に着目しながら話し合う

本単元では、バス、トラック、クレーン車という三つの異なる自動車について、それぞれの「しごと」と「つくり」の関係に気付いていくという過程に、対話的な学びが生まれると考えます。
「しごと」と「つくり」の関係を理解させるためには、「そのために」の「その」が示すことを考えさせるとよいでしょう。
間違い探しをしたり、「しごと」に全く関係のない「つくり」が書いてある文章を提示して、比較したりすることも有効でしょう。
こうした3種類の自動車の違いに着目した読むことの活動は、言葉への気付きやイメージの共有化を図ることができると考えます。また、読み取ったことを生かして、「どの自動車が一番おもしろいと思うか」について話し合う中で、本文を読み直し、文章に対する深い理解がもたらされることも期待できるでしょう。

〈深い学び〉 言葉による見方考え方を働かせてイメージを広げる

それぞれの自動車を比べながら読むことで、大事な言葉や文に立ち止まって、イメージと結び付けながら読もうとする姿が見られることが期待できます。
例えば、クレーン車は、「しっかりしたあし」をもつことに着目した場合、「あしをよこにのばして、ささえにしているんだ」「おもいものをつりあげても、ぐらぐらしないように、あしがあるんだ」「はしご車もおなじようなあしをもっているのかな」など、情報と情報との関係に着目して、イメージと結び付けながら読む姿が想定されます。
このように、言葉に立ち止まり、これまでの経験やこれまでに学んだ知識と結び付けて、イメージを広げていく、理解を深めていく姿を目指したいと考えます。

また、クレーン車が重いものを「つり上げる」という言葉に着目し、「つり上げるってどういうことなのかな」「ひもをかけて、つるってことだけじゃなくて、上に持ち上げるってことだよね」「工事しているところで見たことがあるよ」など、自分が普段使っている言葉とのつながりに気付かせることも大事です。このような言葉に対する見方考え方への気付きが深い学びをもたらします。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

説明的文章「じどう車くらべ」は、問いに対して、3種類の自動車の「しごと」と「つくり」が、「そのために」という言葉でつながるという同じ文型で、説明されています。
児童は、「そのために」の前が「しごと」、後ろが「つくり」だと、位置関係だけで理解することがあります。
「その」が「しごと」を示す指示語であることを確かめ、何のためにその「つくり」になっているのかを考えながら読むことで、「しごと」のための「つくり」が書かれていることが理解できるようになります。
「しごと」と「つくり」の関係を読み取らせるためには、デジタル教科書のマイ黒板を活用すると、思考が可視化され、スムーズに整理することができるでしょう。

また、ことばとイメージを結び付けて読むためには、動画の視聴も有効でしょう。
デジタル教科書に収録されている動画や、教師があらかじめ選んだ動画を視聴して、本文と実際の様子をつなげて理解させていくことで、語彙の拡充にもつながると考えています。

6. 単元の展開(8時間扱い)

 単元名: くらべながらよもう

【主な学習活動】
・第一次(1時
① 教師の範読を聞き、本文の内容について感想をもつ。

・第二次(2時3時4時5時6時
②「じどう車くらべ」の文章構成(問い ー 答え ー 答え ー 答え)を見つける。
③「バス」の事例について、「しごと」「つくり」の関係を読み取る。
④「トラック」の事例について、「しごと」「つくり」の関係を読み取る。
⑤「クレーン車」の事例について、「しごと」「つくり」の関係を読み取る。
⑥「バス」「トラック」「クレーン車」の「しごと」「つくり」の関係を整理する。

・第三次(7時8時
⑦ 3種類の自動車の中で、「どの自動車が一番おもしろいと思うか」をまとめる。
⑧ それぞれの考えを発表し合う。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
「主体的な学び」のために

本単元の主体的な学びとして、「比べて読むことの楽しさを知る」としています。ですが、最初から、3種類の自動車の「しごと」「つくり」の関係に注目する児童はいないかもしれません。
まずは、見たことがある自動車そのものに興味をもち、その「つくり」について、知識として理解することにおもしろさを感じたり、経験と結び付けて理解することにおもしろさを感じたりすることでしょう。そうした思考で読んでいる児童たちに、比べるという視点をもたせて、より主体的な学びへと誘うのは教師の役割と言えるでしょう。

本時は、「じどう車くらべ」を読んだ感想をもちます。
感想の中には、初めて知ったことや気になったこと、疑問に思うことが含まれるでしょう。
児童には自由に発表してもらい、教師が、バス、トラック、クレーン車と板書に分類することで、自動車によって違いがあることに対する気付きが生まれるかもしれません。
そうした気付きを取り上げて、「どれが一番おもしろいと思うか」と、三次で考えさせたい学習課題を投げかけてみましょう。そうすることで、「比べて読むこと」が子供の中に意識化されるでしょう。
こうした意識、すなわち読みの構えが主体的な学びの素地となっていくと考えています。

「じどう車くらべ」を読んでみて、思ったことや気付いたことはありますか。

トラックのタイヤは大きいだけじゃなくて、たくさん付いていてびっくりしました。

バスの窓は大きいから、外がよく見えていいと思います。

バスは、座席が広く作ってあります。

バスは、窓がたくさんあります。

クレーン車が出ていました。

クレーン車は、丈夫な腕があるって、変な言い方だと思います。

「クレーン車」は、しっかりした足がついていますっていうのも面白いです。

たくさん気が付いたことがありましたね。

ここでは、大事な言葉のすべてに着目して読ませる必要はないでしょう。3種類の自動車の特徴が異なることに気付かせ、比べて読むとおもしろそうだという見通しをもたせるだけで十分です。
既有の知識やイメージなども発表させながら、自動車に興味関心をもたせることを大事にしていきましょう。


【2時間目の板書例 】

2時間目の板書例
「主体的な学び」のために

本時は、全文を読み、問いの文と答えの文を見つけるようにします。
問いと答えの文に着目することで、この文章では、3種類の自動車の「しごと」「つくり」について説明がなされているという内容の大体をつかめるようにします。そして次時以降、それぞれの事例を読むうえでの目的をもたせるようにします。

前回は、「じどう車くらべ」を読んで、みんなに感想を言ってもらいました。たくさん出てきましたね。それぞれの自動車について、どんなふうにみんなに説明しているか分かりましたか。

どんなふうに説明しているか。

何か秘密を見つけるみたいで、面白そう。

では、秘密を見つけるために、みんなで音読してみましょうか。

― 音読(先生もいっしょに読む)―

何か文章の秘密のようなものが分かったかな。

先生、「うみのかくれんぼ」と同じような、質問する文があります。

問いの文だよ。

問いの文、よく覚えていましたね。「うみのかくれんぼ」でも出てきましたね。なんて書いてありますか。

「それぞれのじどう車は、どんなしごとをしていますか」って書いてあります。

もう一つあります。

「そのために、どんなつくりになっていますか。」

問いの文があったら、何があるんだったかな。

答えの文

そうですね。問いの文があったら、答えの文があったのですよね。秘密が少しずつ解決してきましたね。

このように、既習である「うみのかくれんぼ」などを想起しながら、問いの文と答えの文があることを確かめます。内容の大体をつかむために、それぞれの自動車の説明のどの部分が答えになっているのか読んでいきます。


【3時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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