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「発達段階」の特徴と課題を踏まえた指導をするには?【先行研究から学ぶ 学級経営の極意Ⅳ⑬】

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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
先行研究から学ぶ 学級経営の極意Ⅳ バナー

子供が多様な他者と関わりながら、必要な資質・能力を身に付けるために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、先行研究を例に挙げながら、子供のよりよい成長を促す学級経営の方法について解説します。第13回は、「発達段階」を踏まえた指導のポイントについて解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章

「発達段階」を理解し、子供たちの「発達的な特徴」を踏まえることは、教育指導の基盤となる視点です。子供は発達の段階に応じて自らの経験を基にし、環境との相互作用を通して、豊かな心情や意欲、態度を身に付けていきます。その過程では、「身体的発達、情緒的発達、知的発達、社会的発達」などの側面が相互に関連しながら総合的に発達します。特に、子供は身近な人や自然等との関わりの中で、主体的に学びながら行動し、様々な知識や技能を習得して、「自己の主体性」と「人への信頼感」を形成していきます。

そこで、子供の「発達段階を踏まえた指導」を行うに当たって、次の3つのキーワード「『発達段階』の基本的な理解」「『発達的な特徴』を踏まえた指導のポイント」「指導上の配慮点」でチェックしてみましょう。

CHECK① 「発達段階」の基本的な理解

「発達段階」とは、人が生まれてから死ぬまでの過程において、身体、情緒等が成長し、変化していく過程を、特定の共通する特徴ごとに区切った段階のことです。子供は、一人一人が異なる特性をもっており、その成長には個人差がありますが、発達の過程や順序性において、共通して見られる特徴があります。そのため、その時期の発達段階に応じた生活や活動を十分に経験することが求められます。特に、身体感覚を伴う多様な経験を積み重ねていくことは、子供の発達には不可欠です。

「発達段階」には、様々な研究がありますが、ここではエリクソン(Erik Erikson)の発達段階説を取り上げます。この研究は、人間の一生を8つの段階(乳児期・幼児期・児童期・学童期・青年期・成人期・壮年期・老年期)に分け、各段階に特有の「心理社会的課題(発達課題)」があるとした心理学理論です。特に、ここでは学童期までの発達段階の特徴と主な発達課題を取り上げます。

各段階の主な特徴と「発達課題」を踏まえます

1.乳児期(0歳~1歳):基本的信頼感 ⇔ 不信感
両親などから愛情たっぷりに世話をしてもらう時期。基本的な信頼感が育まれる。この時期に「不信感」を抱くと、安心感がもてず、自己肯定感も低くなりやすい。                       

2.乳児期(1歳~3歳):自律性 ⇔ 羞恥心・疑惑
肉体的に成長して自分の意思で行動できる時期。排せつの仕方等、失敗を通して学ぶ。この時期に過干渉や強い叱責を与えると、「羞恥心や疑い」をもちやすい。

3.児童期(3歳~6歳):自主性 ⇔ 罪悪感
自制心が育まれ、ルールを守るようになる時期。自主的に考えて行動する。この時期に、他の子供と比較され、強く怒られると恐れや「罪悪感」を抱きやすい。

4.学童期(6歳~12歳):勤勉性 ⇔ 劣等感
勉強や遊びを通じて、「勤勉さ」を身に付ける時期。周囲から認められる喜びを学習する。この時期に周囲から認められないと、「劣等感」がつのり、怠惰な性格になりやすい。                 

このような発達段階における「特徴と課題」を踏まえて、個に応じた教育指導を展開していきましょう。

CHECK② 「発達的な特徴」を踏まえた指導のポイント

小学校段階である学童期を「低学年、中学年、高学年」に分けて、各段階の「発達的な特徴」について考えます。ここでは、主に各段階の知的発達、社会的発達、情緒的発達の特徴的なものを取り上げます。

これらの特徴は、あくまでも一般的な傾向であることから、子供によってはその段階に至っていない場合や、すでに次の段階に進んでいるという場合もあります。特に、「多様性の包摂」を踏まえ、発達障害のある子供等に対する子供理解は、今後一層重視されていく視点です。

まず、基本となる「発達的な特徴」を踏まえて指導の参考にしていきましょう。

発達段階における「発達的な特徴」を踏まえた指導を行います

低・中・高学年の「発達段階」で、特徴的な傾向性を10項目ずつ取り上げます。

1.低学年(1・2年生)段階の発達的な特徴
①興味をもつのは、半抽象的な自分の生活に関係のある人、物である。
②ままごとに興味をもち、演劇的作業に著しい発達を示す。
③多くの質問をするが、その理由をはっきりさせようとするものではない。
④空想的な想像の世界に興味をもつ。
⑤2~3人の関係が多く、その関係性は流動的である。
⑥ 団体遊びを好むが、その規律は簡単なものである。
⑦保護者との情緒的な一体感や教師への依存が強い。
⑧幼児期の自己中心性が残り、他人の立場で物事を考えることが難しい。
⑨情緒は不安定で、大人の気分の変化に敏感である。
⑩癇癪を起こす時期は過ぎ去っている。

2.中学年(3・4年生)段階の発達的な特徴
①様々なことに関心をもつが、理解は浅い。
②速やかな結果を求め、先までの見通しはもちにくい。
③空想的なものより、現実味をもたせた物語などに興味を示す。
④7~8人で一緒になって、長い間遊ぶことができる。
⑤男子、女子としての社会的様相を表す。
⑥子供たちで仲間をつくって、その中で生活する傾向が出てくる。
⑦仲間関係が固定化し、仲間の言動が行動の規範となる。
⑧徐々に自分の感情を抑えることができるようになる。
⑨情緒は安定してくるが、大人からの愛情を求めることは大きい。
⑩物事の判断等に個人差が目立ち始めてくる。

3.高学年(5・6年生)段階の発達的な特徴
① 中学年での好奇心に社会的な好奇心が加わってくる。
②抽象的、論理的な思考ができるようになってくる。
③学習面での理解の早遅にかなりの個人差がみられる。
④リーダーが発生し、その意見は仲間の間に大きな影響力をもつようになる。
⑤教師や保護者よりも仲間の風評、承認を著しく気にする。
⑥次第に性意識が芽生えてくるようになる。
⑦集団としては開放的で柔軟なものに変化するが、閉鎖的離合集散の段階である。
⑧身体的、生理的変化に伴い、時に情緒が不安定になる。
⑨自分自身に対して敏感になってくる。
⑩虚栄心が発達して、自己の社会的な水準を維持しようとする。

ここで取り上げた各発達段階における「発達的な特徴」を踏まえた系統的な資料は、学級懇談会等で保護者に提示する「学級懇談会の資料」として活用していくことも効果的です。このような「発達的な特徴」を踏まえて学級経営上の指導の手立てを構想しましょう。

保護者会で資料を基に、中学年の子供の発達の特徴について説明する男性教員

CHECK③ 指導上の配慮点

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