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子供の「自己制御能力」を高めるための5つの指導ポイント【先行研究から学ぶ 学級経営の極意Ⅳ⑨】

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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
先行研究から学ぶ 学級経営の極意Ⅳ バナー

子供が多様な他者と関わりながら、必要な資質・能力を身に付けるために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、先行研究を例に挙げながら、子供のよりよい成長を促す学級経営の方法について解説します。第9回は、子供の「自己制御能力」を高める指導について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章

ここでは「自己制御能力」(Self-control)を「感情や欲望、衝動を抑え、長期的な目標を達成するために思考や行動を調整する能力」と捉えます。この能力を培うことにより、子供たちは個々に目標達成に向けた意思決定を行い、具体的な活動を展開することで、充実した学校生活を送ることができます。

そこで、「自己制御能力」を育成するに当たって次の3つのキーワード「『マシュマロ実験』の確認」「『自己制御能力』を高めるポイント」「指導上の配慮点」でチェックしてみましょう。

CHECK① 「マシュマロ実験」の確認

 「マシュマロ実験」は、スタンフォード大学のウォルター・ミシェル(Walter Mischel)によって1970年に行われた満足遅延に関する研究です。現在では、様々な指摘もありますが、参考にしたい研究の1つです。その研究の概要は次のようなものです。

部屋の中にマシュマロを1つ置いて、4歳の子供を1人残して退出します。その際、「そのマシュマロを食べたくなったら、ボタンを押して食べてよい。でも、私が戻るまで15分間待つことができたらもう1つあげる」と伝え、子供がどのような行動をとるかを観察した実験です。

マシュマロを食べずに我慢できた子供を追跡調査すると、我慢できなかった子供に比べ、社会的地位が高く、経済的にも恵まれていたという結果であったとしています。当時発揮された「自己制御能力」は大人になっても変わらずに生かされていたということを示しています。   

「自己制御能力」の特徴を踏まえます

長期的な目標の達成に向けて、目先の衝動や感情、欲求を制御して調整することで「自己制御能力」は培われます。この能力を育成するために求められる主な視点としては、次のような特徴が考えられます。                                               

自分の自覚:現在の自分の状態を客観的に把握(メタ認知)する。
感情の調整:怒りや不安を感じた時に、衝動的に反応せず冷静に対応する。
衝動の抑制:やりたいことなどの誘惑を目の前にしても反射的な行動を控える。
・環境の設定:誘惑に惑わされず、我慢しなくても済むような環境を設定する。

このような「自己制御能力」の主な特徴を踏まえて、教師自身が子供を理解する際の視点として、また、指導方法を構築する際の視点として活用していきましょう。

CHECK② 「自己制御能力」を高めるポイント

「自己制御能力」を高めることは、生徒指導の大切な視点である子供の「自己指導能力」の向上に直結します。ここで言う「自己指導能力」とは、「この時、この場で、どのような行動が最も適切であるか、子供が自ら判断して行動することのできる力」と捉えます

「自己制御能力」は、「自己指導能力」を支える能力の1つとして考えられることから、この能力を高めることは子供のよりよい成長を促すうえで大切な指導事項と言えます。「自己制御能力」を高めるためには、どのような視点を踏まえることが必要なのかを考えて指導に当たりましょう。

「自己制御能力」を高めるために5つの指導の視点を踏まえます

「自己制御能力」を高めるためには、概ね次のような5つの視点を踏まえて指導に当たることが望まれます。

①自分の将来についてイメージ化する
例えば、キャリア教育の視点を踏まえ、将来を見据えて長期的な目標をもち、現在の自分と将来のなりたい自分をつなげて考えるような機会を設ける。

②自分に合った適切な目標を設定する
例えば、長期的な目標を達成するために、目標を細分化して短期的な目標を設定し、小さな達成感を積み重ねるような機会を設ける。

③集中できる適切な環境を整備する
例えば、学びに集中できない誘惑となるような情報を物質的に遠ざけるために、教室前面の掲示物等を最小限にし、すっきりした環境にする。

④ストレス減少への対処をする                                         例えば、ストレスによって起きる衝動的な感情を減少させるため、学習前のアイスブレイクを取り入れたり、適切な休息を取ったりする。

⑤自己評価によるメタ認知の訓練をする
例えば、今の自分の状態を客観的に把握する力を高めるため、肯定的な個人内評価ができるような場面を多く設定する。

最近、学級が騒がしいため、アイスブレイクからスタートする女性教員

CHECK③ 指導上の配慮点

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