子供の成長に直結する「目標設定」4つのポイント【先行研究から学ぶ 学級経営の極意Ⅳ⑦】

子供が多様な他者と関わりながら、必要な資質・能力を身に付けるために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、先行研究を例に挙げながら、子供のよりよい成長を促す学級経営の方法について解説します。第7回は、「目標設定理論」について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
「目標設定理論(Goal Setting Theory)」とは、明確で適切な目標がモチベーションに大きく影響を与えるという考え方で、エドウィン・ロック(Edwin A.Locke)らによって提唱されたものです。この研究では、明確で測定可能な目標設定と前向きなフィードバックが、貢献意欲とモチベーションを高め、組織としての生産性や満足度の向上につながるとしています。
学校教育でも、子供たちが目標を設定する場面が多くあります。そこで、子供のよりよい成長に直結する効果的な「目標設定」を行うに当たって、次の3つのキーワード「目標設定理論の視点」「目標設定をする際の指導のポイント」「指導上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 「目標設定理論」の視点
「目標設定理論」では、適切な目標設定をすることによって、目標達成に向けた行動の原動力となる「意欲を向上させること」につながるというメリットがあります。また、目標の達成に向けて効率よく学習や活動を展開することができます。
具体的には、次のようなメリットが挙げられています。
- 具体的に努力する「方向性」を明確にしやすくなる。
- 学習や活動の「進捗状況」を確認しやすくなる。
- 目標の「達成や成果」につなげやすくなる。
さらに、「目標設定理論」に関する研究として、次のような結論が導かれています。
- 課題の達成に「目標設定が不可欠」であること。
- 「困難な目標・自発的な目標」が、より高いパフォーマンスを発揮させること。
- 動機付けとして有効に機能するのは、「目標を受容」している場合のみであること。
「目標設定理論」のメリットを踏まえて実践します
目標を明確にすることで、「努力する方向性」が分かりやすくなります。目標の到達点から逆算して達成のために必要なことを取り出して「優先順位」をつけることも可能となります。
達成に向けた道筋が明確になれば、目標達成のために何が必要であるのかが分かり、そのために努力する方向性が明らかになり「モチベーション」も上がります。また、目標が明確であれば、達成に向けた「計画も具体的」になりやすいものです。
具体的な計画があれば、それに基づいた「進捗状況」を確認できます。「定期的な振り返り」によって、達成状況を確認しながら具体的な行動を展開していくことができます。
さらに、定期的な振り返りによって、進捗状況を確認し、成功体験を積み重ねることで、「達成感」を味わうことができます。その達成感の積み重ねにより、意欲も向上することから、適切な振り返りは大切な活動の視点になります。
CHECK② 目標設定をする際の指導のポイント
「目標設定理論」を活用して、子供たちの意欲を引き出すには、次のような4つのポイントを踏まえておくと、よい結果に結び付きやすくなります。
①目標達成に向けた「目的や意義」を明らかにし、共有する。
②目標達成に向けた「具体的な計画」を行動目標として立案する。
③目標達成に向けて、個に応じた教師の「適切な支援」を行う。
④目標達成に向けた「定期的な振り返り」の場を設定する。
目標達成に向けて、活動過程に沿ってそれぞれのポイントを踏まえて、子供たちの実態に即した指導を展開できるようにしていきましょう。
4つのポイントを踏まえた具体的な指導を展開します
「目標設定理論」での4つの指導のポイントを踏まえ、次のような具体的な指導を展開していくことが求められます。
(1)目的や意義の共有化
学校教育目標を受けて設定した学級目標の実現に向けた「個人目標の設定」に関しては、その目的や意義を学級全体で共有できるように指導する。
(2)具体的な行動目標の立案
知育・徳育・体育の視点で設定する「個人目標」は、具体的な行動目標として、できたかどうかが分かるような数値等を盛り込んだ行動目標となるように指導する。
(3)個に応じた適切な支援
「個人目標」の設定に関しては、あまり高すぎる目標とならないように、スモールステップの目標となるようにし、実現可能な目標を設定できるように支援する。
(4)定期的な振り返りの場の設定 「個人目標」の振り返りは、1か月から2か月程度の期間で行うことを目指し、達成できた場合には、新たな目標を設定できるように指導する。
