【木村泰子の「学びは楽しい」#55】「チーム担任制」について考えてみましょう
すべての子どもが自分らしくいきいきと成長できる教育のあり方について、木村泰子先生がアドバイスする連載第55回。今回は、「全員担任制」に関する読者からのご相談をもとに、なぜ大空小学校が「学級担任制」を手放し、「担当制」へ転換したのかを振り返ります。(エッセイのご感想や木村先生へのご質問など、ページの最後にある質問募集フォームから編集部にお寄せください)【 毎月22日更新予定 】
執筆/大阪市立大空小学校初代校長・木村泰子

目次
「誰一人取り残さない学校」をつくるためには?
最近は「チーム担任制」の言葉が広がり、「チーム担任制」の是非が問われる学校現場が増えてきました。「チーム担任制」はあくまでも手段です。目的は「誰一人取り残さない学校」をつくることにあります。この視点を外すことなく全国の学校現場で問い直すことが求められています。
そんな中でいただいた読者の方からの相談を、みんなで問い直したいと思います。
この数年間で感じることがあります。自分のクラスをよくしようとすればするほど、隣のクラスが上手くいかないというジレンマです。学年で教科担任制を行っていても、結局友だちとのトラブルや忘れ物を減らすために、生活面の声かけをしているのは自分のクラスです。隣のクラスでトラブルが起こってもおせっかいをしているのではないかと、アドバイスすることしかできません。
学年の子を一緒にみていきたいのですが、どんな風にして全員担任制を導入していったのか、個人の思想をどう変えていったのか知りたいです。一人の教師からどう発信していけば全員担任制への道がひらけるでしょうか。
「担任」と「担当」は大違い
子どもが主語の学校づくりをするための「チーム担任制」という言葉には疑問が残ります。「教員個人ではなくチームで」というのは、子どもにとって多様な空気を吸えることになり、よい環境づくりにはつながります。ただ、「担任」と「担当」の違いを言語化すると、担任は「担う」、担当は「役割」です。「担任」はチームであろうと教員が担わなければならないのですから、主語は教員です。うまくいけばその教員の成果で、うまくいかなかったらその教員の指導不足という評価をしがちです。
一方、「担当」は子どもが主語です。子どもの状況に応じて教員がどんどんシャッフルすればいいのです。子どもが「自分の学びは自分が決める」ことが今求められています。主語を子どもに転換した授業づくりや学校づくりを問い直す際は、この「担任」と「担当」の違いを全教職員で合意してから始めることが不可欠だと思っていますが、みなさんはどう思われますか?
