「心理的安全性」を高める学級経営上の7つの視点とは?【先行研究から学ぶ 学級経営の極意Ⅳ⑮】

子供が多様な他者と関わりながら、必要な資質・能力を身に付けるために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、先行研究を例に挙げながら、子供のよりよい成長を促す学級経営の方法について解説します。第15回は、「心理的安全性」を高める学級経営の手立てについて解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
「心理的安全性(Psychological Safety)」とは、「集団内の成員が否定や罰を受ける不安を感じることなく、自分の意見や質問、失敗を素直に共有できる状態」と捉えます。1999年にハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)教授が提唱し、その後Googleが「生産性の高いチームに共通する最重要要素」として発表したことで、世界的に注目されることになった視点です。この「心理的安全性」は、学級経営においても大切な視点です。
そこで、「心理的安全性」を学級経営に生かすに当たって次の3つのキーワード「『心理的安全性』の構成要素」「『心理的安全性』を構築する指導のポイント」「学級経営上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 「心理的安全性」の構成要素
学級経営における「心理的安全性」とは、「子供たちが学級内において、自分の気持ちを安心して表現して行動することができ、誰もが主体的に挑戦できる状態」と捉えます。
単に仲がよいだけの状態ではなく、目標の達成に向けて互いに切磋琢磨し、高め合っていく関係性が求められます。また、自分と異なる多様な意見も素直に伝え合い、認め合える学級集団の状態と捉えます。
その基盤となる次のような構成要素を踏まえて、実践を構想していきましょう。
学級集団としての「4つの状態」を踏まえて実践を構想します
ここでは、学級経営における「心理的安全性」の構成要素を学級集団としての4つの状態として取り上げ、実践を構想するための視点とします。
①「支持的な関係」にある状態
誰が何を発言しても否定されず、安心して質問や相談をすることができる学級集団としての状態。
②「協働的な活動」を展開できる状態
困っていることやトラブル等があっても、互いに支え合い、補い合っていくことができる学級集団としての状態。
③「挑戦する意欲」のある状態
失敗を恐れずに、新たなことに挑戦していき、周囲もそれを応援することができる学級集団としての状態。
④「多様性を尊重」できる状態
一人一人の個性や自分と異なる意見を認め合い、多様性が尊重される学級集団としての状態。

CHECK② 「心理的安全性」を構築する指導のポイント
学級経営における「心理的安全性」を構築するためには、エイミー・C・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)教授の指摘する「心理的安全性」が低下する「対人関係の4つのリスク」を確認し、その対処に努めていくことが求められます。
①「知識不足が露呈する」ことを恐れて、質問や確認することを躊躇する状態。
②「失敗」を恐れることから、新しい挑戦や責任ある仕事を避けてしまう状態。
③「学級の和を乱す」ことが気になり、多様な指摘や異論を控えてしまう状態。
④問題点を指摘することで「嫌われる」ことを恐れ、課題を隠してしまう状態。
このような、「対人関係の4つのリスク」が発生しないような学級経営を展開していきましょう。
「心理的安全性」の高い学級の姿を確認します
「心理的安全性」の高い学級では、子供たちが次のような姿を示すようになります。
①「主体性」の向上
失敗を恐れずに、自ら進んで「課題解決に挑戦」できるようになる。
②「創造性」の進展
認め合う関係性から、遠慮なく「新たなアイデアなどを創造」できるようになる。
③「深い学び」の展開
他と関わりながら、「多様な考えを生かした深い学び」ができるようになる。
④「よりよい人間関係」の構築
互いの違いを認め合い、トラブルも「自分たちの力で解決」できやすくなる。
このような「求められる学級の姿」を踏まえながら、具体的な指導の手立てを構想していきましょう。
