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「かわいそう」で終わる授業を変える―ルーブリックと形成的評価でつくる“見取り”の技術―【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#20】

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小学校では必修と言っても過言ではない『ちいちゃんのかげおくり』。授業をすると、子どもたちはよく「かわいそうでした」「戦争はひどいと思いました」と発言します。それは大切な反応です。作品に心を動かしているからです。
しかし、そこで授業が止まると、読みは深まりません。終末場面で「家族に会えてよかった」と受け止めるだけでは、この作品の本当の悲しさには届かないのです。なぜ、ちいちゃんはそこまで家族を求めたのか。なぜ、それは本当の再会ではないのか。戦争は、ちいちゃんから何を奪ったのか。そこまで読みが進んでいるかを見取る必要があります。
今回は、子どもたちの学びをいかに見取り、さらに学びを深めていくための方法を、ルーブリックと形成的評価を活用しつつご紹介します。子どもたちの見取りと評価に難しさを感じている、若手の先生に特におすすめです。皆さんも一緒に考えてみましょう。

若手先生の航海図|学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア バナー

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
協力:教師実践研究塾(実践塾)

「話し合った」のに、読みが深まらない授業

活動しているのに、授業が動かない

話合いをしている。発表もある。ノートにも書いている。教室は活発に動いているように見えます。けれども、活動していることと、読みが深まっていることは同じではありません。
ちいちゃんのことが「かわいそうだと思います」という意見が続いたとしても、どの言葉からそう思ったのか。空襲のどの様子が、ちいちゃんの不安につながったのか。なぜ、「お母さんに会いたい」という願いが強くなったのか。そこか深まることが学びであり、教師の大切な仕事です。

「どこで止まっているか」を見る

子どもは、話していても、書いていても、読みが途中で止まっていることがあります。

「かわいそう」とは言えている。でも、叙述へ戻れていない。「戦争はひどい」とは言えている。でも、ちいちゃんの願いと結び付いていない。

この“止まり”を授業中に見取ること。ここから、形成的評価が始まります。

評価とルーブリックを、まず整理する

評価には三つの役割があります

評価というと、テストや通知表を思い浮かべる先生も多いと思います。しかし、評価には大きく三つの役割があります。

1つ目は、診断的評価です。これは、授業に入る前に子どもの実態をつかむ評価です。例えば、『ちいちゃんのかげおくり』に入る前に、戦争文学をどの程度読んだことがあるか、題名からどのような印象を持つかをつかむことがこれに当たります。

2つ目は、形成的評価です。これは、授業の途中で子どもの学びの状態を見る評価です。「今、どこまで読めているか」「どこで止まっているか」「次にどんな支援が必要か」を見取ります。

3つ目は、総括的評価です。これは、単元の終わりに、最終的にどこまで学べたかを見る評価です。例えば、第9時で「もし戦争がなかったら」という視点から、戦争がちいちゃんの未来まで奪ったことを書けているかを見る評価です。

つまり、評価は最後だけにあるものではありません。授業の前にも、途中にも、最後にもあります。

ルーブリックとは、何を見るかを明確にした評価基準です

ルーブリックとは、子どもの学びを評価するために、「どの姿を見取るのか」「どこまでできればよいのか」を段階的に示した評価基準です。例えば、単に「よく読めている」と言っても、その中身は曖昧です。題名から作品世界を想像しているのか。叙述を根拠に考えているのか。友達の考えを聞いて読みが変わっているのか。戦争の非人間性まで考えているのか。そこをはっきりさせるために、ルーブリックがあります。

『ちいちゃんのかげおくり』の指導計画では、第1時で「題名から作品内容を想像しているか」を見取ります。A評価は、「さびしさ」や「戦争」の気配まで想像して書いている姿です。B評価は、題名から作品内容を予想している姿です。C評価は、題名を読んだ感想だけで終わっている姿です。これがルーブリックです。教師の感覚で「よい」「浅い」と見るのではなく、子どもの具体的な姿で見るのです。(指導計画参照)

ルーブリックと形成的評価は一緒に働きます

ルーブリックは、評価表を作って終わりではありません。授業中に使ってこそ意味があります。例えば、第4時では、空襲の中で独りぼっちになったちいちゃんの不安や、「お母さんに会いたい」という気持ちをイメージしているかを見取ります。A評価は、独りぼっちになった不安や恐怖と、「お母さんに会いたい」という願いの強さを結び付けて書いている姿です。(指導計画参照)

指導計画

指導計画
指導計画
指導計画

ここで教師は、子どものノートを見ます。

「ちいちゃんはお母さんに会いたかったと思う」

ここまでは読めている。けれども、空襲の恐怖や孤独とはまだ結び付いていない。

そう見取ったら、次に問い返します。

「なぜ、お母さんに会いたい気持ちが強くなったのでしょう」
「どの場面から、不安が分かりますか」

ルーブリックで見る視点を持ち、形成的評価で授業中に現在地を見る。2つは別々ではなく、つながって働くのです。

『ちいちゃんのかげおくり』で、何を見取るのか

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