初めての校外学習を成功に導く、見落とせない注意ポイント~3年生バスに乗って市内めぐり~【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#22】
みんなでバスに乗って学びに出かける校外学習は、3年生で実施されることがほとんどだと思います。低学年から中学年へと進級した子どもたちにとって、最も大きな楽しさをもたらす体験ではないかと思います。その子どもたちの気持ちは大切にした上で、社会科の学習として成立させ、1日を安全に過ごさせたい…。実は、校外学習の成功は、前日までにほとんど決まっています。今回は、当日を迎えてから慌てないために、校外学習に向けて準備しておきたいことをご紹介します。

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
協力:教師実践研究塾(実践塾)神奈川県平塚市立みずほ小学校 鷲塚 鼓
目次
準備編:ワクワク感を学級経営に活かそう
見知らぬ環境に出かけて、さまざまなものごとを知る。まるで探検のような校外学習を、子どもたちは大好きです。だからこそ、その楽しみな気持ちを学習につなげていきたいものです。
例えば、市役所を見学する前にあらかじめ、「市役所は何をする場所なのだろう」と問いかけてみます。
すると子どもたちは、自分なりの予想をもち始めます。
当日、ただ説明を聞くだけの子どもと、「答えを見つけたい」と思いながら見学する子どもでは、学びの深さが大きく変わります。
教室での事前学習をぜひ行って、「どうしてそこに行くの?」「何を見に行くの?」「何を学ぶの?」
を子どもたちと共有しておきたいものです。
グループ決めと乗り物酔いの確認を忘れず
校外学習が近づくと、悩みやすいのがグループ決めです。特に3年生は、クラス替えをしたばかりという学校も少なくありません。ふだん仲の良いグループができつつあるでしょうが、新しい友達と出会うよい機会でもあります。くじ引きなどでバスの席順を決め、その順番に基づいて校外学習だけのグループを作ってみましょう。
移動するときも、見学するときも、お弁当を食べるときも、一日を通して新しい友だちと活動します。校外学習をきっかけに友だちの輪が広がり、学級経営に一役買うことも期待できます。
ただし、乗り物酔いをする子どもがいる場合は、その子を揺れの少ない前方の席にするなどの配慮も必要です。あらかじめアンケートをとるようにしましょう。
グループ活動で「折り合い」を学ぶことも大切に
校外学習ではグループで活動する場面がたくさんあります。ここで大切になるのが「折り合い」です。
友達の意見を聞くこと。話し合うこと。譲ること。
特に先生の目が届かない場面では、班長を中心にグループ全体で考える力が求められます。
「自分はどうしたいか」ではなく、「みんなにとってどうするのがよいか」を考えながら行動することが大切だよ、と、ぜひ校外学習に出かける前の子どもたちと共有しましょう。
下見は必ず行おう。特にトイレに注意
若手の先生にぜひ伝えたいことがあります。それは、下見を省略しないということです。
学校の外は毎年同じとは限りません。道路工事が行われているかもしれません。バスの駐車場所が変わっているかもしれません。施設の入口や見学経路が変更されていることもあります。実際に現地へ行ってみると、資料だけでは分からないことがたくさん見つかります。
そして、必ず確認しておきたいのがトイレです。校外学習で予定が変わる大きな原因の一つがトイレです。人数に対して十分な数があるか。混雑しないか。見学コースのどこにあるか。こうしたことを事前に確認しておくことで、当日の見通しが大きく変わります。
下見は施設を見るためだけに行うのではありません。子どもたちが安全に活動できるかを確認するために行うのです。
「おかしいな?」と思ったら学年会で相談
校外学習の計画は、前年のものを参考にして作られることが多くあります。しかし、前年の計画が最善とは限りません。移動時間が短すぎることもあります。見学時間が足りないこともあります。昼食時間に余裕がないこともあります。
もし計画を見て「少し無理があるのではないか」と感じたら、遠慮せず学年会で相談してみましょう。子どもたちを実際に引率するのは担任です。当日になって困ることが予想できるなら、事前に話し合っておく方がよいに決まっています。
若手の先生は、「前から決まっていることだから」と遠慮してしまいがちです。しかし、子どもたちの安全や学習のための提案ですから、積極的に意見を出してください。
保護者の不安もなくしておく
校外学習を楽しみにしているのは子どもだけではありません。保護者もまた、子どもが一日学校の外で活動することを気にかけています。だからこそ、保護者への連絡は丁寧に行いたいものです。
先ほど挙げた乗り物酔いのあるなしの確認はもちろん、日時、見学コース、持ち物、服装、雨天時の対応などは、できるだけ分かりやすく伝えます。
また、グループが決まったら、そのメンバーも知らせておくと安心感が増します。
子どもたちは家に帰ると校外学習の話をたくさんします。そのとき、保護者もたくさんの情報を持っていれば、子どもとの会話が深まり、担任や学校への信頼感が増すことにつながります。

当日編:5つのポイントで事故なく楽しく、実り多く
健康観察はいつも以上に丁寧に
最も大切なのが、当日の子どもたちの健康観察です。
校外学習の日は、楽しみな気持ちから多少体調が悪くても「行けます」と答える子どもがいます。しかし、校外学習は想像以上に体力を使います。少しでも気になる様子があれば、無理をさせないことが大切です。判断に迷うときは養護教諭と相談します。場合によっては学校待機とし、保護者に迎えをお願いすることも必要です。全員が安全に過ごす、ということを最優先ととらえましょう。
学校の外は交通安全を学ぶ教室になる
学校を一歩出ると、子どもたちの周りには様々な危険があります。
横断歩道。信号。駐車場。歩道のない道路。
みなさんも普段から交通安全指導を行っておられると思いますが、通学路以外の実際の場面で学べる機会はそれほど多くありません。
信号を確認すること。一列で歩くこと。周囲を見ること。そうした、安全に生活する力を育てる学習もできます。
市のよさを見つける一日にする
市役所や観光名所、公共施設は市の大切な財産です。そこで働く人々は、地域の暮らしを支えています。見学するときには、「どんな仕事をしているのだろう」「なぜこの施設が必要なのだろう」という視点をもたせたいものです。
ただ見て終わるのではなく、自分たちの町のよさを発見する機会にしましょう。
校外学習を終えた子どもたちの口から、「自分の町ってすごいな」というような感想が聞こえたら、大きな成果です。
5分前行動が一日を支える
校外学習では時間が命です。1つのグループが遅れると、全体の日程に影響が出ます。そこで大切なのが5分前行動です。集合時刻になって集まるのではなく、集合時刻の5分前には集まっていることを目指します。
最初は難しいかもしれませんが、1日を通して意識させることで、子どもたちは少しずつ行動できるようになります。この経験は学校生活にも生きてきます。
保護者にも一緒に校外学習を楽しむ機会を
最近では、校外学習の様子を保護者へ配信する学校も増えてきました。我が子が集団生活をしている姿を見ることができたり、学校の教育方針に理解を深めてもらえたりと、メリットがたくさんです。
もし、みなさんの学校でまだ実施されていないようでしたら、学年会や職員会議で『アプリを活用した写真配信』などを提案してみるのも、学校全体をアップデートする良いきっかけになります。家庭と学校が協力して子どもの成長を見守る機会を、さらに増やすことにつながりますよ。
