「気付くこと」から始まる教師の成長「教師という仕事が10倍楽しくなるヒント」きっとおもしろい発見がある! #40

「教師という仕事が10倍楽しくなるヒント」の40回目のテーマは、「『気付くこと』から始まる教師の成長」です。情報に気付き、人の反応に気付き、自分の実践に気付き、自分らしさに気付くなど、様々な気付きを大切にしましょう。その積み重ねが教師としての成長につながり、子供たちとの毎日をより豊かなものにするという話です。毎日の実践や指導に悩んでいる先生はぜひヒントにしてください。

執筆/吉藤玲子(よしふじれいこ)
帝京平成大学教授。1961年、東京都生まれ。日本女子大学卒業後、小学校教員・校長としての経歴を含め、38年間、東京都の教育活動に携わる。専門は社会科教育。学級経営の傍ら、文部科学省「中央教育審議会教育課程部社会科」審議員等、様々な委員を兼務。校長になってからは、女性初の全国小学校社会科研究協議会会長、東京都小学校社会科研究会会長職を担う。2022年から現職。現在、小学校の教員を目指す学生を教えている。学校経営、社会科に関わる文献等著書多数。現在、日本・中国・韓国の初等教育において、異文化理解教育の推進に関する実践と研究にも携わっている。
目次
「気付くこと」とは?
「気付くこと」はどのようなことなのでしょうか?
おもしろいことに出合ったとき、知らなかったことを知ったとき、新しい発見をしたとき、私たちは自然に「気付く」という経験をしています。生活科では、「気付き」は学びの出発点として大切にされていますが、私は子供だけでなく、大人にとっても大事だと思っています。また、探究学習における課題設定も、すべては小さな「気付き」から始まります。何かに疑問をもち、「なぜだろう」と考えることが、新しい学びへとつながっていきます。このことは、大人にとっても人生を豊かにすることにつながる習慣だと思います。
しかし、私たちは、楽しいことよりも、嫌なこと、つらいこと、きついことのほうをすぐに気付いてしまいます。「また仕事が増えた」「時間が足りない」「思うように子供が動いてくれない」……そんなことばかりに気が付き、教師という仕事の本当の魅力を見失ってしまいます。けれども教師という仕事は、人の成長に立ち会え、自分も成長できる楽しい仕事です。目の前の忙しさだけを見るのではなく、「教師だからこそ気付けること」「教師だからこそ得られる喜び」に目を向けることで、毎日の仕事は少しずつ違って見えてくるはずです。
今回は、教師が日々の生活の中で大切にしたい「気付き」について考えてみたいと思います。

情報は教材の宝庫
最近では、私自身もInstagramやFacebookを利用するようになりました。毎日のように様々な情報が届き、共感できる記事や研究紹介なども目にします。さらに、一度検索した内容に関連した動画や記事が次々と表示される時代になりました。
以前、社会科教科書の情報単元の執筆に携わったことがあります。その頃に比べて情報環境は驚くほど変化しています。昨年の知識がすでに古く感じられるほど、情報技術の進歩は速くなっています。だからこそ重要なのは、「何が流行しているか」ではなく、「自分に必要な情報は何か」を見極めることです。
教師にとって情報は教材の宝庫です。例えば、サッカーの「2026 FIFAワールドカップ」の開会式で歌われた『DNA』という楽曲は、前向きなメッセージが込められており、子供たちにも伝わりやすい内容でした。歌っている歌手の国籍であるイタリア語や韓国語のフレーズも盛り込まれ、まさに世界大会らしい1曲でした。また、ノルウェー代表の応援として話題になった「バイキング・ロー」は、力強いリズムと一体感が印象的で、「運動会の応援に取り入れてみたい」と話す先生もいました。教育につながる素材は、身近なところにも数多く存在しています。一方で、世の中には不安をあおる情報も少なくありません。
私自身は、「明日への一歩につながる」「人を前向きにする」情報を意識して選ぶようにしています。悲しい出来事であっても、そこから学べることや希望を見いだせる情報であれば、よいと思います。教師がどんな情報に気付き、どんな情報を子供へ届けるか。それは、これからますます大切になっていくでしょう。
