休み時間は全員外へ?ー子どもの声から考える「社会モデル」ー|インクルーシブ教育を実現するために、今私たちができること #21

「インクルーシブ教育」を通常学級で実現するためには、どうすればよいのでしょうか? インクルーシブ教育の研究に取り組む青山新吾先生が、現場の先生方の悩みや喜びに寄り添いながら、インクルーシブな学級を実現するために担任ができること、すべきことについて解説します。
執筆/ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科准教授・インクルーシブ教育研究センター長・青山新吾
目次
インクルーシブ教育とは何か
野口晃菜(2022年)は、「インクルーシブ教育」の対象は、虐待をされている子ども、外国にルーツのある子ども、貧困状況にある子ども、性的マイノリティの子ども、障害や病気のある子ども、不登校の子どもなどのマイノリティ属性の子どもを含むすべての子どもたちであるとしています。
そして、すべての子どもたちを包摂する教育を目指すプロセスがインクルーシブ教育であり、そのためには、これまでの教育システムを変えていくことが必要だとしています。本連載では、インクルーシブ教育を実現するためには、通常学級の教育が変わっていくことが求められているという前提に立っています。
今回は、次期学習指導要領の改訂に向けた中央教育審議会の議論を踏まえて、インクルーシブ教育を進めていく際に必要な「最初の一歩」について考えます。
中教審で議論されてきたことー「社会モデル」の考え方-
中央教育審議会がまとめた「論点整理」を踏まえて、17のワーキンググループがつくられ、活発な議論が展開されてきました。私は「特別支援教育ワーキンググループ」の委員として、この議論に参加しておりました。
特別支援教育ワーキングでは、「社会モデル」の考え方が重要だという議論がなされました。全10回のワーキングを通して、社会モデルの考え方は、「授業づくり」「学級・集団づくり」「自立活動」「合理的配慮」「重層的な指導・支援」など、様々な論点と関連づけながら繰り返し議論されました。
「社会モデル」の考え方とは何でしょうか。
同ワーキング第9回の【資料1】では、「障害者が日常生活又は社会生活で受ける制限は、心身の機能の障害のみならず、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるという考え方」だと定義されました。
つまり、障害を個人の問題ではなく、社会環境との関係で生じるものと捉え、その考え方を教師が理解し、日々の教育活動に反映させていく重要性が議論されてきたのです。そして、この「本人だけに原因を求めず、環境との関係から考える」という視点は、障害のある子どもに限らず、様々な子どもの「学びにくさ」や「過ごしにくさ」を考える際にも、大切な手がかりになります。
そこで、ここでは「障害のある」子どもに限定せず、考えを進めていきます。
