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不登校だった子どもたち連続インタビュー「私はなぜ、学校にいけなくなったのか?」~現役中学生が「小学校時代の不登校」を振り返る①~

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先生方が今担任されているクラスにも、不登校気味の子や、「学校が息苦しい」と感じている子がいることでしょう。そこで、学校に行かない選択をした子どもたちのためのフリースクール・花まるエレメンタリースクール(通称・花メン)で学び、自らの輝きを取り戻して卒業した中学生8人への連続インタビュー企画をお届けします。全4回にわたり、小学校時代や、今につながる経験を振り返り、本音で語ってもらいます。第1回のテーマは、「子どもたちが不登校になるきっかけと理由」です。

※インタビュー内容は、本人が特定されないよう一部表現を調整しています。

不登校は「ある日、突然」ではない

一回休んだら、友達の目が怖かった。(Aさん・中1)

勉強や運動は問題なかった。ただ、友達関係がうまくいかなかった。
2年生だったある時、1度、学校を休んだ。理由は「体調不良」ということにしたけれど、今思えば、少し仮病のようなところもあったのかもしれない。

でも、1回休むと、その次が行きづらくなる。「行ってきなさい」と言われても、身体が動かない。
1週間ほど経ってから学校へ行った時には、「久しぶりに来たよ、あいつ」――そんな視線を向けられている気がした。その空気が怖くて、また行けなくなった。

こうして2年生の3学期から3年生の1学期にかけて、だんだん学校へ行けなくなった。4年生の終わりくらいまでは、ほとんど登校していない。

仲の良い子が家まで来て、「おいでよ」と声をかけてくれたこともあった。本当にいい子たちだったと思う。それでも、行けなかった。そこから先は、ずっと不登校だった。

林 隼人校長(ハヤトカゲ)+チーム花メンによるコメント
学校を1回休んでしまうと、「戻るタイミング」は、すごく難しいものです。久しぶりに学校へ行った時の周囲からの視線は、本人にとっては本当に怖いものだと思います。たった1週間行かないだけでも、本人の気持ちが(学校から)どんどん離れていってしまうこともあります。
Aは、表面上は大人しく見えるけれども、芯の強さがある子です。言い換えれば、周りに流されるタイプではなかったということです。自分を持っていて、「嫌なものを嫌だ」と感じる力が強かったんだ、学校に行かない頃から、自分なりに踏ん張っていたんだろうな、と考えています。

「私はみんなと違う」と思っていた。(MKさん・中2)

最初のきっかけは、勉強がつまらなくなってきたこと。塾に通っていると、だんだん難易度が学校を超えてくる。そうすると、学校の授業がどんどんつまらなくなってくる。早く終わっても、結局みんなに合わせるから、浮いちゃったりとか。

私はスマホも持ってなかったし、YouTubeも制限されていたから、周りの子と話題も合わなくなってくる。話の合わない自分を、無理して「合う自分」に繕っていても、やっぱりどこかで綻びが出てきてしまう。それで、5年生の頃に学校に行くのが苦しくなってしまった…。

その頃は、「学校に行こうとしてたのに行けない自分」「家から出られない自分」が、どんどん嫌になっていた。家でも親や妹とケンカになる日々が重なって、「全てが嫌! 学校に行きたくないな」ってなっていった。

親はいろいろなフリースクールを探してくれた。5箇所くらいは体験や見学に行ったと思う。見学を重ねていくうちに、「自分に合う場所に行くのがいいよな」と思うようになった。オンラインのフリースクールに実際に入ってみたけれど、対面で人と会わないし家からも出ないから、「私には対面のフリースクールの方が合っているな」と、思った。それで(一周ぐるっと回った後に)もう1回花メンに申し込んで、通うことにした。

林 隼人校長(ハヤトカゲ)+チーム花メンによるコメント
「学びたい!」という気持ちが旺盛で、そこをせき止められてしまうと苦しいと感じる子は、実は多いんです。花メンの基礎学習の時間では、全体を待たなくても、学年に関係なく、飛び級みたいにどんどん先へと進んでいくことができます。こちらが、「次やっていいよ」「これはどうだ!」と、より難しい問題をどんどん渡すことで生き生きする子は、一定数います。
大人によっては、「(勉強ができるんだから)周囲に合わせて待つくらい、大したことではないのでは?」と思うかもしれません。でも、「学びたいという気持ちをせき止められ続けるストレス」は、想像以上に大きいものです。そうした苦しみを、解像度高くイメージしてみることは大切だと思っています。
MKの場合は、花メンに来て「学びたい」という気持ちが満たされることで、日常生活、友人関係といった他の部分の精神的なバランスも取れていった、という印象があります。

女子グループの空気に馴染めなくて

女子3人組の中で起きていたこと。(MIさん・中1)

最初に学校へ行けなくなったのは、小学4年生の頃だった。同じクラスの子に話しかけられ、三人組で友達になった。けれど、そのうちの二人は幼稚園の頃からの仲良しだった。自分だけが、「後から入った側」だった。

二人だけに通じる話題がある。空気感がある。距離感がある。その中に入ろうとすればするほど、頭の中がぐちゃぐちゃになっていった。それでも最初は、なんとか学校と繋がろうとしていた。「中休みから行こう」と考え、遅れて登校する形で通っていた時期もある。

でも、ある日、突然その二人から、「もう、三人組はやめよう」と言われた。せっかく仲良くなれたと思っていたのに、急に解散を告げられた。解散した後も、二人は普通に話している。なぜ自分だけ外されたのか。何が起きたのか。その意味がわからなくて、さらに混乱した。そして、そのまま学校へ行けなくなった。

女子グループの空気が、苦しかった。(Rさん・中2)

小学校生活の後半くらいから、学校に行けなくなった。でも、今振り返ると、しんどさはもっと前から始まっていたと思う。小学1年生の頃、友達にトイレへ呼び出されたこともあった。当時は、とにかく「怖い」という気持ちが強かった。

その後も、学年が上がるにつれて、仲間外れのようなことが増えていった。暴言を言われたり、女子グループの中でうまく立ち回れなかったりして、だんだん学校にいること自体が苦しくなっていった。

自分は、気が強いタイプの子と仲良くなることが多かった。でも、仲良くなったあとに、急にきつく当たられることもあった。今思うと、女子グループの中には、独特の「空気」や「お作法」のようなものがあったのだと思う。

愛想笑いをする。相手に合わせる。ちゃんと迎合する。そういうことを自然にできる子もいるけれど、私はそれがうまくできなかった。だから、少しずつ居場所がなくなっていく感覚があった。

やられた側が「嫌だった」と言うと、「被害者ぶっている」と見られてしまうこともある。それもしんどかった。表面上は仲良しに見えても、実際には、一人ずつ(仲間外れの)ターゲットが変わっていくような空気もあった。それが、怖かった。

林 隼人校長(ハヤトカゲ)+チーム花メンによるコメント
女の子同士の人間関係って、男子同士より難しいものです。特に、小学校高学年から中学生あたりは、「みんなと同じ」でいることを無意識に求められる時期。その中で、外見が可愛かったり、自分の考えを持っていたりする子は、本人は普通に振る舞っているだけでも、嫉妬や違和感の対象になってしまうことがあります。周囲の大人から見ると「そんなことで?」と思えるような出来事でも、本人の中では、小さい傷が積み重なっていきます。しかも、「嫌だった」と正直に気持ちを伝えた側が悪者のように扱われる空気もありますから、どんどん苦しくなっていきます。でもそれは、反対に言うと、「その子には違和感を感じ取れる力があった」ということでもあります。
無理をして嫌な空気に合わせ続ける必要はありません。「この人間関係は違う」と感じ取ることができる感覚は、この先自分を守る力になると思います。

「学校というシステム」との摩擦

花まるエレメンタリースクールでの授業場面

わかってるのに、なんで10回も書くの? (Sくん・中2)

もともと、宿題が大嫌いだった。そもそも、「漢字を10個書きなさい」みたいな宿題に意味を感じられなかった。書ける漢字を何回も書かされる。「その字、もう覚えているし、書けるんだからいいじゃん?」と思っていた。

でも、学校では「表面的に形を合わせること」を求められる。そんな宿題なのに、やらないと叱られる。「このページも、このページも…」と、量だけが増えていく。それを見て、「終わんねーや。だったら学校、行きたくないな」と思うようになり、だんだん学校へ行かなくなった。
4年生の夏休みの宿題を見た時、「もう無理だな」と思った。夏休みは「休み」なのだから、休みたい。大人だって仕事の日は働くけれど、休日は休むでしょう?

学校に行かなくなった後、最初はYouTubeを見て時間を潰していた。でも、当然親から「もうダメ」と言われる。そのうち家にあるDVDを再生して見続けるようになった。一時期は、「それいけ! アンパンマン」をずっと見ていた。自分が小さい頃に見ていた作品。なんというか、ぼーっとしながら、「おお……」みたいな感じで、ずっと見ていた。

林 隼人校長(ハヤトカゲ)+チーム花メンによるコメント
「宿題が嫌だな」→「宿題をやらない」→「学校に行きたくない」→「学校に行かない」。その流れの中で、Sが強烈な違和感を感じた瞬間があったんだと思います。Sは物事を合理的に考えますから、意味が見いだせる宿題(課題)は、ちゃんとやるんです。
僕は学校から「全員に同じ宿題を絶対にやらせる」という縛りがなくなったら、学校に行ける子は増える気がしています。意味が見いだせないことに強い拒絶反応がある子は、一定数いますから。

「なんでできないの?」と言われるのが、嫌だった。(Tくん・中2)

学校に行かなくなったきっかけは、音楽の先生だった。僕はリコーダーが苦手だった。うまく吹けなくて、「なんでできないの?」みたいなことを、ずっと言われ続けていた。それがだんだんしんどくなって、4年生の頃、「もう学校、いいかな…」と思うようになった。

1日6時間授業もしんどかったし、全体的に、「なんとなく行きたくないな」という気持ちが積み重なっていって、そのまま学校へ行かなくなった。親も最初は、「学校に行きなさい」と言っていた。でも、だんだん無理に行かせるのをやめて、花メンを探してきてくれた。

学校へ行かなくなってからも、サッカースクールにだけは通い続けていた。
花メンに入ってからも、最初はあまり自分から入っていけなかった。でも、みんなが普通に話しかけてくれた。それが嬉しくて、少しずつ楽しくなっていった。

林 隼人校長(ハヤトカゲ)+チーム花メンによるコメント
Tが花メンに初めて来た日、紺のハーフパンツをはいて、スポーティーな格好をしていました。大人しいけれど足が速くて、サッカーをやっている時の動きを見ていると、「この子、体を動かすのが好きなんだな」と、すぐに分かりました。そんなTは、花メンに来てからは、どんどん声を出すようになりました。運動が好きで体育の時間に活躍していたから、みんなから受け入れられた部分もあると思います。

「自分を守ろうとしていた」だけ

花まるエレメンタリースクールでの体育の授業場面

自分を曲げてまで謝るのは違う。(Kくん・中3) 

僕は、「学校に行きたくなくなった」というより、先生から「来るな」と言われた感じだった。

当時は、「先生に逆らうのがかっこいい」と思っていた。あと、女子が苦手だった。群れて、口裏を合わせている感じというか。「自分たちが正しい」みたいに、男の先生を巻き込んで勝手に話を進めていく空気が、すごく嫌だった。

こっちは、こっちなりに事実に近いことを言っているつもりなのに、全然聞いてもらえない感じがして。それで、結構な人数の女子に手を出してしまって、先生との面談になった。その時に、「学校に来るな」と言われた。5年生の頃の話で、当然、親にも怒られた。

でも、「本当はこうだ」と自分が思っていることを、曲げてまで謝るのが嫌だった。
今になって振り返ると、「反抗したかった」とか、「それがかっこいいと思っていた」というより、自分を守ろうとしていたんだと思う。中学生になった今は、一線は超えないようにはしている。でも、「自分を曲げるつもりはない」という気持ちは今でも持っている。

林 隼人校長(ハヤトカゲ)+チーム花メンによるコメント 
Kには、昔から風格がありました。何事にも動じない感じというか…。(花メン一のガキ大将)MAも、同じタイプで、だから、仲が良かったんだろうと思います。「自分を持ち続ける」ことは、大人になっても難しいことです。子どもの頃は、それが少し強い形で出てしまって、周囲と摩擦が起きることもあるでしょう。でも、周囲の大人がその芽をただ“潰す”のは違う気がします。中学生になったKは、今も自分をうまく持ち続けていて、周囲ともバランスがとれているようです。本当にカッコいいと思います。 

いつも、グループに入れない。(Oさん・中2)

小1の頃から口が悪くて、「女子全員が敵、だからクラス全員が敵」みたいな感じになっていた。
「死ね!」とか、お互い普通に言い合っていたし、蹴られたら蹴り返していた。

毎日、誰かと揉めていて、結局いつも「私が悪い」みたいになる。でも、「相手も悪いだろ!」と思っていた。小2になると、もう仲良しグループができあがっていて、自分は外されていた。ずっと一人で絵を描いたり、折り紙をしたりして過ごしていた。

小3で友達ができたと思ったら、また離れていく…。なんというか、「他の子に友達を奪われていく」感じだった。グループで一緒にいたのに、別の子が来て、その子を連れて行ってしまう。そして自分だけが残される。そんなことを、ずっと繰り返していた。

そこから、不登校になった。その後も何回か学校へ行こうとはした。でも、やっぱり無理だった。それで、花メンに来た。

林 隼人校長(ハヤトカゲ)+チーム花メンによるコメント
Oの口の悪さは、ハンパではありません。でも僕(林校長)はそんなOが好きです。だって、ロックじゃん! 女の子同士の世界って、独特の力学があります。「誰と誰が組むか」とか、「誰を入れる・外す」とか、そういう空気がすごく濃いものです。わざと友達を奪う子もいるし、グループの中で力関係もあります。
だから、友達ができたと思っても、また一人になる――といったことを繰り返す子もいます。周りから見ると、「よくあること」に見えるかもしれません。でも、本人にとっては、自分の居場所が少しずつ削られていく感じなんだと思います。ただ、僕たちは、それを「だから、ダメなんだ」とは思いません。むしろOには、「この子は花メンに来たらその能力が開花するだろうな」という素養を感じました。
口が悪いとか、感情が強いとか、周りに合わせないとか、そういうのって、裏を返すと「ちゃんと自分がある」ということですから。

全員が「変わった子」「扱いづらい子」だった

8人の話を聞いていると、「学校に行けなくなった理由」は、一人ひとり違うのだと感じます。けれども、どの子にも共通して感じるのは、「その子なりに必死だった」ということです。

書籍 『不登校だから、輝ける! 花まるエレメンタリースクールの挑戦』より抜粋

そんな子どもたちのことを、花まるエレメンタリースクール校長・ハヤトカゲこと林隼人さんはその著書の中でこう語っています。

率直にいえば、今の5、6年生に出会った当初、全員が「変わった子」「扱いづらい子」でした。けれども、その子たちは数年の時間をかけて変化し、やがて必ず、新入生や年下の子を迎え入れる側になります。かつて自分が他者から戸惑われ、理解されなかった経験があるからこそ、「君の気持ち、よくわかるよ」と自然に声をかけることができるのです。そうした関係が、順繰りに受け継がれていきます。

『不登校だから、輝ける!: 花まるエレメンタリースクールの挑戦』より抜粋

東京都最大級のフリースクール「花まるエレメンタリースクール」では、「変わった子」「扱いづらい子」と、どう向き合っているのか。そしてその子たちは、どのような経緯を辿って成長し、新しい仲間を迎え入れる側になるのか? 
花メンでの試行錯誤と実践の具体をまとめたの本が、『不登校だから、輝ける! 花まるエレメンタリースクールの挑戦』(6月30日発売予定)です。
学校現場に蔓延する息苦しさを変える本質的な改革のヒントに満ちた一冊です。よろしければぜひご予約の上、ご購読ください。

単行本『不登校だから、輝ける! 花まるエレメンタリースクールの挑戦』好評発売中!

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撮影/チーム花メン 写真セレクト/トモカ(女性スタッフ)

花まるエレメンタリースクール 「メシが食える大人に育てる」花まる学習会が運営するフリースクール。これからの時代に必要な力を「体験」を通して「五感」を使って身につける。不登校の子、不登校でなくても才能を伸ばす新たな学びの場を探している子が通っている。HPは、コチラ。インスタグラムは、コチラ

取材・文 / 楢戸ひかる(ならと・ひかる)
ライター。「ギフテッド」や「学校に行かない選択をした子どもたちのためのフリースクール」取材を通じて、教育に選択肢を作ることを探究している。自身のサイト「主婦er」内に「ギフテッド関連記事のリンク集」と「不登校関連記事のリンク集」がある。

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