小6 国語科「笑うから楽しい」「時計の時間と心の時間」「[情報]主張と事例」全時間の板書&授業アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小6 国語科「笑うから楽しい」「時計の時間と心の時間」「[情報]主張と事例」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小六 国語科「笑うから楽しい」「時計の時間と心の時間」指導のヒントとアイデア

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院准教授・茅野政徳
執筆/成城学園初等学校・木村大望

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元は、主張(意見)と事例(事実)の関係を捉える力を育てることを主たる目的としています。そのために教科書には、共通した構成を持つ2教材が載せられています。
まず、見開きの教材「笑うから楽しい」で、主張と事例の関係を、叙述を基に押さえます。その学びを生かすべく、「時計の時間と心の時間」を読み、より主張と事例の密接な関係を実感できるようにします。「情報 主張と事例」というページも児童の実態に応じて活用するとよいでしょう。

最終的には、主張に対する事例の数やその内容の妥当性について、書き手の意図を読み手の立場から評価して、その主張について自分の考えをもつ姿が見られることを期待しています。また、その資質・能力が、自らが表現する立場となった際にも発揮されることを願っています。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

児童に育みたい資質・能力をもとに、教材の特色を考慮して言語活動を設定することが大切です。
まず、2教材の特色を見ていきましょう。本単元では、情報と情報の関係の中でも、主張と事例の関係について重点的に学んでいきます。「笑うから楽しい」と「時計の時間と心の時間」には、次のような共通点が見出せます。

筆者の主張が「初め」と「終わり」にある双括型の文章構成となっていて、「中」に主張を支える事例が示されている。
書き出しで、読み手が当たり前に感じること(日常性)と、読み手が思いもよらなかったこと(意外性)の両方を述べ、読み手を引きつけるための工夫が用いられている。
「中」で科学的な実験に基づく確かな事実を示すことで、筆者の主張の強い説得力につながっている。
読み手にとって身近で分かりやすい具体例を挙げることで、読み手の理解を助け、より共感的に読めるように工夫されている。

これらはいずれも主張と事例の関係を捉える上で注目したい点です。2教材で示される筆者の主張は、読み手の通念を覆すような意外性を持った事実と密接に関連しています。それにも拘わらず、読み手が共感しながら読むことができるのは、①~④ に挙げた方法を用いながら、筆者が説得力のある書き方を工夫しているからです。筆者は、読み手にとって分かりやすい具体例と、実験から得られた科学的な事実を組み合わせながら、自分の主張を支える事例を挙げて、読み手の理解を助けているのです。

本単元では、上述した筆者の意図を押さえながら、読み手の立場からそれを評価する活動が大切です。そのために、筆者が挙げた事例の妥当性について話し合う活動を積極的に設けていきます。
教科書に示されているように「事例がある場合とない場合」を考えることは効果的な方法です。その際は、挙げられている事例に対して、「よく分かった/分からなかった」といった児童が感じたことを全体で確かめるようにします。そうすることで、児童が発言しやすくなるとともに、「分かりやすい(=確かめやすい)事例から分かりにくい(=確かめにくい)事例になっている」といった事例の並び順に児童の思考を焦点化しやすくなります。これは必然的に「分かりにくい事例がなかったらどうなる?」という話合いにつながるでしょう。

また、本単元は上述した学習を通して、主張と事例の関係を捉える力を育むだけではなく、それを活用しながら定着させることを目指しています。教科書では単元のまとめとして、「昼休みは長いほうがよいか、短いほうがよいか」について主張と事例の関係を明らかにして、自分の考えをまとめて伝え合う活動が設定されています。
本単元では、単元のはじめにも、この話題について話合いを行います。単元のはじめの話合いでは、自らの経験にもとづいた主観的な意見で相手を説得させようとする姿が予想されます。これは、「より説得力のある説明の仕方はないか」を考えるきっかけになります。
また、第三次で再びこの話題について話合いを行った際に、単元のはじめの話合いとの違いを比較することができます。これによって、第二次で詳しく学習した、事例をもとにした主張のよさを児童が体感的に理解することができ、自らの変化を自覚しやすくなります。

ところで、この単元で読んできた2教材は、実験や調査によって分かったことを事例として挙げていましたが、「昼休みは長いほうがよいか、短いほうがよいか」という話題で話し合う場合は実際の経験や現状を事例として用いることになるでしょう。より説得力のある主張にするためには、現状を示す根拠としてアンケートの結果などが参照できるとよいです。
本単元では、児童がアンケート調査を行い、自分の主張を支える事例を集める活動を行います。アンケート結果から得られた客観的な事実を事例として用いることで、自らの主張をより説得力のあるものにできる、という認識の変化を目指します。

この話題に限らず、学級の実態や児童の学習の積み重ねから、どのような言語活動を設定すると、より2教材を読むことで学んだこと(主張と事例の関係)を生かせるのか判断してください。
本単元で育んだ力を、日々の生活の中で定着させていくことを目指すとするならば、児童の実生活に即した対話場面の設定が望ましいです。具体的には、学級活動や委員会活動などで生まれた実際の課題から対話場面を設けられるように工夫することで、児童にとってより実感を伴った深い理解につながるでしょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 学びの実感が得られる工夫

主体的な学びを引き出す上で大切なのは、本単元の学習を通じて身に付けたい力を、児童が実感できることだと考えました。本単元では、事例を挙げて説明することのよさを、児童が実感できるようになることを目指します。

そのためには、児童が説得力を持って自分の考えを相手に伝えたいという想いを持っていることが大切です。本単元で設定された「昼休みは長いほうがよいか、短いほうがよいか」という話題は、児童一人ひとりの学校での過ごし方のちがいなどから、さまざまな意見が出ることが予想されます。立場のちがう相手がいるからこそ、自分の考えを伝えたいという想いが生まれます。

一方で、それぞれの感覚や経験に基づく意見ばかりでは、考え方のちがう相手に対して十分な説得力を持つことができません。この時に初めて、「どうすれば説得力のある説明ができるか」を児童が考えるようになり、第二次の学習の必然性が高まります。

そして、本単元のまとめとして、同じ話題について自分の考えをまとめる機会を設けることで、学習を通じて、自分が主張と事例の関係をどれだけ意識できるようになったかが確かめられるようになります。
また、児童一人ひとりがまとめたものをお互いに読み合うことで、主張と事例の妥当性について学びを深めることができます。

このように、単元の学習を通じて育む資質・能力を、児童にとって具体的にイメージしやすい姿として示すことが重要であると考えます。

〈対話的な学び〉 それぞれの捉え方の違いを生かす

説明的文章にはいくつかのジャンルがあります。「説明」というジャンルは、すでに社会的に意見の一致が見られていることや定説となっている事柄について、それをまだ詳しく知らない人に向けて解き明かしていきます。
それに対して「論説」というジャンルは、まだ社会的に意見が一致していない意見や定説に対する異論を唱えたりするものです。本単元で扱う2教材は、「論説」にあたります。

「論説」の指導において重要なのは、筆者の論証の過程を捉えたうえで、それらの優れた点や不十分な点について検討する活動を設けることです。示された事実が妥当であるか、事実の選ばれ方は妥当であるか、事実に対する解釈は妥当であるか……等、検討を行う際の視点も様々あります。

本単元の教材では実験に基づく科学的な事実が事例として示されていることから、事実の妥当性はあまり問題とならないことでしょう。その代わり、実験に関する事例は児童の生活上の実感から遠くなることから「分かりにくい事例がある」という意見が出てくることが予想されます。例えば、「時計の時間と心の時間」の実験②は、このような意見が出やすいところです。
この意見に対して、「物がたくさん置かれている実家のおばあちゃんの部屋は、安心した気持ちになって時間がゆっくりと感じる」といった、自らの経験と照らし合わせながら読む子がいるかもしれません。自らの経験を重ねながら読むことで、事例で示されている内容を理解して読もうとする力はとても大切です。こうした発言を授業の中で積極的に価値づけることによって、対話によって交流をしたくなるような雰囲気が生まれていきます。その交流の中で、事例やそれによって支えられた筆者の主張に対する捉え方のちがいに気付き、自分の考えをどのようにまとめていくかという深い学びへとつながっていきます。

〈深い学び〉 自分の主張を支える事例を集める

本単元では、読む活動の中で主張と事例の関係を捉えられるようになるだけではなく、書く活動でその力を活用する場面を設けることで、より知識と知識が結びつき、自らの手で学びを深めることを目指しています。その先には、数ある情報の中から、自分の主張を支える事例を精査して自分の考えを形成する子供の姿が想定されます。
そこで、本単元のまとめとなる言語活動では、情報を精査して主張に生かすことを目的とし、自分の主張を支える事例を集める場面を設定します。

本単元で扱う「昼休みは長いほうがいいか、短いほうがいいか」という話題の場合、現状を正確に捉えるデータなどを事例として用いるとよいでしょう。
例えば、図書室をよく利用する児童を対象に「昼休みの長さは、読書をするのにちょうどよいか」などを尋ねるアンケートを行い、その結果から自分の主張を展開することができます。同様に、「放課後に習い事をしている児童の人数」や「準備や移動などを除き、実際に活動できる時間はどれくらいか」などといったデータを集めることができるでしょう。集めたデータを精査し、自分の主張を支える事例としてふさわしいものを選ぶことを通じて、単元で身につけたい力の定着を目指します。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)アンケートを活用して、問題意識を高める

先述したように、本実践では単元を通してアンケートを積極的に取り入れます。その際に活用したいのは オンライン上のアンケート(「Googleフォーム」等)です。オンライン上のアンケートは、回答結果をそのままエクセルデータとしてまとめられるだけではなく、即座にグラフにすることもできるため、視覚的に表現することにも優れています。
また、URLを共有すればだれでも参加できるため、多くの人数を対象にした調査も可能です。その際は、URLを二次元コードに置き換えて印刷物に掲載するなどの工夫ができます。

(2)思考ツールを有効活用する

単元のまとめとして、自分の考えを書き表す活動を設定しました。その際、本単元の学習を生かして、主張と事例の関係を意識しながら書くことに取り組むことが大切です。
教科書ではワークシートを用いて、主張と事例の関係を整理していますが、ここで情報端末を活用することもできます。思考ツール(ロイロノート「情報分析チャート」等)を用いることで、情報の整理を支援することができます。情報と情報の関係を視覚的に示すことができるため、それぞれの児童の状況を把握しやすくなります。特に、書くことについてCの状況の児童は、集めた情報の整理につまずくことが多いため、情報と情報の関係を思考ツールで示すことは効果的な支援につながります。
このように、自分の考えを深める場面で情報端末は大きな力を発揮してくれるでしょう。

6. 単元の展開(8時間扱い)

 単元名: 主張と事例の関係を捉えて読み、その見方を生かして自分の考えを表そう

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
① 既習を振り返り、説得力のある考えの表し方について考える。また、主張と事例の関係に着目しながら学習を進めるという見通しをもつ。〈 端末活用(1)
(「昼休みは長いほうがよいか、短いほうがよいか」という話題について、自分の考えをもつ。)
② 筆者の主張と事例の関係に着目しながら「笑うから楽しい」を読み、事例の取り上げ方について、自分の意見や経験なども交えてまとめ、伝え合う。

・第二次(3時4時5時
③ 筆者の主張と事例に着目しながら、「時計の時間と心の時間」の文章全体の構成と内容の大体を捉えて読む。
④ 主張と事例との関係について読み深め、事例の示し方に対する筆者の意図について話合う。
⑤ 筆者の主張に対する自分の考えをまとめ、発表し合う。ここまでの学習を振り返る。

・第三次(6時7時8時
⑥ 第一・二次で学んだことを生かし、「昼休みは長いほうがよいか、短いほうがよいか」という話題について、再度考えを表現するために、自分の主張を支えるのにふさわしい事例を集める。〈 端末活用(1)・(2)
⑦ 主張と事例の関係を意識しながら、話題に対して自分の考えを書き表す。
⑧ 書いた文章を読み合う。また、単元の振り返りとして、文章を書くときに考えたことや、学んだことの中で今後に生かしていきたいことをまとめる。

全時間の板書例・発問例・児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
発問の例

それぞれの考えを、もっと説得力のあるものにするためには、どのような伝え方の工夫ができるでしょうか。

多くの人が共感できる具体例があると相手にも分かりやすくて説得力が出る。

「午前と同じリズムで過ごせるほうがいい」という意見は、何か根拠になるものを示してほしいと思った。

これまで学習した説明文では、説得力のある考えをどのように表していたでしょうか。

5年生の「言葉の意味が分かること」では、事例をたくさん示していたから納得できた。

他にも、説得力を上げるために事例を示しているような文章はないのかな。読んでみたい!

読んで学んだことを生かして、「昼休みは長いほうがよいか、短いほうがよいか」について、事例と考えをしっかり入れた文章を書いてみたい。

ではこの単元では、主張と事例の関係を捉えて二つの説明文を読んでみましょう。そこで分かった主張と事実の関係に対する見方を生かして自分の考えを表してみましょう。学習の進め方は、これでよいですか。

指導のポイント

本時で話し合う話題は、多くの児童にとって興味や関心が持ちやすいものです。それだけに個人の考え方や生活習慣に基づいて、意見を述べる子がほとんどでしょう。いくつか意見が出てきたところで、説得力のある意見はあったかどうかを尋ねてみてもよいでしょう。そうすることで「説得力のある意見はどのようなものか」を考えるきっかけになります。

留意点

・クラス全体で話し合う前に、自分の考えをまとめる時間を設けましょう。場合によっては、その後にペアやグループで話し合う時間を設けてから、全体に広げていってもよいでしょう。
・「事例」が5年次の既習事項であることを、この時間で確かめておきましょう。「見立てる」「言葉の意味が分かること」といった具体的な教材名を示しながら、そこで学んだことについて想起できるように支援します。それが、本単元で新たな説明文を読んでみたいという意欲につながるとよいですね。

端末活用の方法や効果 

本時の前に、児童を対象にアンケートを行うことで、児童の問題意識を高めることができます。本単元では、第三次で児童がアンケート調査を行う場面を想定しているため、あえてオンライン上でアンケートを取らせています。「長いほうがいい」「短いほうがいい」という簡単な二択なので、挙手や名前カードを用いて、その場でアンケートをとっても構いません。


【2時間目の板書例 】

2時間目の板書例
発問の例

主張と事例の関係に目を向けるために「笑うから楽しい」を読んできましたね。もし、文章中に二つの事例がなかったら、みなさんはどのように感じるでしょうか。

④段落の「何かいやなことがあったとき」に「鏡の前でにっこりえがおを作ってみる」ことが、どうしてよいことなのかが理解できない。

筆者の言う体の動きと心の動きがどのようなものなのかが具体的にイメージできない。

指導のポイント

本時では、前時後半に児童と確認した本単元の進め方に沿って、主張と事例の関係に注目して、「笑うから楽しい」の筆者の論証の過程を検討していきます。
事例がある場合とない場合に、読み手の理解がどのように変わるのかについて、児童の意見を基に確かめていきましょう。そのために、教材文を段落ごとにまとめた掲示物を用意して、この違いが視覚的に捉えられるように支援します。
全体が見開きで把握できる練習教材の特性を存分に生かして、文章全体の構成を捉える力を育みましょう。

留意点

・主張を捉える場面では、①段落と④段落の叙述を基に、似ている表現や繰り返されている言葉を色分けして示すことで、双括型の文章構成となっていることに着目しやすくしましょう。
・「事例を挙げた意図」という抽象的な内容が理解しづらい児童には、「ある/ない」という仮定だけではなく、「この事例だったら、どうだろう?」といった別事例を提示することで考えるきっかけを与えられます。別事例は自作してもよいですし、筆者である中村真さんの著作から引いてくる方法なども考えられます。

評価
Bの状況の児童の姿 ← Cの状況の児童の姿

【3時間目の板書例 】

3時間目の板書例
発問の例

2時間目では「笑うから楽しい」を読み、主張と事例の関係について考えました。その学習を生かして、「時計の時間と心の時間」を読んでみましょう。文章構成はどのようになっていますか。「笑うから楽しい」と比べながら考えましょう。

この文章では、何を主張するのかな。そのためにどんな事例を挙げているのかな。

「笑うから楽しい」と同じように、はじめの段落と最後の段落で筆者の主張を述べている。

「時計の時間」と「心の時間」について説明する必要があるから、事例の前にその説明が入っている。

「笑うから楽しい」では二つの事例の後、すぐに筆者の主張が述べられていたけれど、「時計の時間と心の時間」には③から⑥の四つの事例の後に、まとめのような段落がある。「ここまで見てきたように」というまとめの言葉がある。

筆者は、なぜ③から⑥の事例をこの順番で書いたのだろう。

指導のポイント

本時では、筆者がどのような時間のことを「時計の時間」「心の時間」として定義しているのかを捉えながら、文章の内容を把握することを目指します。
「用語の定義」も読み手に理解しやすくするための筆者の工夫の一つではありますが、その工夫の効果について考えることまでは求めなくてよいでしょう。
それよりも、それぞれの時間の定義と特性が②段落で述べられていることに気付かせ、叙述とともに内容をしっかり押さえていくことが大切です。
「特性」という表現は「心の時間」だけに用いられていますが、「時計の時間」の特性にあたる内容は明記されています。板書例のように「時計の時間」と「心の時間」を併記することで、「時計の時間」についても「特性」が述べられていることが把握しやすくなります。

留意点

本時で「時計の時間と心の時間」の文章構成を押さえておくことで、次時で行う主張と事例の関係についての学習が見通しやすくなります。
ただし、読むことについてCの状況の児童は、このぐらいの文章量となると文章構成を捉えることが難しくなる傾向があります。
そこで、前時で扱った「笑うから楽しい」の文章構成を想起しながら、「時計の時間と心の時間」にも共通の構造が用いられていることに気付けるように支援します。これによって、次時では③~⑦段落に注目していけばよいという見通しを持つことができます。


【4時間目の板書例 】

4時間目の板書例
発問の例

前時では、「時計の時間と心の時間」の文章構成をみんなでまとめました。そうしたら、なぜ③から⑥の事例はこの順番なのか、という疑問が生まれましたね。

この時間は、その疑問を解決するために、筆者が挙げた事例の並べ方の意図を考えましょう。「笑うから楽しい」の学習を思い出しながら話し合いましょう。

③段落は「なるほどな~」って思えたけれど、⑤段落の実験②はよく分からなかった。

私も③段落の事例はすうっと理解できたけど、⑤段落の事例は必要なのかなと思った。

〇〇さんの言う通り、確かに⑤段落の実験は分かりにくかったけど、実験で明らかになった事実だということだから、「そういうことがあるんだ」と思って納得できた。

ぼくは、四つの事例は、筆者の主張に合う事例だと思った。

指導のポイント

・本時では、主張と事例の関係に注目して、「時計の時間と心の時間」の筆者の論証の過程を検討していきます。「笑うから楽しい」では、事例がある場合/ない場合や別事例を入れた場合との比較を通して、筆者が挙げた事例の並べ方の意図について学習しました。
ここまでの単元の流れを生かして、児童の思考が一つひとつの事例の検討に焦点化するように、学習の歩みを振り返りながら支援しましょう。
・自分の経験と関連づけながら事例の内容を捉えようとする発言は積極的に価値づけていきましょう。

留意点

「分かりやすい例」と書かれているように③段落は、児童にとっても理解しやすいものですが、⑤段落の実験②などは理解しづらく、あまり実感を得にくい内容となっています。その時に話合いが「分かりにくいから要らない」という結論に向かってしまわないように注意しましょう。
この事例を挙げることで、筆者がどのようなことを伝えようとしているのか、この事例がない場合に筆者の主張は十分に伝えられるのかといった補助発問を想定しておきましょう。
児童が「分かりにくい」という表現を用いて話合いを進めているときは、板書例のように「確かめにくさ」という表現に改められるとよいでしょう。

評価
Bの状況の児童の姿 ← Cの状況の児童の姿

【5時間目の板書例 】

5時間目の板書例
発問の例

前時では、主張に結びつく四つの事例について話し合いましたね。その中で、筆者の主張はどのようなことかもわかってきました。

主張の中の「『時間』と付き合うちえ」とはどのようなことでしょうか。

「心の時間」の感覚は人それぞれ違うから、自分のペースを押し付けないように気を付けること。

一緒に作業をしているときに相手を気遣って「休憩する?」という声がけができるようになること。

私は、「心の時間」に目を向けてこなかったので、これから「時計の時間」と「心の時間」の両方を考えたいと思った。筆者の主張に共感できたよ。

ぼくは、「心の時間」を大切にしすぎると一人一人がバラバラになる気がする。筆者の主張に疑問もあるな。

指導のポイント

本時では、筆者の主張に対する自分の考えを表現することを目指します。
そのために、自分の考えをまとめさせる前に「共感・納得」「疑問」といった立場を表明する場面を設けます。立場をはっきりとさせることで、何を書けばよいのかを明確にすることができます。
また、同じ立場の仲間同士で集まって書き方のアドバイスをし合うなどの手立てを講じてもよいでしょう。こうすることで、自分の考えをまとめられない児童を支援することができます。

留意点

クラスの実態に合わせて時数を調整しましょう。書くことを苦手とする児童が多い場合は、自分の考えをまとめる時間と、グループで発表し合う時間を分けても構いません。

<ワークシート>

ワークシート
▶︎ワークシートのダウンロード

【6時間目の板書例 】

6時間目の板書例
発問の例

1時間目にみんなで決めた、この単元の進め方を思い出しましょう。1時間目に「昼休みは長いほうがよいか、短いほうがよいか。」という話題について少し考えてみました。

この単元で学んできたことを生かして、はじめに話し合った話題について、もう一度自分の考えを表しましょう。
まず、この時間は、自分の主張を支える事例としてふさわしいものを見つけていきましょう。例えば、どのような事例が見つけられるとよいでしょう。

教科書に「現状にもとづいたこと」と載っているから、現状を把握するようなアンケートが必要だと思う。

わたしは「昼休みは読書をするには短すぎる」と感じているのだけど、図書室をよく利用する子たちが同じように感じているかどうかを調べてみたい。

指導のポイント

本時では、1時間目に話し合った話題について、改めて自分の考えを練り直していきます。最初の話合いでは、自分の経験に基づく意見が多かったことを振り返りながら、より説得力のある事例を集められるようにします。
ただし、今回の話題では、本単元で読んだ二つの教材文のように、科学的事実などを事例として示すことは難しいでしょう。そこで「情報 主張と事例」の「事例には(略)実際の経験や現状にもとづいたことなどがあります」という一文に注目させ、現状を知ることに目を向けさせるとよいでしょう。

留意点

活動が進まない児童には、「その立場では、どんなよいことがあるか」「その立場でなければ、どんな困ったことがあるか」というように、聞き方を変えることで、考えるきっかけを与えます。

端末活用の方法や効果 

教科書ではワークシートを用いて、主張と事例の関係を整理していますが、ここで情報端末を活用することもできます。思考ツール(ロイロノート「情報分析チャート」など)を用いることで、情報の整理を支援することができます。
情報と情報の関係を視覚的に示すことができるため、それぞれの児童の状況を把握しやすくなります。特に、書くことについてCの状況の児童は、集めた情報の整理につまずくことが多いため、情報と情報の関係を思考ツールで示すことは効果的な支援につながります。


【7時間目の板書例 】

7時間目の板書例
発問の例

この単元で読んできた「笑うから楽しい」と「時計の時間と心の時間」は、どちらも共通した文章構成で書かれていましたね。具体的にどのようなところが同じでしたか。

はじめと終わりの両方に、筆者の主張が書かれていた。

事例の順序は、読み手にとって確かめやすいことから確かめにくいことになるように工夫されていた。

ぼくも最初と最後に「昼休みは短くし、なくしてもよい」という主張をしっかりと書きたいな。

私は「昼休みは長ければ長いほど良い」という主張をしたい。そのために、多くの人が納得してくれそうな事例から挙げるようにしよう。

この事例で大丈夫かな。主張に合った事例を選ぶことができているか不安だから、友達に読んでもらったり友達の文章を読んでみたりしたい。

指導のポイント

本時では、前時で検討した事例を基に、自分の考えを論説文で書き表します。
本単元で読んできた二つの教材文に共通した文章構成を想起しながら、その形式に倣って書き表します。ワークシートで基本となる型を示すことで、書くことが苦手な子でも取り組みやすいように支援します。

留意点

事例の順序で悩んでいる児童には、前時で作成した思考ツールを用いて、順序を入れ替えるとどんな印象を与えるかを一つひとつ確認してあげるとよいでしょう。

<ワークシート>

ワークシート
▶︎ワークシートのダウンロード

【8時間目の板書例 】

8時間目の板書例
発問の例

前の時間に、友達の文章を読んで参考にしたい。自分の文章を読んでもらって、主張と事例についてアドバイスをもらいたい。そんな声が聞こえてきました。

この時間は、お互いの文章を読み合って、書き方の工夫に目を向けましょう。

(〜読み合い、感想を交流する〜)

説得力のある文章を書き表すために大切だと思うことは何でしょうか。また、学んだことをこれからどのように生かしていきたいですか。

自分の主張に合った事例を、読み手への伝わりやすさを考えながら選ぶこと。

二つの文章を読んで、科学的な事実に基づく事例は説得力を持たせやすいことを知ったので、今後は積極的に活用したい。

指導のポイント

・本時では、前時までに書き上げた文章をお互いに読み合うことを通して、友達の表現のよさを認め合う活動を行います。見つけた工夫は付箋紙で伝え合うとよいでしょう。
・単元の振り返りは、単元の学習課題を児童が意識できるように工夫しましょう。単元ごとの学習課題を明確にすることで、既習事項を意識させやすくなります。下記のワークシートはその一例です。

<ワークシート>

ワークシート
▶︎ワークシートのダウンロード

イラスト/横井智美

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