【相談募集中】授業中に離席をしたり騒いだりする子供たちが多く困っています

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福島県私立小学校校長

高橋尚幸

授業中に離席をしたり、騒いだりする子たちが多いことに悩んでいる20代の先生からの相談が「みん教相談室」に寄せられました。1時間の学びをなんとか定着させたいと考えています。『学び合い』の理論に基づいた授業に取り組んでいる福島県私立小学校校長・高橋尚幸先生が、授業を成立させるためのポイントを挙げてくれました。

イラストAC

Q. 授業中も休み時間かのように騒ぎ続ける子供たち。1時間の学びを定着させるには?

専科教員として小学校に勤務しています。子供達は授業中の離席が激しく、自分の席には座っていられません。座るように促しますが、「やだ」と言ったり、「はいはい」で片付けたり、4月から指導をしてきていますが、改善の兆しが見えません。全員で活動したくても、離席する子たちは静かにするわけでもなく、休み時間かのように騒ぎ続けています。授業を受けたいと思っている子たちに指示が通らないため、時間ばかりが過ぎていきます。担任の先生についてもらうなどして、自分だけではない2、3人体制で授業をおこなっても変わりませんでした。しまいには、自分たちが聞いてなくて、活動ができなかったのに、それに腹を立てて文句を言ったり、授業後に勝手に教室のものを触ったりするなど自己中心的な行動も見られるようになりました。

理想は、全員で45分間授業を行い、1時間の学びを定着させることです。どのような活動例があるのか教えていただきたいです。よろしくお願いします。(奏先生・20代女性)

A. まずは強さ比べに巻き込まれないことが肝要。視点を変えて、学べる工夫を

毎日、奏先生が大変な状況で奮闘していらっしゃる様子が目に浮かびます。本当にお疲れ様です。そして、そのような中でも、「全員で45分間授業を行い、1時間の学びを定着させたい」と願っていらっしゃることに、心から敬意を表します。

担当なさっている教科も分かりませんし、実際の授業、子供たちの姿、先生のお人柄などを目にしていない中での答えですので、私の勝手な想像が多くなってしまうことをお許しください。そして、勘違いも含まれるとは思いますが、ご容赦ください。

1.子供たちは“強さ比べ”をしているのかもしれません

文面から感じたのですが、子供たちは奏先生を「担任の先生よりも身近だから、反抗したり邪魔をしたりしやすい存在だ」と捉えている可能性が高そうです。今、多くの子供たちが人間関係に恐れを抱きながら生活しています。そういう子たちは、周囲からいじられたりいじめられたりすることを避けるために、自分が“強い”と示そうとします。互いに強さを誇示し合うこの行動を、私は“強さ比べ”と呼んでいます。子供たちが強さ比べに勝つための方法として、“先生の指示をわざと聞かない”“授業を妨害する”というのは、よくあることです。強さ比べをしている子供たちは、先生が強く注意をすると最初は静かになるのですが、徐々に聞かなくなる傾向があります。

大切なことは、先生が強さ比べに巻きこまれないことと、強さ以外の価値観で動いている子を見逃さずに活躍の機会を増やすことです。

2.静かにならなくても学習できる工夫を

まずは、

>授業を受けたいと思っている子たちに指示が通らないため、時間ばかりが過ぎていきます。

という状況を変えることが必要でしょう。そのために、静かにならなくても指示ができるような工夫をしてみてください。

例えば、

  1. 休み時間のうちに黒板に学習活動を箇条書きしておき、言葉での指示を最小限ですませる。
  2. パワーポイントやキーノートなどのアプリを使い、学習活動を提示する。
  3. ワークシートを用意し、それを見ながら学習できるようにする。

などの方法があります。ワークシートは自作でもよいですが、教科書会社の指導書に付属のものでも構いません。それに指示やヒントや解答例を書き加えておきましょう。ヒントなどがあると待ちぼうけの時間が減ります。どれも少々手間はかかりますが、“授業を受けたいと思っている子たち”は多少、救われるはずです。

そして、これは

>しまいには、自分たちが聞いてなくて、活動ができなかったのに、それに腹を立てて文句を言ったり

への対応にもなります。学習活動を示しておけば、「文句」を言われた時に、「これをやるんだよ」と説明するのが楽になります。こういう時に「聞いていないのが悪い」と強い対応をすると、「じゃあ、やらねえよ」というように、強さ比べに利用されてしまいますからお気を付けください。

まずはペア活動をベースに

45分の授業を成立させるには、次の展開が必要です。一斉での活動が成立しにくい時には、ペアでの活動をおすすめします。荒れている中でのグループ活動は怖く感じるかもしれません。でも、ペアでの話合いは、混ざらない子を無理に混ぜようとしなければ、何とか成り立ちます。1人で困っている子がいれば3人組にしてしまっても構いません。最初は、時間を区切って話し合うのもよいでしょう。隣の人と話し合ったら次は前後で、というように組み合わせを変えると、不成立のペアへの対応にだらだらと時間をかかることを防げます。

ペアでの活動が成立するために、大切なことがあります。それは、授業をリードする子が満足できる、やりがいのある活動であることです。

授業が成立するには、授業をリードする存在が必要です。発問に反応してくれる子、課題を「面白そう!」「やりたい!」と言ってくれる子、ペアやグループ活動で話合いを進めてくれる子、話合いの結果を発表してくれる子。そういうリーダーがいて、先生がそれを褒めたり、紹介したりすることで、他の子も「こうやればいいのか」と真似ができるようになります。

では、リーダーが満足する活動とはどんなものでしょう。それを知るには、授業が上手な先生の授業を実際に見せてもらうのが一番です。しかも、1回だけではなく、同じ先生の授業を5回くらい見るとよく分かります。(それが可能な状況の学校だとよいのですが。)一般的に授業の上手な先生は、まず「リーダーがのってくる学習活動」を中心に据えつつ、その上で「苦手な子をフォローする」という組み立てを無意識に両立させています。ですから、授業を参観しながら「リーダーがのってくる活動」と「苦手な子をフォローする方法」を意識して見つけてみてください。これは、書籍や「みんなの教育技術」などの記事を読む時にも役立つ視点だと思います。

この順番は、逆だと上手くいきません。「苦手な子も学習に参加できるようにしてから、リーダーを伸ばす」と考えていると、騒がしいままです。リーダーが学ぶ姿が、クラス全体に波及する。この順番を頭に入れていてください。

目立たなくても頑張っている子はいませんか?

学習活動を見て分かるように提示し、ペア活動を多めに取り入れたとしても、それですぐに静かにはなりません。きっと、一部の児童がある程度勉強をしている周囲で、何人かの児童が騒いでいる状況が続くでしょう。この時、複数教員での授業体制が継続できるのであれば、奏先生は授業を進行することに注力し、離脱してしまう子への対応は他の先生に任せましょう。よくないのは、他の先生が離脱した子に対応している所に奏先生も近づいて行ってしまうことです。これだと、他の子が待ちぼうけになってしまいます。

奏先生は、それよりも「頑張っている子」を見つけてください。ノートやワークシートによいことを書いていたら大きく花丸をかいて「天才だ!」「すごいなあ」「いい答え!」と褒めてください。ペアでよい意見を言っていたら「よい意見だね」「この考え、先生は浮かばなかったな」とちょっと大きめの声で褒めてください。そして、ペアの話合いの後には、褒めた子に発表をさせてあげてください。こういう時、どうしても目立つ子ばかりを褒めがちではありませんか。私はそうです。でも、目立たなくても頑張っている子を意識的に見つけて褒めることで、頑張る子が増えます。もし、頑張っている子が見当たらなければ、活動内容を見直さなければいけません。

一方、「頑張っていないけど褒めて欲しい子」に冷たくせず、でも甘くならないようにしてください。私は、そういう子には「二重丸」をかいたり、「ここまではいいね。次はこうすると更によくなるよ」と助言したりします。

願いは、全部は無理だけれど、結構叶います

大変だと思いますが、劇的に状況を変えようと焦ることなく、少しずつ学習する子が増えていくことを目指してくださいね。それも「3歩進んで2歩下がる」ようなイメージで。「全員で45分間授業を行い、1時間の学びを定着させたい」と願い続ければ、それが100%叶うことはなくても、きっと前進していきますから。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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