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NotebookLM × Gemini活用 学習指導要領に基づく「ルーブリック」を作る方法

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子供たちが前のめりになる学級経営&授業アイデア
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自治的な学級をつくる12か月のアイデア
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宮城県公立小学校教諭

大内秀平

宮城県公立小学校教諭

鈴木優太

本来、授業づくりにおいては、学習指導要領をしっかりと読み込み、確かな評価規準に基づいたルーブリックを子どもたちと共有することが必要です。しかし、それはとてつもなく高いハードル…。今回は、そのハードルをAIを使って楽々と越えてしまうアイデアをご紹介します。最後の課金パートまでお読みいただいた方には、そのまま使える「ルーブリック作成Gem」(学習指導要領準拠)をプレゼント!

執筆/鈴木優太(宮城県公立小学校教諭)・大内秀平(宮城県公立小学校教諭)

はじめに:学習指導要領、1年に何回開いていますか?

「学習指導要領を、この1年間で何回開きましたか?」

もちろん、指導要領を読むことは大切だとわかっています。「子どもに委ねる主体的な授業にしたい」と思っていても、「教科の見方・考え方をどう働かせるの?」「浅い学びにならないか?」という不安もあることでしょう。そのような問いに正面から向き合うためには、指導要領をもとに単元の目標や評価規準をしっかり読み込む必要があります。そして、それを「ルーブリック」として子どもたちに共有することが効果的です。

しかし、指導要領を読み込んで評価規準を整理する作業と、それを子どもに伝わる言葉に変換する作業、この二重のハードルが高すぎるのが現実です。

本稿でご紹介するのは、NotebookLMとGemini Gemを組み合わせた「ルーブリック作成システム」です。このシステムによって、教科・学年・単元名を入力するだけで、指導要領に基づいたルーブリックが、子どもにも伝わる言葉で手に入ります。

まず、完成形をお見せします。

自動生成されたルーブリック

仕組みの説明に入る前に、このシステムで何ができるのかをお伝えします。

「ルーブリック作成 Gem」に、こう入力します。

「6年算数・対称な図形」

たったこれだけです。

すると、以下がまとめて出力されます。

  • この単元のパフォーマンス課題
  • 評価の観点と評価規準
  • 教師が授業設計に使う教師用ルーブリック
  • 子どもが自分で読める子ども向けルーブリック(A・B・Cの段階描写)
  • 見取りのタイミング(単元のどの場面で評価するか)
  • 子どもが自己評価する際の支援の仕方

このGemの中には、学習指導要領と、大学・研究機関が公開しているルーブリック作成に関する膨大な資料が、すべて詰め込まれています。

ルーブリック作成Gem

では、どうやってこのGemを作るのか。3つのステップでご説明します。

STEP 1:NotebookLMで「対話型学習指導要領」を作成する

まず、NotebookLM(notebooklm.google.com)を使います。

NotebookLMとは、自分がアップロードした資料だけを元に回答してくれるAIツールです。インターネット上の情報と混ざらないため、ハルシネーション(AIの誤答)が起きにくく、「根拠に基づいた情報」を安心して引き出せます。

① NotebookLMを開き、「新しいノートブック」を作成する

NotebookLMを開き、「新しいノートブック」を作成する画面

② 文部科学省のWebサイトからダウンロードした学習指導要領のPDFをアップロードする

文部科学省のWebサイトからダウンロードした学習指導要領のPDFをアップロードする画面

可能であれば、全教科分を入れておくことをお勧めします。授業で担当するすべての教科について、このノートブック一つで対話できるようになります。

これで「対話型の学習指導要領」が完成です。

「6年算数、対称な図形の単元目標と評価規準を教えて」
「この単元で、思考力・判断力・表現力等にかかわる評価規準はどれ?」
「知識及び技能の観点で、Aに相当する子どもの具体的な姿を教えて」

これまで分厚い冊子をめくって探していた情報が、数秒で手元に届きます。まず、このStep 1だけでも、教材研究の土台作りに十分な価値があります。

STEP 2:NotebookLMで、ルーブリックの「設計原則」を20件の論文から集める

次に、ルーブリックをただ作るのではなく、「良いルーブリックとは何か」という設計の原則を、研究資料をもとに整理します。

ここでも使うのはNotebookLMですが、今度は別のノートブックを新しく作成してください。

大切なのは、ここからの情報収集の方法です。NotebookLMの「ウェブからソースを追加」機能を使い、

「ルーブリック作成法 小学生」

と検索します。精度を高めたい場合は、「ディープリサーチ」モードを選択してください(少し時間はかかりますが、より詳細な資料を集めてくれます)。

NotebookLMで、ルーブリックの「設計原則」を20件の論文から集めている画面

実際に試してみると、大学の研究報告・教育学誌の論文・学習評価に関する解説記事など、約20件の資料が自動的にインポートされます。

あとは、そのノートブックのチャット欄でこう聞きます。

「新学習指導要領に基づく評価の3観点(「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」)をベースにした、小学生向けルーブリックの作り方と具体例をまとめてください。」

完成した「ルーブリック専用ノートブック」

20件の専門資料を横断したエッセンスが、整理された形で手に入ります。


STEP 3:「メタプロンプト」でGemのプロンプトをAIに磨いてもらう

さて、ここが最も重要なステップです。

ここで「NotebookLMとGeminiの使い分け」が鍵になります。

  • NotebookLM → 情報収集・整理・分析に特化している
  • Gemini → 何か新しいものを「生み出す」のが得意

STEP 2でNotebookLMがまとめたルーブリックの作り方を、今度はGeminiに渡します。そして、こう伝えます。

「小学生向けのルーブリックを作成するためのGemのカスタム指示(プロンプト)を考えます。以下の条件をもとにより良いプロンプトにしてください。」(ステップ2でNotebookLMのチャット欄で出力された文章を貼り付ける。)

「メタプロンプト」でGemのプロンプトをAIに磨いてもらう画面

これは「メタプロンプト」という考え方です。AIに「より良いプロンプト」そのものを考えてもらうことで、自分でゼロから書くより、はるかに質の高いプロンプトが手に入ります。

ここで一つ、大切なことをお伝えします

生成AIには、どうしても「平たい情報」を出力しやすいという特性があります。誰もが納得するような、無難で汎用的な内容に落ち着いてしまうのです。

だからこそ、Geminiが提案したプロンプトをそのまま使うのではなく、「自分がどんな授業をしたいのか」という視点で、最後に自分が手を入れることが大切です。

「パイロット版として一度Gemを立ち上げて試してみる → 気になる点をGeminiに伝えてメタプロンプトで作り直す」という繰り返しの中で、あなたの授業哲学が反映された、オリジナルのGemが育っていきます。

Gemを完成させる:「知識」に学習指導要領を追加する

納得のいくプロンプトができたら、Geminiの「Gemを管理」→「新しいGem」を開き、「カスタム指示」欄に貼り付けます。

Gemを完成させる:「知識」に学習指導要領を追加する

ここで、絶対に忘れないでほしい設定が一つあります。

Gemの設定画面の「知識」という欄に、STEP 1で作成した「学習指導要領ノートブック」を追加してください。

これを入れることで、Gemは「ルーブリックの設計原則を知っていて、かつ学習指導要領のすべてを参照できる」という、二つの強みを兼ね備えた専門家として機能するようになります。

あとは、このGemを開いて教科・学年・単元名を入力するだけ。どの教科でも、どの単元でも、指導要領に基づいた本物のルーブリックが、数秒で手に入ります。


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鈴木優太(すずき・ゆうた)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1985年生まれ。2013年より教育サークル縁太会を主宰し、アイデアに富む教育実践と学びの場づくりに定評がある。最近著に『クラス全員が「聞ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房・3月31日発売予定)があり、『教室ギア55』(東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)はベストセラーを記録。みんなの教育技術では5年にわたり連載を担当、現在は『「個」も「集団」も育つ 学級経営&授業アイデア』を連載中。

大内 秀平(おおうち・しゅうへい)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1994年生まれ。文部科学省の在外教育施設派遣として、シンガポール日本人学校に3年間勤務。探究的な学びを軸に、総合的な学習の時間やICTを活用した授業づくりに取り組んでいる。Google認定教育者。共著に紺野 悟・大野睦仁/編著『どの教科でも通用する授業づくりのワザだけ集めました。』(明治図書出版)、阿部隆幸/編著『学級経営DX  60のエピソードで示すデジタル活用の実践』(学事出版)などがある。

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