小1 国語科「はなのみち」板書例&全時間の指導アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小1国語科「はなのみち」(光村図書)の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

 小一 国語科 教材名:はなのみち(光村図書・こくご 一上)

監修/ 文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/ 相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師・成家雅史
執筆/ 相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師 ・成家雅史

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元は、1年生の児童にとって、学級のみんなと物語を学習する最初の単元になる場合が多いでしょう。ですから、児童が「物語を授業で学習していくことは楽しい」と思う単元にしたいと考えます。
一方で、教師は、どんな読み手に育ってほしいのか、しっかりと単元で身に付けたい資質や能力を考える必要があります。

本教材は、四つの場面で構成されていて、起承転結が分かりやすいという特色があります。中心人物は「くまさん」です。したがって、それぞれの場面で「くまさん」が何をしたのか、場面の様子と登場人物の行動を関係付けて、物語の内容の大体を捉えることができるようにしていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本教材は、1. 単元で身に付けたい資質・能力でも述べているように四つの場面で構成されています。それぞれの場面で、文と絵が結び付いていて、場面の様子が分かりやすくなっています。さらに、四つの場面のうち、第二場面と第四場面が対照的です。

第二場面では、「くまさん」が友達の「りすさん」に袋に入っているものを聞きに行く場面です。児童は、挿絵を見て、「くまさん」が何かを落としていることに気が付くでしょう。

そして、第四場面では、落としたものが花の種であったこと、春になっていることが想像できます。しかし、多くの児童は、これらのことは絵を通して認識するでしょう。したがって、「おはなしとえをむすびつけてよもう」という言語活動を位置付けて、言葉や文から分かることと、絵から分かることを結び付けて内容を捉えることができるようにしたいと考えます。

まずは、中心人物である「くまさん」が何をしたかという登場人物の行動や会話について、「誰が」「どうした」という主語と述語の関係にあることに気付くことができるようにします。

その後、題名「はなのみち」と、「誰が」「どうした」をつなげてみることで、「くまさんがはなのたねをおとしてはなのみちができた」というようなことが言えるようにします。このことによって物語の筋を捉えることができます。

物語の内容については、学習指導要領解説国語編 に「誰が、どうして、どうなったかなどを把握することを繰り返して、物語全体の内容を正確に理解することが重要」(p.70)とあります。ですから、物語の筋だけでなく、「くまさん」に注目できた後は、その周辺の登場人物や出来事にも目を向けられるといいでしょう。

この物語には、文章化はされていませんが、挿絵を見ると「くまさん」以外にもたくさんの動物たちが登場しています。「くまさん」の友達の「りすさん」「すずめ」「うさぎ」「たぬき」「きつね」が登場しています。

さらに第四場面には、第二場面にはいなかった「ちょうちょ」「かえる」「かたつむり」までが登場しています。
「どうして、ちょうちょさんたちが出てきたのかな。」と不思議に思う児童もいるでしょう。花が咲いているので、「春になったからだよ。」と絵を見て判断する児童もいるでしょう。しかし、本文には「春」という言葉はひと言も書かれていません。「春なんてどこに書いてあるの?」と問えば、「あたたかいかぜがふきはじめました。」という文に注目して発言する児童もいるでしょう。

このように、絵と文を見ながら、場面の様子や登場人物の行動を想像したりして、物語を読む楽しさを味わわせることができるはずです。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 学ぶことに興味や関心を持つ

小学校で学び始めた1年生の児童にとっての主体的な学びに必要な要素とは何でしょうか。
まずは、学ぶことに興味や関心を持つことだと考えます。ここで一つ留意しなければならないことは、椅子に座って先生の話を聞くことが学びではない、ということです。自分が「何だろう」と思ったり、「面白い」「分かった」と感じたりすることによって、学ぶことに興味や関心を持つことを経験させることが大切です。

本単元では、お話と絵を結び付けて読むことで、話の内容がよく分かるということに気付けるようにします。
また、物語全体の中で面白い部分、例えば、第二場面でくまさんが花の種を落としていることに気付かないでりすさんの家まで行ったことや、他の動物たちが興味をもっている姿などについて、1回読むだけでなく繰り返し読むことで、「どうして、くまさんは、袋に穴が開いていることに気が付かないのだろう。」とか、「どうして、他の動物たちはくまさんに何か落ちているよって教えてあげないのだろう。」というような不思議が出てくるでしょう。

また、「くまさんは袋に入っている花の種を全部落としてしまったけど、春になって花がいっぱいさいたからよかった。」とか、「他の動物たちもみんな喜んでいるから楽しそう。」というような面白さにも気が付くでしょう。文と絵を繰り返し読む中で、そのような不思議さや面白さに気付くようにしていくと、学ぶことに興味や関心を持ち、主体的な学びに向かっていくでしょう。

〈対話的な学び〉 想像したことを聞き合う

対話的な学びは、自己の考えを広げ深めるという学びには、なくてはならない学習の過程です。

本単元は、クラスの友達にも慣れてきた時期に実践することが多いでしょう。
ぜひ、授業では自分が思ったり考えたりしたことを思い切って発言していい、という経験を1年生の児童には積み上げてほしいと考えます。ですから、お話作りとまではいきませんが、物語に登場する動物たちの会話が書かれていないことを利用して、どんどん声に出して言わせるといいでしょう。

お話と絵を結び付けることがねらいですから、絵から想像したことを児童がどんどんつぶやける環境をつくり、教師は児童同士がお互いのつぶやきを聞き合うよう指導していくことが大切です。自分が発言したことや友達が発言したことによって物語の世界が広がることは、とても楽しい学びの時間となるでしょう。

〈深い学び〉 絵と結び付けて言葉で表現する

深い学びの鍵として、「見方・考え方」を働かせることが重要になるとされています。国語科の場合は、言葉による「見方・考え方」を働かせることになります。

本単元では、「誰が、どうした」や「誰が、どうして、どうなった」ということを、絵と合わせて表現できるということが、言葉による「見方・考え方」を働かせているということになると考えます。

この物語では、「くまさんがはなのたねをおとしてはなのみちができた」ことを表現できることが、物語の大体を捉えることができるという目標となります。
ただ、それだけを表現すれば物語を読めたかと言えば、そうではありません。「ながいながい、はなのいっぽんみちができた」ことによって、何がどう変わったのかということを絵から読み取って表現できるようにすることが深い学びと言えます。

例えば、「なにが」「どうなった」というように、「だれが」「どうした」という主語と述語の関係だけではないつながりに気が付くことも深い学びと言えます。

また、「ながいながい、はなのいっぽんみちができて~」という文の後に、「だれが、どうした」という文をつくり、絵と結び付けて続きを考える活動をします。

例えば「かえるが冬眠から目覚めた」「うさぎが花飾りをかぶった」という続きが出てきた場合、前場面までは登場していなかった「かえる」に気が付いているということも物語の変化を読めていることになります。
また、「冬眠」や「目覚めた」、「花飾り」などの言葉を絵と結び付けて表現していることになります。

教師が、絵と結び付いた言葉による表現を、どんな小さなつぶやきでも見逃さずに認め、褒めることが、今後の言葉による「見方・考え方」を働かせることにつながっていくでしょう。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

この時期に1年生の児童一人一人が端末を操作することは難しいでしょう。
しかし、端末は、学習の履歴を記録・保存するという役割を備えています。
単元の終末である6時間目に、物語の感想を友達と伝え合う際、記述するのは個人差が大きいことも考えられます。そのため、教師が操作することになりますが、一人一人の端末に児童が感想を語っている姿を録画するという方法があります。

また、学級の実態にもよりますが、絵を一人一人の端末に送って、教科書の文を見せないで、絵だけを見られるようにするということが考えられます。その絵を見て、本文にないことを自由につぶやき合ってみる時間を取ると、対話的な学びにもつながっていくでしょう。

6. 単元の展開(6時間扱い)

 単元名: おはなしとえをむすびつけてよもう

【主な学習活動】
・第一次(1時2時
① 1枚目と2枚目の絵を見て、どんなお話かを想像する。
② 3枚目と4枚目の絵を見て、どんなお話かを想像する。

・第二次(3時4時5時
③ 4枚の絵から物語の題名を考えたり、文を読んで題名について思ったことを述べたりする。
④ くまさんの行動に着目して、「だれが」「どうして」「どうなった」という言葉を使って、物語の内容の大体を表す。
⑤ くまさん以外の人物にも着目して、他の人物の「だれが」「どうして」「どうなった」も付け足して、物語の内容を表す。

・第三次(6時
⑥ 物語を読んだ感想を伝え合う。(一人一人のタブレットに保存する。)

全時間の板書例、教師の発問・児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
「主体的な学び」のために

まず絵を見て物語を想像してみることにより、その後文を見たとき、絵と文の結び付きを強く意識して物語を捉えることができます。
そのため本単元では、1時~2時までは、あえて教科書の挿絵だけを見て物語を想像し、それを発表する授業を展開していきます。2時まではあえて本文を読ませず、児童に物語の題名も示さないまま授業を進めます。

絵は4枚ありますが、1枚1枚に時間をかけ、たとえひと言でも、全員が絵について想像したことを言えるようにしましょう。そうすることで、「授業ではみんなで考えを伝え合って進めると楽しい」という主体的に学ぶ素地を育てることができます。

今日は、絵を見ながら、どんなお話か考えたことを発表していきます。どんな人が出てくるのか、出てきた人がどんなことを言ったりやったりしているのか、発表してくださいね。いいですか。絵は全部で2枚です。それでは1枚目です。

くまさんが出てきています。

くまさんが袋から何かを出しています。

くまさんが袋から出しているものは何でしょうね。

何か食べるものだと思います。

あさがおの種かな。

ぼくたちと同じだね。

この絵からは、くまさんが出てきていて、袋から何か出して見ているのが分かりますね。


【2時間目の板書例 】

2時間目の板書例
「対話的な学び」のために

前時から引き続き、絵を見て想像したことを発表していきます。

1年生の児童ですから、自分が発言したいという欲求を強く持つ児童もいるでしょう。また、はずかしがって自分の考えは発言したくないという児童もいるでしょう。無理に全員に発言させようとせずに、発言に苦手意識がある児童には、発言した児童の考えを聞いてどう思ったかなどを聞くとよいでしょう。

発言した児童は、きちんと自分の考えが届いているという思いを持ち、発言をしていない児童は、きちんと自分は聞いているという存在意義を持たせることができるでしょう。このように、他者を意識させることが対話的な学びの種を蒔くことになります。

今日は、前回とつながりのあるお話の絵を2枚見せます。前回の絵のことは覚えていますか。

はい。覚えています。くまさんが出てきました。

他には、すずめさんも出てきました。

くまさんがふくろをもって、出かけたら、ふくろから何か落ちてしまいました。

〇〇さん、どうですか。ここまでのこと思い出しましたか。

はい。ふくろの中には、あさがおの種みたいなものが入っているって言っていました。


【3時間目の板書例 】

3時間目の板書例
「深い学び」のために

これまで、4枚の絵から分かることを丁寧に読み取ってきました。物語の内容をつかむためには、4枚の絵を1枚1枚で読むのではなく、それらのつながりを意識することが必要です。そのために、4枚の絵のつながりを見て、題名を予想するという活動に取り組みます。

予想することによって、実際の題名がわかった際に、なぜ「はなのみち」という題名なのかを考えたり、自分の予想との違いに目を向けたりしながら、物語の内容の理解を深めていくでしょう。

一方で、教科書が配られた時点で嬉しさで、教科書をひと通り見渡してしまっている児童もいるでしょう。そういう児童が多い場合は、どうして「はなのみち」という題名になっているかを考えたり、他の題名を付けるとしたらどうするかを考えたりする学習活動にしてもよいでしょう。


【4時間目の板書例 】

4時間目の板書例
「対話的な学び」のために

4時間目は、教科書の文を読みながら、「だれが」「どうして」「どうなった」物語なのかを確かめていきます。
この物語は、くまさんが中心人物であるため、 「だれが」 には、「くまさんが」が入ることが多くなります。

特に、第一場面(1枚目)と第二場面(2枚目)では、場面の様子を印象づける登場人物の行動としては、「くまさんが」が中心であり、その周縁的なものとして他の動物たちの行動が取り上げられています。「くまさんが」は、物語を語る上で大きな主語となってきますが、四つの場面のすべてを「くまさんが」で語る必要はありません。

1年生では、答えを一つにしぼって深く議論するというよりも、答えがいくつかあることを発見して語り合うことに喜びを見いだす子も多いと考えられます。そのため、第三場面と第四場面では、板書例に挙げたもの以外も認めていくような、寛容な対応をしていきましょう。

〈例〉第三場面・第四場面 

【5時間目の板書例 】

5時間目の板書例
「深い学び」のために

本単元では、知識及び技能として(1)カ 主語と述語の関係への気付き を育てたいと考えています。
児童の日常の言葉の使用実態から、主語と述語は、 だれがどうした を結び付けて考えやすい傾向がありますので、物語の登場人物の行動に焦点を当てて進めるのがいいでしょう。
しかし、物語の内容については、場面の様子を理解したり説明したりする必要もあります。
そこで、たくさんの だれがどうした を見つけると同時に、なにがどうなった ということへも着目させるような発問を用意しておき、タイミングを見て取り上げるとよいでしょう。

くまさんが、りすさんに袋の中に入っているものを聞きに行く2枚目の絵と、はながさいてみんながよろこんでいる4枚目の絵では、だれがどうした の他にも、なにがどうしたというように言えるものはあるかな。

はながさいた。

そうですね。そういうふうに、変わったものに注目するといいですね。

くさがたくさん生えてきた。

木に葉が出てきた。

いいですね。今のように、 なにがどうした で表して言うこともできますね。


【6時間目の活動例 】

1人1台の端末に感想を録画する

物語の感想を伝え合って共有することは、教室で文学を学ぶ上で意義が大きいでしょう。一人一人が自分の思いを発信すること、一人一人の思いには違いがあることを経験して実感していく必要があります。

伝え合うときは、ペアになったり少人数のグループになったりして対面で伝えるといいでしょう。「ぼくと同じだ。」「わたしと少し違う。」という思いを持つことができます。

ただし、話し言葉は、すぐに消えてしまいます。これから物語を学習していく上で、「初めて学習した『はなのみち』ではこんな感想を言っていたのか。」などと、児童が自分の学びを振り返ることができるよう、記録はしておきたいものです。
その際に、ICT機器を活用するといいでしょう。教師のICT機器を使って記録することもできますし、その後、それぞれの児童の端末に送信し、保存しておくことで、今後、児童が自分で機器を操作できるようになったときに、視聴することができるでしょう。

イラスト/横井智美

【関連記事】
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデアシリーズはこちら!
・小2 国語科「スイミー」板書例&全時間の指導アイデア
・小4 国語科「一つの花」全時間の板書&指導アイデア
・小3 国語科「こまを楽しむ」板書例&全時間の指導アイデア
・小6 国語科「笑うから楽しい」「時計の時間と心の時間」「[情報]主張と事例」全時間の板書&授業アイデア
・小6 国語科「聞いて、考えを深めよう」板書例&全時間の授業アイデア
・小3外国語活動 Let’s Try! 1 Unit 2「ごきげんいかが?」指導アイデア
・小4外国語活動 Unit 2「すきな遊びをつたえよう」指導アイデア
・小6 国語科「漢字の形と音・意味」全時間の板書&授業アイデア
・小5体育「陸上運動(短距離走・リレー)」指導アイデア①
・小5体育「陸上運動(短距離走・リレー)」指導アイデア②
>>もっと見る

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

授業改善の記事一覧

雑誌最新号