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生成AIと一緒なら、子どもたちの「質問力」が伸びる!対話力育成Gem「話してくれるちゃん」と「聞いてくれるさん」をプレゼント!

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子供たちが前のめりになる学級経営&授業アイデア
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宮城県公立小学校教諭

鈴木優太

今回は、「コミュニケーション力=質問力」という考え方に基づき独自開発された2つのGemをプレゼントします。一つはAIに繰り返し質問することで「質問する力」「聞き手としての力」が伸びる「話してくれるちゃん」。もう一つはAIが次々に繰り出す質問に答えることで「スピーチ力」が伸びる「聞いてくれるさん」。今回もその威力は抜群ですよ! ぜひ有料パートまでお読みください。

執筆/鈴木優太(宮城県公立小学校教諭)

はじめに

「子どもたちの対話が、すぐに終わってしまいます…」。

ペア活動やインタビュー学習の際、教室のあちこちから聞こえてくる切実な声です。長年の教室での実践を通して、私はある一つの真理に行き着きました。

豊かな対話を生み出すのは、話し手の準備以上に、聞き手の「問いを重ねる力」だということです。
相手の言葉を全身で受け止め、興味深く相槌を打ち、その中からキラリと光るキーワードを拾い上げて、的確な問いを投げ返す――。そんな優れた聞き手が目の前にいれば、話し手は無意識のうちに心の扉を開き、自分でも驚くようなエピソードを自然と語り始めてしまうものです。

コミュニケーション力=質問力

質問をし続けることができれば、相手との言葉のラリーを延々と楽しむことができます。

「聞かれると、つい答えたくなる」という人間の根源的な特性を最大限に引き出し、子どもたちの質問力をアップデートするために、生成AIを味方につけましょう。

「話してくれるちゃん」のTOP画面

Geminiの Gem機能を活用して、私は 「話してくれるちゃん」 という独自のカスタムGemを開発しました。子どもたちがインタビュアーとしての腕を磨くための専用トレーニングボットです。
この記事を最後までお読みいただいた先生方には、この 「話してくれるちゃん」 ともう一つのGem 「聞いてくれるさん」 のURL(そのまま使えます)をプレゼントします。

今回プレゼントする二つのGem

なお、これらのGemには、

「〇年生が読めるようにして」

などと一言入力するだけで、前学年までに学習した漢字以外をひらがなやカタカナで表記してくれるプロンプトも組み込んであります。私は光村図書5年国語科「きいて、きいて、きいてみよう」の単元で実践しましたが、1年生から6年生まで、どの学年でも汎用的に活用可能です。

さぁ、AIと共に、子どもたちの 「質問力」 という一生モノのスキルを磨いていきましょう。

1 「話してくれるちゃん」との安全な壁打ち

操作は直感的でシンプルに設計しています。まず、端末に向かって最初の問いを投げかけます。

「頑張っていることを教えてください」

するとAIはあらかじめ仕込んだ設定に従って、「図書委員会の仕事を頑張っています」といった具合に、等身大の小学生の回答を返してきます。質問を続けることが難しそうな回答だった場合は、再生成ボタンを押せば嫌な顔一つせずに何度でも話し始めてくれます。

最初の問いを投げかける場面

ここからが本格的なインタビュートレーニングの幕開けです。子どもたちは、返ってきた言葉を手がかりに「どんなことを考えながらやっているの?」と問いを重ねていきます。

問いをかさねていく端末画面

AIはすぐさま、「背表紙をきれいに揃えるように気をつけているんです」と、情景が浮かぶような具体的な行動のエピソードを提示します。そこで子どもがすかさず、「背表紙を綺麗に揃えるコツを教えてください」と質問を重ねます。さらに「どんなやりがいがあるんですか?」と核心に迫る質問を投げかけると、「本が見つけやすくなったと、低学年の子が笑顔で言ってくれることがあって、その時が嬉しいんです」などとリアルな感情の動きを伴った言葉を紡ぎ出します。

相手がAIだからこそ、「うまく質問できなかったらどうしよう」「相手を困らせてしまうかもしれない」という心配がありません。心理的な安全性が担保されるのです。この安全な壁打ちの反復こそが、子どもたちの質問力を着実に伸ばしていく土台となるのです。

2 「問いのトリガー」と対話の質を高める三つの仕掛け

この「話してくれるちゃん」には、子どもたちの学びをサポートするための三つの仕掛けを組み込んでいます。

一つ目は、次の質問のきっかけとなる部分の視覚的強調です。

回答の中でさらに深掘りできそうな重要なキーワードがある箇所や感情が表現された箇所が、太字で視覚的に強調表示されるようにプロンプトを設計してあります。

さらに深掘りできそうな重要なキーワードや感情が動いた箇所が、太字で視覚的に強調表示された画面

例えば「うれしいな」や「背表紙」といった重要な部分が目に飛び込んでくるのです。

子どもたちはこれを道標に、「背拍子を綺麗に揃えるコツを教えてください」「どんなやりがいがあるんですか?」などと、思考を止めることなく次の問いを連続的に立てていくことができます。
AIの回答の中に隠された「問いのトリガー」を見つけ出すゲームをプレイする感覚で、子どもたちはインタビューを連鎖させていくのです。

二つ目は、どんな質問にもAIが必ず答えてくれる点です。

子どもたちが「つらいと思うことがあっても,続けられるのはどうしてですか?」「あなたにとって図書委員とは何ですか?」といった、回答が難しい問いを投げかけたとします。光村図書5年国語の単元「きいて、きいて,きいてみよう」では、話し手が「ううん、むずかしいですね。どう答えればいいでしょうか」と答えられず、聞き手が質問を変えるやりとりの場面が例示されています。
質問の意図がわからない場合は確かめるために尋ね返し、答えが難しい場合は質問を変えてもらうことも大切だからです。
しかしAIの場合、決して困惑することなく、小学生というペルソナを保ちながら丁寧に返答してくれます。これにより、子どもたちは「難しい問いに対してどのように考え、どう言葉を紡げばよいか」という答え方の優れたモデルに、自然な形でたっぷりと触れることができます。

ただし、相手を傷つけるような言葉やインタビューの趣旨から外れた不適切な質問が入力された場合には、「それは少し答えづらいな」「そういう質問は悲しいな」と優しくたしなめるように設定しています。
頭ごなしにエラーとして弾くのではなく、相手の気持ちに寄り添う形で諭してくれるのです。
このように心理的安全性と道徳的な規範が同時に守られた環境だからこそ、子どもたちは失敗を恐れずに対話の実験を何度でも繰り返すことができます

「話してくれるちゃん」とやり取りを重ねている画面

三つ目は、音声読み上げ機能を活用した臨場感の演出です。

三点リーダー「︙」から 「読み上げる」 ボタンを押すと、AIの回答が自然な音声で再生されます。

単に画面上の文字を目で追うだけでなく、耳からもリアルタイムに情報を取り入れることで、まるで目の前に本当の話し手がいるかのような臨場感が生まれ、子どもたちの聞く姿勢がぐっと前のめりになります。

読み上げ機能を活用する画面

子どもからの問いかけも、ぜひ「音声入力」で行いましょう。 キーボード入力よりも肉声で問いを投げかける感覚に近づき、質問のテンポも自然になります。低学年でもすぐにインタビュー活動に没頭することができます。

3 ペア活動とノンマニュアル化

AIとの壁打ちで「聞き出し方」のコツを体感した子どもたちは、いよいよ生身の人間同士、クラスメイトとのペア活動へと移行します。

AIとやりとりした報告をペアで聞き合います。じゃんけんをして勝った人が、次のように尋ねます。

子どもA「報告してください」

そしてパートナーは次のように報告をします。

子どもB「AI(話してくれるちゃん)は、図書委員会の仕事を頑張っています。特に、背表紙を一列にそろえる工夫を頑張っています。私も見えないところで努力できる人になりたいと思います」

従来の実践では、こうしたやりとりの話型を黒板に掲示したり、印刷したカードを子どもに持たせたりする手法が広く取り入れられてきました。私自身も以前は当然のようにそうしていました……。しかし、それらの話型モデルは実は、「ない」方が良い場合がある のです。

ここで欠かせないのがパターン化した機械的なやりとりではなく、自然な人間的やりとりへと昇華させることです。そのための重要なキーワードがあります。

ノンマニュアル化

マニュアルが「ない」方が、子どもたちは級友の顔を見ながら活動しようとするからです。視線が話型にいってしまうと、子どもの顔が下がります。掲示や台本に頼り過ぎてしまうことで、本来子どもにできるはずのことまでできなくなってしまってはいないか。 一度、立ち止まって考え直してみる必要があります。

事前にAIを相手にしっかりトレーニングを積んできたからこそ、ここではあえて 「手ぶら」 で実践するのです。

5 AIの報告と自分の報告が織りなす「ズレ」の妙

ペアで相互の報告が終わった後、授業は大きな山場を迎えます。
子どもたちは再び端末に向かい、AIに対してこう投げかけます。

「報告してください」

するとAIは、瞬時に以下のような構成で報告文を出力してくれます。

① 話し手の紹介
「〇〇さんは,図書委員会の仕事を頑張っています」

② 話題の中心
「特に,背表紙を一列にそろえる工夫です」

③ 感想
「私も〇〇さんのように,見えないところで努力できる人になりたいと思います」

この3段構成は、光村図書の教科書に示されている「報告の三つのポイント」に準拠しています。ここで子どもたちは、先ほど自分がペアの相手に行った報告と、AIが出力した教科書通りの報告とを比較します。

AIに「報告してください」と入力し、3段構成の回答が表示された画面

私は教室全体を見渡しながら、あえてこのように問いかけます。

「みんなのさっきの報告は、どちらかというとAIの報告に近かったですか? それとも、遠かったですか?」

この問いかけの意図は、正解や不正解を判定することではありません。自分自身のパフォーマンスとAIという客観的な基準とを比較させることで、そこに必ず生じる「ズレ」を認識することにあります。このズレの中にこそ、自らの学びを客観視し、次のステップへと進むためのメタ認知の種が潜んでいるからです。

「ズレ」と表示したスライド

子どもC「僕は感想ばかり長くなっちゃって、話題の中心が伝わりにくかった。AIみたいに三つの順番を意識すれば、もっと分かりやすかったな」

子どもD「私は構成はAIとほとんど同じだったよ。でも、私の感想のほうが、その場の空気感とか相手の表情まで言葉にできていて、遠かったけれど自分の報告のほうが好きだな」

なぜ自分の報告はAIに近かったのか。あるいは、なぜ遠かったのか。客観的なデータであるAIの出力を鏡にして自分自身を映し出すことで、子どもたちは自らの「聞く力」の癖や「まとめる力」の現在地を、冷静に分析していきます。
教師が一方的に評価を与えるのではなくAIを活用することで、子どもたち自身が自己の課題を発見し、調整していくプロセスを踏むことができるのです。

6 メタ認知を起動する「往還的」対話

子どもたちは、自分の報告とAIの報告の「ズレ」からの気付きを手がかりに、ペアで顔を突き合わせながらインタビュー活動を行います。

この時、聞き手は、「ナンバリングメモ」という手法を用いて手元のノートに記録を取ります。相手の話を聞きながら、重要だと思った事柄に1、2、3と番号を振り、短いキーワードだけで書き留めていくのです。
そして、対話の中で心が動いた部分、話の核心だと感じた箇所には「なるほど!」という共感の言葉とともに星印を書き込みます。これが報告をする際の ② 話題の中心となります。

星印が書き込まれたナンバリングメモ

光村図書5年国語「きいて、きいて、きいてみよう」の単元では、聞き手と話し手と報告者の3名による活動例が取り上げられています。報告者役となってモニタリングすることにも大きな学びがあります。しかし今回はあえて生成AIを活用することで、体験とメタレベルでのモニタリングを同時に行うチャレンジをしました。集団の最小単位であるペアによる実践によって、子どもたちの体験量が最大化したのではないかと思います。

7 二つのGemがもたらす相互作用と「質問力」への波及

今回は「話してくれるちゃん」を活用して「質問する聞き手」としてのトレーニングを積みました。生成AIにインタビューをする中で、子どもたちのインタビュー力が向上するのはもちろんですが、同時にAIの豊かな返答に触れることで、知らず知らずのうちに「具体的なスピーチモデル」を学んでいるという点も見逃せません。

この土台が完成した上で次に提案したいのが、もう一つのGem「聞いてくれるさん」の活用です。
こちらは役割が逆転し、AIが子供に対して熱心にインタビューをしてくれるボットです。

子どもが話し手となり、AIが聞き手となります。生成AI「聞いてくれるさん」の思考を深める的確な質問に答えていく中で、今度は子どもたちのスピーチ力が向上していきます。
そして同時に、AIによる鮮やかな質問の切り返しを体験することで、「具体的なインタビューモデル」を肌で学んでいるのです。

優れた聞き手としてチューニングされたAIからの問いをたっぷりと浴びることで、子どもたちは「自分の話をもっと聞いてほしい」「もっと語りたい」という強い欲求を喚起されます。「聞かれると、つい話してしまう」という快感を連続して味わうことで、自信がなく口を閉ざしていた子どもたちでさえ、自らの思いを言葉に乗せて発信する喜びを見出していくのです。
聞き手を育てるための丁寧なトレーニングが、巡り巡って結果的に確かな対話力を育てていく…。これこそが「コミュニケーション力=質問力」というアプローチの真髄です。

今回提案した実践は、決して特定の学年や単元に留まるものではありません。1年生から6年生まで、あらゆる教科の「聞く・話す」活動において汎用的に活用できる学び方の提案です。
生成AIというテクノロジーを、子どもたちの思考の「ズレ」を可視化し、対話への感性を引き出すための触媒として活用する。そこに、これからの時代を生きる教師の新たな授業づくりの面白さがあるのではないでしょうか。

鈴木優太(すずき・ゆうた)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1985年生まれ。2013年より教育サークル縁太会を主宰し、アイデアに富む教育実践と学びの場づくりに定評がある。最近著に『クラス全員が「聞ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房・3月31日発売予定)があり、『教室ギア55』(東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)はベストセラーを記録。みんなの教育技術では5年にわたり連載を担当、現在は『「個」も「集団」も育つ 学級経営&授業アイデア』を連載中。

↓大反響!「生成AIフル活用シリーズ」、魅惑のラインアップはこちら!

①AIが通知表の下書きを作ってくれる!

②Kahoot問題生成Gem

③初めて子どもがAIを活用して学ぶ授業 国語編

④初めて子どもがAIを活用して学ぶ授業 算数編

⑤=AI活用 「個別コメント・システム」の作り方)

⑥「◯◯の資料どこ?」と聞くだけで、AIが秒で答えてくれる!

⑦学級開きで子どもたちの心を鷲づかみ!AI活用「オンリーワン絵本」の作り方

⑧ボタン一つで学年全員のカレンダーに予定表が届く! GAS × Googleカレンダーで「自動予定共有システム」を実現しよう

⑨AIがスピーチの腕を磨いてくれる!Gem「自己紹介お師匠」と「自己紹介応援団長」をプレゼント!

⑩NotebookLM✕Gemini活用 学習指導要領に基づく「ルーブリック」を作る方法

⑪作り直しも超簡単!「円盤型当番表楽々作成アプリ」をブレゼント!

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