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小3道徳科 ちょうどよい生活「やめられない」

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官監修による、小3道徳科の指導アイデアです。今回は、A【節度・節制】「やめられない」の実践を紹介します。本実践では、夢中になっている大好きなことをやめられない登場人物の姿を通して、自分の心の中の「やりたい気持ち」と「やめる気持ち」との付き合い方について考えることを通して、自律的によく考えて判断し、節度ある生活をしようとする判断力を育むことを目指します。

執筆/鹿児島県公立小学校教諭・小原 武
監修/文部科学省教科調査官・堀田竜次
 前鹿児島県公立小学校校長
 鹿児島県小学校道徳教育研究会参事・永里智広

学習課題(主題名、内容項目、教材名、ねらい)

〇主題名 「ちょうどよい生活」

〇内容項目 A 節度・節制
 
〇教材名 やめられない(光村図書出版) 
 
〇ねらい 夢中になっている大好きなことをやめられない登場人物の姿から、自分の心の中の「やりたい気持ち」と「やめる気持ち」との付き合い方について考えることを通して、自律的によく考えて判断し、節度ある生活をしようとする判断力を育む。

1 はじめに

今回の実践では、道徳科の学習における「子供のつまずき」から、ICTを活用した授業づくりについて考えました。国語や算数など様々な教科では「子供のつまずき」を前面に押し出した教育書が多数見受けられます。しかし、道徳科における「子供のつまずき」に関する教育書は、まだ多くは見当たらず、発展途上であると言えます。道徳科の学習の中で、子供はどのような場面で、どのようにつまずいているのか。この問いを念頭に置きながら、ICT活用がつまずきの乗り越えにつながるよう、本実践を行いました。

【教材について】

この教材は、3年生のまりさが新しいゲームを買ってもらったことから始まります。公園のブランコで、友達と一緒にゲームをするまりさ。遅れてきた友達から高鬼に誘われても、小さな男の子がブランコに乗りたがっても、友達と別れて家に帰る途中、自転車とぶつかりそうになっても、やめることはありません。夕食も少しだけしか食べず、お母さんが明日の準備について尋ねても、心はゲームのことばかり。しまいにはお母さんにうそをついて、布団の中まで。「あと少し」が何度も続き、寝落ちしてしまいます。翌朝、元気の出ないまりさは、寝ぼけたままで学校の準備もできないまま学校へ。友達のあいさつにも、あくびをして答えられない、という内容です。

【今回の授業のポイント】

上述した通り、この実践は道徳科における「子供のつまずき」から考えます。導入、展開、終末、これら3つの場面の子供のつまずきは、次の表の通りです。

導入、展開、終末と3つの場面

まず導入では、子供たちに夢中になっているものを聞いたあと、「夢中になっていることをすぐにやめられますか?」というアンケートの結果を見せます。そこで、「分かっているけれど、すぐにはやめられない」という問題意識をもてるようにします。授業支援ツール(「ロイロノート」)のアンケート機能を使うことで、自分たちの問題意識を視覚的に分かりやすく把握できます。

次に、展開前段で教材文を読み、登場人物の行動から問題となる場面をつかみます。この教材は漫画形式であるため、一番「おしい!」と思った場面の絵を授業支援ツールで提出できるようにします。言葉の意味を理解しづらい子供にとっては、絵を選ぶことで自分の考えを表現するハードルを下げることをねらいとしています。

展開後段では、「ゲームをしたい」という思いと、「やめなければならない」という思いを心のシーソーで表し、「やめる」ためにはどんな思いをシーソーに載せたらよいかを考えます。ただ、ここで0から言葉で表現するのではなく、「今の自分」「友達」「家族」「明日の自分」の4つのカードから大事だと思うものを選びます。そして、その理由を伝え合うことで、「ゲームをしたい」思いに流されないためには、どれか1つではなくいろいろなカードが必要なこと、それぞれがつながり合っていることなどを確認します。

ここで「心のシーソー」を用いた理由は、3年生にとって抽象的な心の葛藤を、どちらに傾くかという直感的な関係として捉え直すことができるようにするためです。「やりたい気持ち」という巨大な思いをもち上げるためには、何か1つの思いではなく、複数の多様な思い(おもり)をバランスよく右側に載せていく必要があることを、子供たちに視覚的・体感的に理解させるよさがあります。

終末では、学習を通して感じたよさを、4つの思いの中でどれが自分にとって重要か、カードの大きさを変えることで表現できるようにします。そして、1回目と2回目のカードを比べながら、これからどのように生活していきたいかを振り返ります。

また、今回の授業を行うにあたり、普段からメディアとの関わり方に悩んだり、うまくいかない自分にいたたまれなくなったりする子供がいることに留意しました。ゲームやスマートフォンなどメディアとの付き合い方を「きちんと自分を律してコントロールすべき」という正論で終わらせるのではなく、「まりさって特別に悪い人ではないよね」「ぼくたちもこういうこと、あるよね」といった声かけを行い、まりさの姿に自分を重ねながら共感的に考えられるようにしました。そうすることで、子供たちが難しさを感じながらも、これからの自分の生活に前向きに捉えられるよう心がけました。

メディアとの関わり方 やめられない

2 展開の概略

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