小6道徳科 どうして義務を果たさないといけないの「消えた本」

文部科学省教科調査官監修による、小6道徳科の指導アイデアです。今回は、C 【規則の尊重】「消えた本」の実践を紹介します。本実践では、教材の中の出来事を通して、「義務」を果たすことが、「自分の権利」を守るだけでなく、「他人の権利」を守ることにもつながることに気付き、自分の生活の中で生かしていける場面を見付けていくことを目指します。
執筆/鹿児島県公立小学校教諭・長島政彰
監修/文部科学省教科調査官・堀田竜次
前鹿児島県公立小学校校長
鹿児島県小学校道徳教育研究会参事・永里智広
目次
1 はじめに
子供たちが授業を通して、ねらいとする道徳的価値のよさを感じ取り、自分たちの生活に結び付けて考えていけるように意識して授業を行っています。また、友達と対話を重ねることで、自分の考え方を整理したり、これまで気が付かなかった考え方に気付いたりしてほしいと考えています。道徳科の授業が終わった後に、学んだ新しい考え方を生かしてみようとする姿勢を身に付けていってほしいと願っています。
【教材について】
この教材は、図書館で予約して本を借りた主人公が、読み終えた後に返却を忘れがちになってしまうお話です。
主人公のあずさは、図書館のホームページから読みたい本を予約しました。人気の本だったので5人待ちとなり、1か月後に、やっと借りることができました。夢中になって最後まで読み終えましたが、次第に借りたことを忘れがちになってしまいます。「そろそろ返さなくてはいけないけれど、私、1人くらい大丈夫だよね。」と考えていたところ、お母さんが市の広報誌を見せてくれます。その中には、「市では図書館全体で約1万冊、約1200万円分の未返却本の返還請求権を放棄した」と書いてありました。その意味を知り、あずさは大急ぎで借りていた本を返しに行くという内容です。
【今回の授業のポイント】
本授業では、「権利」と「義務」の関係について考えていきます。自分や他者の「権利」を守るために、ルールや規則があることに気付くことで、身近な生活の中にもその関係を見付けることができると考えました。税金についての話題も出てきますが、「無駄にしない」という理解で終わるのではなく、本を返却しない場合にどのような影響が広がるのかを想像できるようにすることを重視しました。そのためにも、本を返却できる場所を増やせばよいなど、方法を話し合うのではなく、本を返却しない場合には、この先どうなってしまうのかを想像すると、「義務」を果たすことのよさに気付きます。そうすることで、「義務」を果たすことが、自分だけでなく他人の「権利」を守ることにもつながっていることを理解できると考えました。
また、日常の生活の中にある「権利」と「義務」の関係を見いだすことで、今後、似た場面に出合ったときの判断力を育てたいと考えました。

2 展開の概略
(1)やりたいけどできずに腹が立った場面にはどんなことがあるか考える。
(2)「権利」と「義務」について確認し、この時間に考える内容を明確にする。
(3)教材「消えた本」を読み、登場人物の心情などについて考える。
①予約した本を待つときのあずさの気持ち
②本を返すのを忘れがちになったときの考え
③広報誌や母の話を聞いたあとの気付き
(4)自分の「権利」が奪われて腹が立った経験を出し合う。
(5)これから大切にしていきたい自分の考えをまとめる。
