子どもの探究心に火を灯す!「本物の学び」を引き出す理科授業のポイント|5年生メダカのたんじょう【理科の壺】

理科の授業では、子どもたちに自然の不思議や生命の尊さを感じてほしいと願いながら、授業づくりをしている先生も多いのではないでしょうか。しかし、教科書に沿って学習を進めるだけでは、子どもたちの心は動きません。子どもたちの「知りたい」「守りたい」という思いが生まれたとき、学びは一気に動き出します。そのきっかけづくりとして、今回は、5年生「メダカのたんじょう」の学習を通して、子どもの心に火を灯し、命への探究へとつながっていった実践を紹介します。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような”ツボ”が見られるでしょうか?
執筆/和歌山県和歌山市公立小学校教諭・杉本翼
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓
「失敗」が生きた学びにつながる授業を紹介します
理科の授業を行う際、きっと「子どもたちに理科の楽しさを伝えたい」と意気込んでいることでしょう。しかし、現実はそうはいかないことも多いです。
教科書を開き、「今日は、メダカのオスとメスの違いを調べます」と伝えた途端、子どもたちの心が、どこか遠くに向かっていく……。
そんな場面に直面することもあります。
今回は、メダカの飼育での「失敗」を乗り越え、学びを進めていった子どもたちの姿をご紹介します。
1.「学習のパートナー」を自ら選択する
理科の学習において、子どもが自ら問いを見付ける「問題の見いだし」は、学びを前に進めるエネルギーとなります。しかし、教師が用意したメダカを一律に与え、ただ観察するだけでは、子どもたちが「本当に解決したい!」と思う切実な問題は生まれにくいものです。
そこで、単元の最初に行うのが「学習のパートナーとなるメダカを責任をもって選ぶ」という活動です。
理科室に水槽を準備し、水槽を泳ぐメダカの中から、パートナーとなるメダカを決めます。その際、「なんとなく」選ぶのではなく、メダカをじっくり観察して選ぶように促します。
「ひれの形がきれいだ!」
「動きが活発だ!」
「オスかな? メスかな?」
と、メダカの特徴に着目し、お気に入りのメダカを見付けていきます。
単なる学習のためだけのメダカではなく、
「メダカを育ててみたい!」
「メダカを観察してみたい!」
「メダカを大切にしたい!」
といった子どもの思いを引き出していくという意識が大切です。
この切実な思いが「本当に解決したい問題」を生むきっかけとなり、その後の活動を前進させる学びのエネルギーとなります。
2.あえて「待つ」勇気
通常、理科室には顕微鏡や温度計など、学習に必要な道具は十分にそろっているはずです。しかし、それらの道具は、「最初からあえて用意しない」という選択をしました。あらかじめ準備したものを子どもに手渡すと、その道具を「使わないといけない」「学習のために使わされている」という感覚に陥る可能性があります。
子どもが「水温を調整したい!」「虫眼鏡では、卵が見えにくい!」と問題に直面し訴えてきたとき、初めて道具を手渡します。子どもが自ら必要性を感じて手にした道具は、単なる「勉強のための道具」ではなく、「メダカを育てるために必要な道具」となり、時には、「メダカの命を守るための大切な道具」となるのです。
このように、子どもの必要感が高まったタイミングで道具を手渡すことが、道具の正しい使い方を学ぶ意欲を劇的に高めます。
3.失敗を共有し、「新たな問題」へ
命を扱う学習に失敗はつきものです。しかし、理科の授業において「思い通りにいかないとき」こそが、「新たな問題」を生むチャンスでもあります。実際に子どもがぶつかった2つの大きな失敗をご紹介します。
